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ご両親のためにバリアフリー化!1階をスケルトンに
S様邸 ハウスデータ
築年数 | 40年以上 |
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構造 | 木造2階建て住宅(長屋) |
広さ | 建坪12坪(約39平米) |
内容 | 1階のスケルトンリフォーム、外部リフォーム |
地域 | 東京都板橋区 |
耐震性、高齢になってからの暮らし、ペットと暮らすための工夫...。すべてのご要望を満たしました!
S様邸は平屋として建てられ、後に2階建てに増築されたお住まいです。 そのため耐震性に不安がありましたが、構造からしっかり見直し、地震に強い建物にします。
「これから高齢になる両親が暮らしやすいように」というお子様たちの願いもリフォーム計画に盛り込み、5匹の猫ちゃんのための工夫も加えました。
ワンフロアのスケルトンリフォームで、家族みんなが快適に暮らせる家へと生まれ変わります。
家が傷んできたので、早く何とかしなきゃって思ってました。
S様はメールで、「リフォームに関してわからないことばかりなので、とにかくお話を伺いたい」と、お問い合わせくださいました。 お電話でお話をしてから、早速、S様邸をご訪問することになりました。
S様邸は、土地は16坪、建坪は12坪の、2階建て木造住宅です。 築40年を超えて経年の傷みが見られ、耐震性にも不安がありました。
Before
ご両親がこれから年齢を重ねていくことを考え、もっと暮らしやすい家にしてあげたいと、お子様たちがリフォームを計画されたのだそうです。
また、猫ちゃんが5匹いるので、ペットと快適に暮らせるようにリフォームしたいとご希望でした。
5匹の猫ちゃんがいるS様邸。
S様邸は細い路地を入った先にあり、隣家との隙間もあまりありません。 エコリフォームでは東京都心の住宅密集地のリフォームを多く手がけていることから、S様もご相談くださったそうです。
元々は平屋として建てられたS様邸ですが、家族が増えるのに合わせて2階を増築したとのこと。 このような2階部分の増築は「お神楽」とも呼ばれ、昔はよく行われていましたが、現在では建築基準法の改定によりできなくなりました。
お神楽は、平屋として建築された建物に、想定外の荷重がかかることになるため、あまり良い状態ではありません。 特に耐震性を考慮すると、構造部分を改善する必要があると思われました。
S様邸は細い路地を入った先にあります。
これまで何度かリフォームをお願いしましたが、もう一度頼みたいところが無かったので、インターネットで調べてみることにしました。 狭小住宅はやらないというリフォーム業者さんもいて、条件が悪くて狭くてもOKなところがいいなと思いました。
そんな中でエコリフォームさんを見つけて、女性スタッフ中心で、ご夫婦でやっていらっしゃるというので、話がしやすくて信頼できそうな感じでした。
実際にお会いした時の印象も良かったです。 リフォームが始まってみないとわからないこともあるとは思いますが、お会いしてお話することで、これからずっと信頼していけると感じました。
S様邸は定期的にメンテナンスをされていましたが、築40年を超えて経年の劣化は避けられず、特にキッチンまわりはかなり傷みが見られました。S様は床の傷んでいないところを選んで歩いていたそうです。
ご要望やお悩みを丁寧にお伺いして優先順位を決め、S様ご家族が快適に過ごせるリフォームプランを作成します。
地震に強く、安全で安心な家にしたい
築40年以上経っているので地震が心配。床がきしむこともあり、耐震をしっかりしたい。
1階をもっと暮らしやすくしたい
バリアフリーにして動線を良くしたい。間取りを変え、キッチンを対面にしたい。ジャストサイズな収納も欲しい。
1階の寒さを解消したい
冬場の寒さを解消して、快適に過ごせるようにしたい。
猫ちゃんと暮らす工夫をしたい
外観にもこだわりたい
Before
経年によって傷み、床がきしむのが気になっていたそうです。
Before
小さな収納ボックスなどをお使いでした。
S様のご要望をまとめて検討した結果、リビングダイニングやご両親のお部屋がある1階部分をスケルトンリフォームするプランをご提案しました。S様邸に適切な耐震補強を行い、ご家族が快適に暮らせるバリアフリー住宅へと生まれ変わらせます。
