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思い出の詰まった日本家屋を耐震リフォーム
K様邸 ハウスデータ
築年数 | 46年 |
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構造 | 木造2階建て住宅 |
広さ | 約60㎡ |
内容 | 1階のスケルトンリフォームおよび耐震補強、2階の内装リフォーム |
地域 | 東京都墨田区 |
味わい深い佇まいは大切に残し、安心して長く暮らせる住まいに。
ご両親が大切にされてきた築46年の日本家屋のリフォームです。
建物を構造から総点検し、落ち着いた和の設えを残しながら、耐震性・快適性をアップ! これからもずっと安心して暮らせるお住まいへと生まれ変わります。
日本舞踊のお師匠をされているというK様から、「古い木造の住宅でもリフォームできますか?」とご連絡をいただきました。
K様は読売新聞に掲載された国産材に関する記事をご覧になり、私たちの「古い家を大切にしたい」という想いに共感されたのだそうです。
※記事について詳しくは、メディア掲載情報をご覧ください。
エコリフォームさんが国産材を大事にしているという記事だったので、そこに惹かれました。 私の想いが伝わるんじゃないかなと感じたんです。
大手の業者さんにも一度相談したことがあるんですが、「このくらいの家だと、うちはできませんね~」と言われてしまい、壊して全部新しくするような考えだったので、合わないなと思いました。
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
ご連絡をいただき、現地調査に赴きました。46年の時を経たお宅は、歴史を感じさせる落ち着いた空間です。 1階は踊りのお稽古場になっていて、これまで大切に使われてきたことが一目でわかりました。
スケルトンリフォームですべてを造り変えることも、上から新しい素材を張っていくこともできるでしょう。 しかし、私たちも、本物で造られた凛とした佇まいを残していきたいと感じました。
木造建築を長年手がけてきたエコリフォームだからこそできるリフォームで、K様の想いに応えます!
Before
K様は生まれ育った家の雰囲気をとても気に入っていたため、和の雰囲気はそのまま活かして、家の性能を上げたいとご希望でした。
リフォーム前は全体的に老朽化が進み、水まわりの使い勝手があまり良くありませんでした。 今回、設備を新しいものに替え、稽古場として使いやすいレイアウトへとリフォームします。 日本家屋の味わいはそのまま、新しい箇所を家の雰囲気に馴染ませながら、家の性能も格段にアップさせるプランです。
1階 Before
1階 After
1階 リフォーム内容
2階 Before
2階 After
2階 リフォーム内容
素晴らしい天井板や建具はそのまま残し、新しく替える部分も元の雰囲気に馴染ませます。
また、古い床板をきれいに磨き、収納の中板として再利用する計画です。
ご縁があって手に入れられたという伊勢神宮の御用材・木曽ヒノキを、稽古場の床板として使います。
かつて伊勢神宮で使われていた最高級のヒノキを、大切に保管されていたのだそうです。 ぴったりの使い道ですね。
1階部分をスケルトン状態にして点検し、建物の現状を把握。 傷んでいる箇所や耐久性が不足している箇所を考慮して、建物内部から耐震補強を行います。 経年に加えて、深刻なシロアリ被害が見られたため、当初の計画より強力に補強することになりました。
また、後から増築されたという2階キッチンの一部を撤去することで、バランスの良い建物にします。
床に断熱材を入れると足音の響きが悪くなるので、日本舞踊の稽古場には適しません。 そこで、窓サッシをペアガラスにして断熱性を上げることにしました。
K様邸は日本家屋らしく窓が多いため、外気の影響を受けやすくなっています。窓を断熱すると冬でも暖かく過ごせる上、結露対策にもなります。
1階にある小さな水屋とユニットバスを、日本舞踊の生徒さんが使いやすいよう、洗面室とシャワールームに造り変えます。
トイレも新しいものに交換し、床には水に強いコルクタイルを採用。稽古場として使いやすい設備になります。
もともと落ち着いた和室だった2階のお部屋は、内装リフォームして客間にします。
木部は灰汁洗いをして、塗り壁を塗り替え、アレンジを加えてさらに風流なお部屋に仕上げます。
K様より
