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築60年の店舗兼住宅を耐震リフォームで全面住居に

K様邸 ハウスデータ

築年数60年(店舗部分40年)
構造鉄骨+木造の混構造2階建て住宅
内容1・2階のスケルトンリフォーム、外部リフォーム
地域東京都江東区

築60年で老朽化が見られた店舗兼住宅を、全面住居としてお暮らしいただけるようにスケルトンリフォームしました。 基礎を含めて見直し、しっかり耐震リフォームも行ったので、大きな地震が起こっても安心です。

※詳しくは、耐震リフォームとは?をご覧ください。

店舗部分を住居として整え、リフォーム前は少し暗かったリビングにも、外からの光が十分差し込むようになりました。 明るいお部屋で快適にお過ごしいただけます。

Before

After

リフォーム前は1階の半分ほどが店舗スペースでした。居住スペースはトイレのある洋室と、ユニットバスを後付けしたキッチンに分かれていました。

スケルトンリフォームで、店舗スペースをキッチンと水まわりに。残りは広々としたリビングダイニングになります。

リフォームアドバイザー
塩谷 理枝

店舗だったスペースを住空間にすることで、ご家族がゆったりと過ごせるリビングを実現します。

また、今回のリフォームの、もう一つの大切な目的は、建物の寿命を延ばすことでした。 しっかり耐震補強を行い、これからもご家族が安心して暮らしていただける空間創りのお手伝いをさせていただきます。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

耐震リフォームで大切なのは、現状を把握して適切に診断し、適切に対策することです。 勘や経験だけに頼ることなく、建築士としてのスキルを駆使することで、適切な耐震補強を行うことができます。

100戸の建物があれば、100通りの対策方法があります。 建物の構造と現在の状態から、建物の寿命が最大限どの程度まで延ばせるのかを考えて対策を講じます。

工務店時代からの豊富な経験を活かし、安心・安全をモットーに、耐震工事の方法を明確にご提案いたします。

リフォーム工事の様子

天井・壁の耐震補強工事

耐震性を高めるためには、柱や梁のみならず、壁の補強も大変重要です。

新築住宅であれば、設計の段階で地震に強い耐力壁をバランス良く配置することで、耐震性を上げることが可能です。 しかし、リフォームの場合は構造部分を事前に確認することができないため、解体後に状態を確認した上で、最善の対策をとることとなります。

解体後の天井の様子です。店舗部分は鉄骨を使用してしっかりと造られていました。赤い部分が鉄骨のトラス梁です。
木造部分の柱と梁の劣化が激しかったため、全面的に交換して補強することになりました。

集成材の梁に交換します。天然の木は節や割れなどがありますが、集成材は何枚もの木を積層して作られるため、品質が均一です。
集成材の梁は、木の梁に比べて1.5倍の強度性能を持っており、建築基準法の規定もクリアしています。

壁を解体してみると、断熱材はなく、かなりの劣化が見られました。
外壁のモルタルも傷んでいたため、すべての壁を補強・補修することとなりました。

壁に筋交い(すじかい)をたすき掛けで入れます。筋交いを入れて壁を補強することで、地震に強い壁になります。
断熱材を入れ、断熱性も高めます。

壁の内側から構造用合板を張って補強することで、地震に強い耐力壁となります。
構造用合板は強度や品質が日本農林規格(JAS)で定められている合板で、強度があって割れにくく、耐水性も高い部材です。

基礎・床の耐震補強工事

構造から見直すスケルトンリフォームなので、基礎や土台からしっかりと耐震補強を施すことができます。

築60年の土台には、シロアリ被害が見られました。
あちこちが腐ってしまっているため、しっかり補強していきます。

シロアリで劣化した土台を、ヒバ材の土台に入れ替えます。
「プラ束」と呼ばれるプラスチックの床束(ゆかづか)で補強してから、ヒバの土台と大引を入れました。

床を解体してみると、店舗部分の床下はコンクリート、住居部分は土でした。
店舗部分のタイルのみを残して、全て撤去しました。

床はヒバ材で補強し、その間に厚さ3ミリのスタイロフォーム(断熱材)を入れました。
リフォーム前は断熱材がなく、足元が寒かったそうですが、これで暖かさが蘇ります。

外部の耐震補強工事

店舗部分は後から増築して住居部分につなげたもので、構造的にも違いがありました。 慎重に見極め、適切な工事を行います。

※外壁について詳しくは、外壁の種類とメンテナンス方法をご覧ください。

屋根はかなり傷みが見られ、下地も腐っていました。
雨漏りがあり、建物の内部に水が入ってしまっていました。

板金加工をして下地を補強してから、12mmの構造用合板を張り、アスファルトルーフィング(防水シート)を敷きました。
瓦屋根から軽い屋根材に替えて、耐震性を高めます。