1階 Before
建物の四隅に窓が多く、耐震性はあまり高くない建物です。 また、収納が少なく、生活動線も良くありませんでした。
1階 After
インテリアコーディネーター
千葉 容子
担当コーディネーターの千葉容子です。
S様邸のリフォームプランを作るにあたって、一番重視したのは耐震面です。それに加えて、S様ご家族が今までよりもずっと快適に生活できるように知恵を絞りました。
ビフォーアフターの図面を比較すると、収納がかなり増えているのがおわかりいただけると思います。 ただ収納の数を増やすのではなく、「どの場所にどんな収納が欲しいか」をS様に具体的にお話いただき、最適な箇所に収納を計画しているのです。収納する物までイメージすることで、スッキリ片付く収納を実現できて、動線も良くなります。
今回のリフォームの一番の目的が耐震補強です。 1階部分の床や壁はすべて解体して、スケルトン状態にした上で補強をかけ、建物の耐震性能を高めます。
S様邸は平屋から2階建てに増築しているため、もともと2階建てとして建てた住宅に比べると、1階の強度が不足していました。 特に建物の角にあたる部分が、窓などの開口になっているため、大きな地震で倒壊する恐れがありました。
S様は、ご両親の居室の角が、2面とも開口(窓)になっている点を心配されていました。 家の四隅は建物の荷重がかかる大事な部分なので、確かにあまり良い状態とは言えません。
Before
ご両親の居室は2面が窓になっていました。
壁の無かった角の部分を中心に、地震に強い耐力壁を設置し、耐震金物で補強します。 図で見ると、かなりの箇所を補強しているのがわかりますね。
また、壁を増やすだけでは部屋が暗くなってしまうため、窓の位置や大きさを変え、採光にも配慮します。
S様のもう一つの大きな目的が、ご両親が暮らしやすい家にすることです。 様々な視点から1階部分をバリアフリー化して、バリア(障壁)を取り除きます。
まず、お部屋や廊下との間にある段差。 築年数の長い住宅でよく見られる段差を解消して、フラットな床にします。
次に、トイレの扉を2つ設置して、2方向から出入りできるようにすることで、動線を良くします。 介助もしやすくなりますよ。
ご高齢になると明るさを感じにくくなると言われており、お部屋の明るさを確保することも、バリアフリーにつながります。
リフォーム前は、リビングの窓の外の塀で光が遮られていましたが、窓を出窓にして、塀を半透明のフェンスに変えることで、明るいお部屋にします。
また、ご両親のお部屋には猫ちゃんを入れたくないとのご希望だったため、室内網戸を設置することに。 これならお部屋も暗くならず、光と風を通すことができます。
リフォーム前は収納スペースが足りなかったS様邸ですが、デッドスペースをうまく活用して収納を増やします。 S様ご家族がお暮らしになる中で「ここに収納があったらいいのに」という箇所に、ぴったりの収納を造る計画です。
家の中がすっきり片付けば、室内の障害物が減り、生活動線はずっとスムーズになります。 収納を使いやすく整えることも、バリアフリー住宅の大事なポイントの一つです。
リフォーム前、S様は冬の寒さにお悩みでした。 築年数の長い家では、冬場、暖房を入れているお部屋は暖かくても、廊下やトイレが非常に寒い...ということが少なくありません。 室内の温度差はヒートショックの原因にもなります。
今回のリフォームで1階部分をスケルトン状態にするのに合わせ、床と壁、天井に断熱材を入れて、床下から上がってくる冷気もシャットアウトします。 室内全体を一定の温度に保つ、言わば、空気のバリアフリーです。
また、窓サッシも新しく性能の高いものに交換して、断熱の効果を向上させます。
床の断熱材「フクフォームEco」です。
S様は可愛い猫ちゃんを5匹飼っていらっしゃいます。 多頭飼いは賑やかで楽しいものですが、飼い主さんの手間は大変です。 そこで、猫ちゃんも暮らしやすくなり、お世話の手間も軽減される工夫を計画に盛り込みました。
S様邸の
猫ちゃんたち
たまちゃん
こもちゃん
けんちゃん
くりちゃん
なっちゃん
階段下を猫ちゃんのトイレスペースにして、ドアにはキャットドアを設置。 リビングの壁にはキャットウォークになる飾り棚を取り付けます。