エコリフォームさんは、お見積りやプランもきちんとしたものを出してくださったので、安心してリフォームを依頼することに決めました。
施工担当の塩谷さんともお話していたので、リフォーム工事が始まる前も、あまり不安はなかったです。 コミュニケーションをよく取っているだけではなく、カチッとした仕事をしてくれるかどうかを重視していたので、その点、塩谷さんを信頼していました。
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
K様邸は、いつもエコリフォームが手がけている「住む空間」とは少し異なり、主に日本舞踊のお稽古場として使われる「非日常の空間」です。 日本家屋の素敵な雰囲気を壊さないように、性能を上げる部分は新しくしていくご提案をいたしました。
リフォームプランが最終決定するまでには、何度もお打ち合わせの時間をいただきました。 K様が生まれ育った、思い出いっぱいの建物をお任せくださることとなり、ありがとうございます。 大切にリフォームさせていただきます。
リフォームプランが決まり、築46年になる木造住宅のリフォーム工事の様子が始まりました。
施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄
現場責任者の塩谷です。
K様邸は墨田区の昔ながらの街並みに建つ日本家屋です。 相当手を入れて造られた建物で、現在でも十分通用する造りでしたが、築46年が経過していることから、かなりの傷みが見られました。
耐震診断の結果は倒壊の危険があるレベルで、この状態から家を再生するのは、かなり難度の高い工事となります。 この家であと30年くらいは暮らせるように、しっかりと耐震補強を行います。
建物の現状を把握するため、丁寧に解体工事を行います。
K様は特に水まわり部分の劣化を心配されていました。 解体前はそれほど傷んでいないように見えましたが、ご心配の通り、床下はかなりの傷みが見られました。 傷んだ箇所の木材を交換して補強する必要があります。
水まわりはシロアリ被害も深刻でした。 外から見ると何でもないような柱も、内部はシロアリに食われて軽石のようになっています。 根本がシロアリ被害にたられて、ぶら下がっている状態の柱もありました。
これでは建物の強度を保つことができないため、K様にもご確認いただき、対処方法を詳しくご説明しました。
K様より
営業さんからの説明ではなく、実際に現場を見ている塩谷さんが説明してくださったので、安心感がありました。
塩谷さんがシロアリにやられた柱を見て、ショックを受けている様子で。私も実際に見たときはショックでしたね。 その場で泣きそうになりました(笑)。
でも「柱の状態がこうなっています」と包み隠さず見せてくれて、こういう工事をしますと説明してくれたのが良かったです。
傷んでいる箇所があっても、黙って閉じてしまうこともできると思いますが、塩谷さんはすべてをしっかり見せてくれました。 やっぱり、本当のことを知りたいですから。
建物の現状をしっかり確認して、耐震補強工事の計画を立てました。 傷んだ箇所は交換、補強して、十分な強度を持たせていきます。
図のオレンジ部分が内側から壁を補強する箇所、グリーン部分が床を補強する箇所です。
耐力壁を増やして、不足している壁量を補完します。内部から筋交いや耐震補強金具を使って、壁を補強しました。
窓のある面の壁量が足りず、耐震性に不安があるため、K様にもご了承いただき、窓を縮小することになりました。
もともと採光はあまり望めない箇所ですが、通風は補う必要があるので、小さな窓を新たに設置しました。
水まわりのシロアリ被害が深刻で、このままでは危険なため、傷んだ箇所の木材を交換してガッチリ補強します。
今後のシロアリ被害を避けるため、体に害のないヒバ油を使って防蟻処理も行いました。
床の下地もかなり傷みが進んでいたため、すべて撤去して新しい下地を造り直しました。 これで安心して使える稽古場となります。
外部からの補強も行います。外壁の下地材として、地震や火災に強いラスカットパネルを張りました。 建物の強度と耐久性を高める素材です。
次は内装を整えていく工事です。 K様のご希望どおり、伊勢神宮の御用材である木曽ヒノキを床板として使用します。
リフォーム現場へ、立派な木曽ヒノキがやってきました! 通常の床材とは厚みも違い、日本舞踊の舞台にふさわしい材料です。
大工さんが丁寧にカンナをかけると、美しい木肌が現れました。 ベテラン大工さんもさすがに緊張している様子です。現場中が、ヒノキの良い香りに包まれました。