外壁は地震や火災に強い外壁材、ラスカットパネルで補強します。
軽量で雨にも強いサイディングを張って仕上げました。

リフォーム完成の様子

大きく変わった外観

正面入口はスタイルチェンジ

リフォーム前は店舗兼住宅で、住宅専用の出入り口はなく、お店の玄関から出入りされていました。 お店の正面はガラス張りになっていて中が丸見えのため、いつもお店のシャッターを閉めたままだったそうです。

リフォーム後はシャッター部分を壁にして、看板も撤去し、明るいイメージに生まれ変わりました。 2階左側の木の格子はそのまま活かし、素敵なアクセントになっています。

Before

裏口も見違えるよう

もともと住居部分だった建物の裏側は、時代を感じる外観でしたが、クリーム色のサイディングで明るい雰囲気に変わりました。

Before

オープンなリビングダイニング

店舗部分に玄関を新設

1階のほとんどのスペースが店舗でした。建物に向かって右側に玄関を新設し、中にはトールサイズの玄関収納を設けました。 たっぷりサイズの玄関収納には、傘やブーツ、コートもしまえます。

Before

ご家族でだんらんできるお部屋に

リフォーム前は、キッチンの隣の間仕切りされた洋室でした。

ご家族が集まって食事できる広いリビングダイニングにしたいというご要望の通り、間仕切り壁を撤去して、広々としたオープンなお部屋になりました。 仲の良いご家族が、この広いリビングダイニングで楽しくお食事される様子が目に浮かびます。

Before

アトリエスペースも併設しています

リビングダイニングの一角は、趣味のアトリエスペースです。 ご夫婦ともに絵を描かれるので、壁に作品を飾れるように、ピクチャーレールを設置しました。

このスペースにパソコンデスクを置いて、ご家族で使われるそうです。

自然素材たっぷりで仕上げました

壁は土壁から白いエコクロスにリフォーム。床はカバザクラの無垢フローリングを採用しました。 真っ白な壁とカバザクラのやさしい木目で、暖かい雰囲気の空間に生まれ変わりました。 自然素材の塗料で色付けした巾木が、インテリアのアクセントです。

また、リフォーム前は寒いお部屋でしたが、断熱材を入れて暖かくなりました。 リフォーム完成後に、「足元がとっても暖かくなりました」と嬉しいお言葉もいただきました。

※詳しくは、無垢フローリング~カバザクラをご覧ください。

明るく使いやすいキッチンスペース

対面式キッチンで明るく

リフォーム前は少し暗かったキッチンスペースも、明るい対面式キッチンになりました。

落ち着いたブルーのシステムキッチンがお部屋のアクセントカラーとなり、とてもモダンな雰囲気です。 カウンターは無垢材で造作しました。

Before

使いやすいキッチン収納も

キッチン背面には、壁一面の収納スペースを設けました。

キッチン家電や食器、食材のストックもたっぷりしまえます。 何かと物が多いキッチンにはありがたい収納です。

浴室・洗面も新しくなりました

かわいい浴室でゆったり入浴

リフォーム前は店舗だったところに、浴室を設けました。

浴室はイエローの浴槽で、とてもかわいらしく仕上がっています。 リラックスして入浴を楽しめそうです。

洗面脱衣室を新設

リフォーム前はなかった洗面脱衣室を新設して、便利に使えるようになりました。

床には、素足で歩くと足の感触が良いコルクタイルを採用しました。 コルクタイルは水にも強く、お掃除も簡単で、水まわりに最適です。

2階は吹き抜けの子供部屋に

明るく清潔な子供部屋

2階は小さな窓が1つしかなく、少し暗いお部屋でしたが、光がたくさん差し込むように窓を増やし、明るい清潔なお部屋に変身です。 吹き抜けで、天井の梁がアクセントになっています。

素材はリビングダイニングと同様に、カバザクラの無垢フローリングと、白のエコクロスで仕上げました。 身体にやさしい自然素材に囲まれているので、お子様も安心して暮らすことができますね。

Before

隣接したお部屋は勉強部屋に

隣には窓のない暗い洋室がありましたが、新たに窓を設けて、見違えるようなお部屋になりました。 お子様の勉強部屋として使われるそうです。

さらに階段上のデッドスペースを活用した奥行きのあるクローゼットも造作しました。

Before

リフォーム後のご感想

K様より

リフォーム前は、「狭く古いながらも楽しい我が家」と感じていましたが、リフォームした我が家のリビングの広さと綺麗さにびっくり! 未だによその家で暮らしているような気分です。

高さのあるリビングから入る日差しは何物にも代えがたく、外を見ながらのんびり過ごしています。 朝、家族が出払ったあと、一人でいただく(ここが重要!)お茶は格別です。

下の娘はお風呂がお気に入りで、入浴中はいつも鼻歌が聞こえます。長女は2階の部屋にこもりきりで、自分の時間を楽しんでいます。主人はまあ、カウンターでビールでも飲ませて良しとします。

見えない部分の耐震補強や、しっかりした断熱をしてもらって安心です。雨漏りに始まったリフォームですが、当たり前のことを当たり前にしていただいた工事が、建築には素人の私どもには、何よりありがたいことだったと思います。