また、収納を増やすのは、ペットと暮らす上でも良い効果が。 スッキリ片付くお部屋になって、毎日のお掃除が楽になりますよ。
猫ちゃんトイレスペースのイメージです。
エコリフォームでは、身体にやさしく心地よい自然素材をおすすめしています。 S様邸のリフォームでも、無垢フローリングや無垢の建具、和紙の壁紙などをご提案したところ、S様もとても気に入ってくださいました。 無垢フローリングや無垢の建具は1階全体に、猫ちゃんが引っ掻いてしまいそうな和紙壁紙はご両親のお部屋に採用されました。
無垢フローリングの仕上げには、オイル塗装とウレタン塗装の2種類があります。 自然素材の良さを100%引き出せるのはオイル塗装ですが、キズや汚れは付きやすくなります。
S様は猫ちゃんのことを考え、お掃除しやすいウレタン塗装を選ばれました。 ウレタン塗装でも、快適な足触りや蓄熱性、味わいのある風合いは損なわれません。
※詳しくは無垢フローリングのメリット・デメリットをご覧ください。
自然素材で猫ちゃんも快適に。
プラン提出後、ご予算に合わせた調整を行い、無事にご契約をいただきました。
リフォーム工事の間、S様ご家族はお近くの賃貸住宅で仮住まいされます。 お引越しに合わせて、再利用する物は2階へ運び、処分するものはまとめて、リフォームを行う1階部分をきれいに片付けてくださいました。誠にありがとうございます。
猫ちゃんたちはご親戚の会社の事務所で仮住まいするそうです。 しばらく一緒に暮らせないのは寂しいですが、一日も早く猫ちゃんたちと一緒に暮らせるように頑張ります!
※仮住まいについてはリフォームの流れをご覧ください。
ご家族総出でリフォームの準備をしてくださいました。
インテリアコーディネーター
千葉 容子
1階のみのリフォームなら、2階で暮らせるのではないか、と考える方が多いかもしれません。
ペットがいると仮住まい探しが難しいこともあり、S様も当初は住みながらのリフォームをお考えでした。 しかし、その場合は下記のような問題があります。
水まわりも使えないのでは、とても暮らしにくいですね。 S様も悩まれていましたが、猫ちゃんはご親戚のところで預かってくださることになり、仮住まいを決められました。
住みながらのリフォームをされたいという方は多いですが、大がかりなリフォームでは、かなりの忍耐が必要になってしまうため、なるべく仮住まいされることをおすすめしています。 物件探しのサポートもしていますので、一度ご相談ください。
S様より
いよいよリフォームのはじまりですね~。 何だかわくわくしてきました!
暑い季節に工事をお願いすることになり、何かと大変とは思いますが、よろしくお願いいたします。
S様邸のリフォーム工事でポイントとなるのは、以下の点です。
増改築を繰り返した建物である
S様邸は2階部分をあとから増築していて、その後もこまめに手を入れていたという建物です。 通常、構造部分の中の状態は、ある程度予想できますが、それぞれ異なる職人さんが増改築を行っていたため、予想がつきにくい部分がありました。
古い家のため耐震性が低い
S様邸は築40年以上。1981年に施行されたいわゆる「新耐震基準」以前の建物です。 大規模な地震に耐えうる基準に沿って建築されていないため、構造体が脆弱なことが予想されました。
1階のみのスケルトンリフォームである
1階部分のみの耐震補強で、建物全体を強くしなければなりません。 また、2階の荷物はそのまま残されているため、2階の荷重も考慮して耐震計画を立てました。
通路が狭く立地が良くない
S様邸は東京都心の住宅密集地にあるため、建物までの通路が狭く、車が入れません。 また、隣家とも密接してるため、近隣に配慮しながら工事をする必要がありました。
こうしたポイントを踏まえてリフォーム工事を進めていくことになりました。 古い家の耐震リフォーム経験が豊富な一級建築士・塩谷敏雄が、施工責任者としてS様邸を蘇らせます。
施工責任者の塩谷とコーディネーターの千葉です。
施工責任者の塩谷とベテラン大工たちで、解体作業を行います。 今回の耐震リフォームでは、2階部分はそのまま残し、1階のみを解体します。 2階の荷重を考慮に入れながら、慎重に解体していきました。
また、リフォーム後はフェンスを設置するため、外部の塀も解体しました。
1階部分を解体したところ、基礎に問題があることがわかりました。 本来あるべき箇所に、基礎が無かったのです。