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
リフォーム前の床板も立派なヒノキの一枚板でしたが、今回さらにグレードアップしました。 お母様が生前に用意されて、お知り合いにあずられていたという伊勢神宮の御用材を床板として施工させていただきました。
その名の通り、伊勢神宮で使われていた木曽ヒノキで、最高級の材です。 ほどよく経年しているので、色合いも味わい深くなり、何とも言えない品の良さを醸し出しています。
こんなに良質なヒノキが一般の住宅に使われることは、なかなかありません。 素晴らしい材料に触れることができて、私たちにとっても幸せな出来事でした。
安心してお暮らしいただけるよう、電気・ガス・水道の設備も総点検しました。 経年で劣化している箇所をチェックし、修理・交換を行います。 以前のリフォームで複雑化していた配管も改善しました。
既存の建具を一部残して、新しい建具は「栓(セン)」の突き板で造作しました。 栓はハリギリとも呼ばれる広葉樹で、年輪模様が美しく、和風の空間にピッタリです。
K様のご要望の通り、味のある和の佇まいをそのままに仕上げました。 既存の建具と新しい建具に若干差が感じられますが、数年のうちに違和感もなくなるでしょう。
着工から1ヶ月半ほどで、K様邸の工事が無事に完了となりました。 耐震補強工事もしっかり行い、日本舞踊の稽古場としても、まだまだ安心してお使いになれる建物になっています。
お問い合わせをいただいてから約5ヶ月で、K様の大切なご実家が見事に蘇りました!
K様の大切なご実家でもあり、日本舞踊の稽古場でもある日本家屋が、大規模な改修を経て再生しました。
1階 After
2階 After
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
リフォームが完成してから、改めて、「素敵な工事をさせていただいたな...」と感激しました。
すべてを最新のものに替えて、ピカピカにすることだけがリフォームではありません。 K様邸のように、残しておきたいところは大切に残し、必要なところにだけ必要な施工を施すのも、立派なリフォームです。
元の雰囲気そのままに仕上げたので、一見、あまり変わっていないように見えますが、様々な工夫と技術が詰まっています。そんなリフォーム完成の様子をご覧ください。
凛とした空気の漂う稽古場には、本物の素材が持つ独特の味わいが感じられます。 昔ながらの日本家屋の雰囲気を大切にしたリフォームで、日本舞踊の稽古場が見事に蘇りました。
天井は元のまま残し、床と壁の一部、建具などは新しいものに替えましたが、全体の調和が取れています。
Before
床板は、K様がずっと大切に保管されていた伊勢神宮の御用材・木曽ヒノキを施主支給していただきました。
木曽ヒノキを丁寧に磨き上げてから取り付け、日本舞踊の稽古場としてふさわしい床に仕上げることができました。
元の建具にも良質の材木が使われていたため、使えるものは再利用しましたが、経年で劣化している建具は新しいものに交換しました。
「栓(セン)」で造られた新しい建具は、年輪の模様が美しく、和の空間にしっくりと馴染みます。 元の建具に比べると白さが目立ちますが、経年すると美しい飴色になり、さらに周囲に溶け込むことでしょう。
栓(セン)の木目
窓際には使いやすい収納を設けました。しまう用具に合わせたオリジナルの収納です。 テレビなどの機器類も置かれる予定とのことで、内部にコンセントも設けました。
収納の引き戸は、縁を無くして襖紙を張り回した「太鼓襖」を採用しました。 縁がないため、すっきりと上品な印象となり、室内全体との調和も取れています。
リフォーム前にお使いだった床板は立派なヒノキの板で、まだまだ使えるものだったため、K様の想いに応えて再利用することとなりました。
カンナで削ってきれいにして、オリジナル収納のカウンターと中板に使い、再度活躍してもらいます。
リフォーム前の床板
照明はライティングレールを採用しました。 スポットライトを設置し、ライティングレールの好きな位置から照らすことができます。
黄色がかったスポットライトがお部屋の雰囲気にぴったりです。
K様より
建物の面影をそのまま残したいと希望したのは、自分が育った家だからということと、経年した木の味わいはなかなか出せないので、残せるものは残したいと思ったからです。
リフォーム前から、この家にいると、本当に贅沢だなと感じることがありました。 自然なものに囲まれているからでしょうか。窓枠も人工のものではなくて、天然の木ですからね。隠れ家みたいで気に入ってます。
稽古場から続く小部屋は、日本舞踊の生徒さんたちが使う更衣室です。 リフォーム前は水屋でしたが、床を畳に替えて、着替えに使えるスペースになりました。
荷物をたっぷりしまえるよう、大きめの収納を設けました。引き戸が鏡になっているのも便利! こちらの収納の棚板にも、床板として使われていたヒノキ材を再利用し、オリジナルの収納に仕上げています。
Before
稽古場として使いやすいよう、キッチンを撤去して洗面台を設置し、小さめの洗面室にしました。
洗面台はトステム(現LIXIL)製で、シンプルなデザインのものです。和の空間にも良く馴染んでいます。
リフォーム前はユニットバスになっていましたが、日本舞踊の稽古場としては、なかなか有効活用できていなかったそうです。 そこで今回、シャワールームにリフォームしました。
シャワールームの方が生徒さんたちも気軽に使えますね。
トイレは設備を新しいものに替え、内装を整えてきれいになりました。 味わいのある小窓が可愛らしいですね。
トイレと洗面室の床は、水に強いコルクタイルを採用しました。 ソフトな肌触りで、裸足で歩いてもヒヤッとしない優れもの。 エコリフォームおすすめの自然素材です。
床のコルクタイル
2階の和室は、今までの落ち着いた雰囲気を大切にしながらアレンジを加え、内装をリフォームしました。 今後は客間としてお使いになる予定だそうです。
経年で黒ずみが見られた木部は、しっかり灰汁洗いして汚れを落とし、美しく蘇りました。 趣のある欄間や建具もそのまま再利用した、風流な和室です。
※和室について詳しくは、こだわりのスケルトンリフォームをご覧ください。
Before
和室の塗り壁はすべて新しく塗り替えました。
K様のリクエストで、面によって塗り壁の色を替えました。 上品な色を選ばれたので、色が異なる箇所も違和感がなく、遊び心が感じられる塗り壁に仕上がりました。
出窓には障子を設置して、一気に風流な印象に。 採光も適度にコントロールできます。
また、窓の下の壁には、ブルーの和紙壁紙を貼りました。 和紙の風合いは和室にぴったりで、塗り壁とのコントラストも素敵です。
Before
リフォーム前は広縁の幅いっぱいに窓がありましたが、窓を3/4ほどに縮小しました。 これで壁量が増え、耐震性もアップします。
縮小したとは言え、十分な大きさのある窓からは、たっぷり日差しが入ります。 外には横格子の和風な手すりを設置しました。
また、窓は断熱性に優れたペアガラスに替えて、外気の影響を受けにくい快適なお部屋になりました。
Before
外観も和の雰囲気で素敵にリフォームしました。
耐震性を上げるために小さくした右手の窓の前には、白木の格子を設けました。 既存の玄関扉に合わせたデザインです。
中心部はLIXILのタイル「千陶彩(せんとうさい)」を張りました。 石を積んだような仕上がりは日本家屋にぴったりです。
行灯風の玄関照明も風情があり、こだわりも感じるおしゃれな外観となっています。
K様より
希望通りです!と言うより、希望以上になりましたね!本当に気持ちがいいです。 現場では責任者の塩谷さんが説明してくれるので、安心感がありました。大工さんの本音を知りたかったんです。
奥様が優しく対応してくださったのも、良かったです。ありがとうございます。
リフォーム後に震度3の地震がありましたが、障子がカタカタと鳴るくらいで、あまり揺れを感じませんでした。 耐震補強の効果を実感しました。
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
はじめに何度かお打ち合わせをした時点で、「エコリフォームさんにお願いしたい」と仰っていただき、うれしかったです。
壊してみないとわからない部分があったり、解体後に問題が判明したりと、技術面では苦労もありましたが、建築士の塩谷と大工の石田、コーディネーターの千葉の3人で、最良の施工方針を検討しながら工事を進めました。 現場で詳しくご説明するために、K様には何度も現場にご足労いただきましたね。
日本舞踊の師範でいらっしゃるK様は本当に素敵な方で、ご縁をいただけたことに感謝しております。 エコリフォームをご信頼いただき、大切なお住まいをお任せくださって、ありがとうございました。
K様、誠にありがとうございました。
素敵なご縁をいただき、心から感謝しています。
K様より