施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄
構造部分の状態がどうなっているか、解体前にある程度の予測はしていますが、非破壊で調査しているため、実際のところは解体してみないとわかりません。 築年数の長い家では、解体してから問題点が判明することも少なくないのです。
S様邸では、解体後に基礎が不十分なことがわかりました。 建物の外周部分はしっかりとした基礎でしたが、建物内部の基礎が足りません。 特に、2階の荷重を支える箇所の基礎が無いのは大きな問題でした。
築40年を超えるS様邸の建築当時は、まだ基準が明確に定められていなかったこともあり、こうした例がよく見られます。 耐震性を高めるために、新規の基礎工事が必要と判断しました。
インテリアコーディネーター
千葉 容子
今回は追加で基礎工事が必要となったため、S様に現場へお越しいただいて、現状を詳しくご説明しました。
解体した家を見たことがない、というお客様がほとんどのため、ご説明の際は家の状態を実際にご覧いただくようにしています。 あわせて詳しい図や資料を用意し、費用もご提示しました。
追加工事が発生すると、費用がかかるだけでなく、工期が長引く恐れもあります。 こうしたデメリットもしっかりお伝えした上で、S様にもご納得いただき、追加工事を行うことになりました。
S様より
基礎の部分は後で見えなくなってしまうし、専門的だからと説明が飛ばされてしまいがちだと思います。 そういうところをきちんと説明してもらえて、良かったです。
現場で建物の状態を見せていただいたから、追加工事で費用が必要なのも納得できたし、安心できました。 中を見せてもらえないままで、後から「追加工事をしました」と言われても、「本当だったのかしら?」って思っちゃいますよね。
追加で行うことになった基礎工事の様子です。しっかり強固な基礎を造り、これからずっと安心して暮らせるようにします。
床下にはガラ(廃材)が敷き詰められていましたが、本来あってはならないことです。すべて撤去します。
砕石を敷き詰めます。強い基礎にして、耐圧版の厚みを一定にする効果があります。
防湿シートを敷き、13mmの鉄筋を均等に配置します。現在の基礎と同程度の強さになります。
家の前までミキサー車が入れないため、広い道路に止めました。路地にホースを引っ張ってきます。
ホースでコンクリートを流し込みました。ご近隣にもご協力いただき、ありがとうございました。
生コンの後、防湿コンクリートを打って完成です。しっかりした基礎ができました。
古い柱は新しいものに替え、不足している箇所には柱を追加します。 2階部分に荷物がある状態で工事を進めるため、重さで倒壊することがないよう、慎重に作業を進めます。
梁がたわんでいる箇所があったため、新しい梁を添えて補強します。 梁の補強は、柱を抜く箇所の補強にもつながります。
また、耐力壁の量を増やし、バランス良く配置することで、地震の揺れに粘り強く耐える建物になります。
古い柱をジャッキアップして支えながら、新しい柱に交換します。
しっかりとした新しい柱になりました。
交換した柱には耐震金物を設置し、梁や土台に固定します。
柱が足りない箇所には新しい柱を追加しました。
既存の梁の下に新しい梁を架けて、ボルトで接続しました。
キッチン前の耐力壁にも筋交いを入れました。
筋交いが縦揺れでズレないように、金物で固定します。
今回のリフォームのご希望の一つが、ご両親のお部屋を快適にすることでした。 築年数の長い家では断熱性が低いことが、お部屋の快適性を損なう主な原因となっています。
1階をまるごと断熱して、一年中快適で過ごしやすいお部屋に。冷暖房効率も良くなり、ランニングコストの軽減にもつながりますよ。
冬場の床の冷たさに悩んでいる、という声をよく聞きます。 これは、床下から冷気が上がってくるためです。
床に、古紙やコーンスターチから作られたエコな断熱材「フクフォームEco」を敷き詰めて、冷気を防ぎます。
壁と天井には、断熱材「パーフェクトバリア」を隙間なく入れ込みました。 まるでお部屋がお布団でくるまれているようです。
パーフェクトバリアはペットボトルをリサイクルして作られる環境にやさしい断熱材で、人体への影響も一切ありません。 吸音性も高く、へたりにくいのが特徴です。
窓はすべて新しい窓サッシに交換しました。 リフォーム前は1枚だけのシングルガラスでしたが、今回のリフォームで断熱性の高いペアガラスになりました。
窓から出入りする外気の熱は、室内の快適性に大きく関わります。 ペアガラスなら夏の暑さも冬の寒さも防いで、快適な室温を保つことができます。
今回のリフォームで、キッチンやトイレ、洗面の位置が変わるため、ガスと水道を引き直します。 また、以前と比べ、電気使用量も格段に増えているため、電気配線も新しくします。
水道管とガス管が新しく引き直されました。
ガス管の掘削作業は専門業者が行います。
電気配線も新しくなって、安心して使えますね。
窓の位置が変わるのに合わせて、外部の壁もリフォームします。
ラスカットパネルを施工します。地震や火災に強い外装下地材です。
ラスカットパネルの上から、下地のモルタルを二度塗りします。
モルタルを二度塗りすると、漆喰が長持ちするそうです。
ブロック塀にも下地のモルタルを塗ります。フェンスも設置されました。
フェンスを養生してから、スイス漆喰を塗って仕上げます。
むらなく滑らかに仕上がりました! DIYでは難しい、プロの仕事ですね。
構造にかかわる部分の工事が終わったら、次は内装などの仕上げ工事をしてできあがりです。
奥ではキッチンの設置中。手前はトイレの壁です。細かくサイズが書き込まれています。
リビングの大きな出窓が造られました。立派なカウンターも設置されています。
床に無垢フローリングを張っているところです。完成後、キズがつかないように養生しておきます。
キッチンの収納棚を造作しました。ぴったりサイズの収納をあちこちに設置します。
石膏ボードを張った壁の凸凹をパテで平らにして、クロスを張っていきます。
玄関ではタイルを施工中。職人さんの腕できれいに仕上がりました。
リフォーム完成です!おめでとうございます!
S様邸の1階部分スケルトンリフォームが完成となりました。
6月に着工し、完成が9月と、猛暑の中でのリフォーム工事でしたが、無事にお引渡しすることができました。 S様ご一家のうれしそうなご様子に、私たちもとってもうれしくなりました。 リフォーム完成までに多くのご協力をいただき、ありがとうございました。
お引渡し時の記念撮影です♪
1階 After
1階部分のスケルトンリフォームで耐震性や経年の傷みが解消されて、ご両親にも猫ちゃんたちにも快適な住まいができあがりました。
適切な耐震補強で安心して暮らせるバリアフリー住宅に生まれ変わったS様邸をご紹介します。
Before
室内のリフォームに合わせて、外部の工事も行ったS様邸。通りに一歩入ると、清潔感のある白い外壁が目に飛び込んできます。
外壁は真っ白なスイス漆喰で仕上げました。 漆喰は日本の城でも昔から使われているように、風雨に強く長持ちで、経年しても白さが損なわれません。
※詳しくはほたて漆喰・スイス漆喰をご覧ください。
建物前面のブロック塀も漆喰で仕上げました。
塀の上半分は、半透明のおしゃれなフェンスに変わりました。 住宅密集地にあるため、室内が暗かったというS様邸ですが、このフェンスなら光が届きます。 スリット入りなので通風の問題もありません。
Before
玄関に鉢植えを飾られています。
シックな玄関タイルにステンレスの郵便受けで、スタイリッシュな玄関に変身しました。 漆喰の白い壁との相性もピッタリです。
S様は植物を育てるのがお好きとのことで、お引渡し後は早速可愛い鉢植えを飾っていらっしゃいました。 玄関まわりがスッキリしているので、季節に合わせて様々な植物を楽しむことができますね。
Before
引き戸を開けると、リフォーム前に比べて、明るくなった玄関です。 ダークグレーの玄関タイルに無垢材の組み合わせが落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
玄関框を上り下りしたり、靴を履いたりする時のために、L字型の手すりを設置しました。 ちょうどいい高さの手すりで、ご高齢になってからも安心です。
手すりの上にはニッチ(飾り棚)を設けて、季節の小物などを可愛く飾れます。
Before
廊下の無垢の引き戸の先は、広々としたリビングダイニングになっています。 キッチンの向きを変更したことで、印象ががらりと変わりました。
無垢フローリングに無垢の建具、無垢の造作家具と、内装には無垢材を贅沢に使い、自然素材の良さをたっぷり味わえます。 猫ちゃんがいるため、無垢フローリングは撥水性のあるウレタンコーティング仕上げに。 蓄熱性に優れているので、寒い季節でも足元がひんやりしません。
※無垢フローリングの仕上げについては、無垢フローリングのメリット・デメリットをご覧ください。
Before
S様邸のように築年数が長い建物では、お部屋とお部屋の間に敷居があることが多いものです。 敷居の高さは1.5cmほどとは言え、うっかりしているとつまづく高さ。家庭内事故にもつながりかねません。
今回のリフォームで、床はすべての段差を解消してバリアフリーになりました。 フラットな床で、安心してお暮らしいただけます。
Before
リフォーム前はちょっと暗く感じていたリビングダイニングですが、窓を出窓にすることで、より明るいお部屋になりました。
出窓の外のブロック塀は、上半分を半透明のフェンスにしました。 S様邸は都心の住宅密集地にあるため、窓の外はすぐ公道ですが、フェンスが目隠しになって歩行者の目が気になりません。
リフォーム前は収納が足りず、S様は市販の収納ボックスなどをお使いでしたが、室内がスッキリ片付かないことにお悩みでした。 今回のリフォームで、デッドスペースになっていた箇所も有効活用して、収納スペースをかなり増やしました。
ただ無闇に収納スペースを増やすのではなく、しまう物や使い方をきちんと想定しているので、ちょうどいいところにちょうどいいサイズの収納が用意されています。 例えば、リビングダイニングの縦長の収納は、毎日使う掃除機などをしまえるよう、下の段を広くしています。
出窓の下に造作した収納には、猫ちゃんのおもちゃや日用品をしまう想定です。 事前に作成したイメージスケッチをS様にご覧いただき、実際の使用シーンを想定してもらいました。
インテリアコーディネーター
千葉 容子
S様邸では随所に使いやすい収納を設けることで、スッキリお暮らしいただけるだけでなく、スムーズな動線も確保できるようにしました。
「収納が足りないので、市販の収納ボックスを置いている」という方も多いと思いますが、収納ボックスなどは室内の障害物になり、生活動線が悪くなります。特にシニアのご家族がいらっしゃる場合、障害物の多い空間は、転倒などの危険が伴います。
段差を無くし、手すりを付けるのも大切ですが、生活動線を良くすることもバリアフリー化の一環と言えるでしょう。
S様より
「あったらいいな」と思っていたところに、ちゃんと収納が用意されているのは本当にいいですね。
そうじゃないと遠くの収納にしまいに行かなきゃいけないし、使う時もその都度取りに行くのが面倒で、ついついその辺に置いてしまうじゃないですか。
今は使ったものをそのままにしないで、すぐ近くの収納にしまえるので、スッキリ暮らせるのがうれしいです。
Before
独立キッチンから対面キッチンに替わり、キッチンに立っていてもご家族との会話が楽しめるようになりました。 お料理をしている時も、ご両親のお部屋まで目が配れます。
背面収納を充実させて、必要な物にすぐ手が届くスタイルに。吊り戸棚も便利にお使いいただけます。
リフォーム前はキッチンが寒かったそうですが、しっかり断熱したので快適に調理が楽しめますね。
S様邸では、耐震性を高めるため、キッチンの前面に耐力壁を設けたため、キッチンスペースが少し狭くなっていました。 そこで、キッチンの奥行きが狭いサンウェーブ(現LIXIL)「ピット」を採用しました。
一般的なシステムキッチンは、キッチンの奥行きが65cm、背面収納の奥行きが45cmですが、S様邸ではキッチンが60cm、背面収納が31cmのものを選び、S様のお立ちになるスペースを広く取りました。
一番奥には、奥行き45cmの背面収納を造作しました。これは、電子レンジが置けるサイズにするため。 下はゴミ箱置き場になっているので便利に使えますよ。
キッチンの奥は勝手口になっています。 勝手口の外には、ゴミの仮置きスペースを設けました。 一時的にゴミを保管しておいて、まとめて捨てることができます。
勝手口のドアは、窓の部分を上げ下げするだけで空気を入れ替えられるものを選びました。 防犯性が高い上、猫ちゃんの脱走防止にも役立ちます。
廊下には、猫ちゃんもS様もうれしい工夫をしています。
(ぴったりサイズのトイレだ...)
階段下を利用して、猫ちゃんのトイレ置き場を造りました。 空気がこもらないように、空気清浄機を設置するためのコンセントも設置されています。
リフォーム前は猫ちゃんのトイレを置く場所がないため、仕方なく廊下に置いていたそうですが、家族が通る時や来客時には邪魔になっていたそうです。
掃除道具などを置く棚も造って、トイレにぴったりのスペースになりました。
廊下からリビングへの扉は、ウッドワン製の無垢の引き戸を採用しました。
これまでは、猫ちゃんの出入りのために引き戸を少し開けておいたのですが、今回のリフォームでキャットドアを設置することになりました。建具職人さんに依頼して、特注で加工したものです。
最初は戸惑っていた猫ちゃんたちもすっかり慣れて、キャットドアを使いこなしているそうです。
キャットドアを使いこなしています!
S様より
前は猫のトイレを廊下に置いていたんですが、玄関を開けると見えてしまうので、「階段の下に入れられたらいいね」って話していました。
リフォーム後の猫トイレはすごく気に入ってます。造り付けの棚がちょうどいいんです。 細かいところまで造られていて、ピッタリ収まってます。
冷暖房をつけている時は扉を閉めておきたいので、キャットドアは絶対あった方がいいって思ってました。 猫が馴染むまで少し時間がかかりましたが、やっぱり付けて良かったです。うちには必需品ですね。
Before
S様のご要望の一つが、ご両親が負担なく過ごせるお住まいにすることでした。 そこで、1階にあるご両親のお部屋は、安全で快適に過ごせるように力を入れて計画しました。
2面が窓だった角の部分は、窓の位置を変え、もともと窓だったところは地震に強い耐力壁に。 これで耐震性が大幅にアップして、安心できるお部屋になります。
さらに、壁紙にもこだわり、和紙の壁紙「玉紙」を採用しました。 玉紙には調湿性の高いゼオライトが漉き込まれているので、お部屋を快適な状態に保ちます。
猫ちゃんがいるお宅ではちょっと心配ですが、ご両親のお部屋は猫ちゃんが入らないとのことで、和紙の壁紙をおすすめしました。
※詳しくは和紙壁紙・玉紙をご覧ください。
ご両親のお部屋にも収納をたっぷり設けています。 お父様とお母様それぞれに専用の収納スペースを造作して、お部屋に置かれていた荷物をすっきりしまえるようになりました。
トイレへの扉の隣にあるのは、お母様専用の収納棚です。便利な引き出し収納付きで、小さなテレビなどを置けるようにコンセントを設けました。
クローゼットの横には、お父様専用の収納棚を設けました。足元が掘りごたつ風になっていて、ミニデスクとして使えるユニークなものです。 足元は断熱されていて暖かく、スタンド照明用のコンセントも完備。
コーディネーターの千葉が実際に座ってみた様子も、なかなか居心地が良さそうです。お仕事や書き物に大活躍しそうですね。
押入れは大きなクローゼットに変わりました。 しまう物に合わせて、奥を収納棚、手前をハンガーパイプにして、奥の物も取り出しやすいように計画しています。 ハンガーパイプは取り外すこともできますよ。
建具は軽い力で開け閉めできるスライドドアに。端に寄せてフルオープンにできるので、効率よく収納できます。
S様邸の5匹の猫ちゃんは、おうちの中を自由に行き来していますが、ご両親のお部屋だけは立入禁止。 でも、扉を閉めたままにしておくと、暗くて通風もできなくなってしまいます。
そこで、引き戸にプラスしてオリジナルの室内網戸を造作しました。 下半分は透明なポリカーボネートのパネルになっているので、猫ちゃんたちがよじ登ることもできません。 これなら採光も通風もバッチリですね。
(この部屋には入れないのか...)
Before
今回のリフォームで、トイレの扉を廊下側とご両親のお部屋側の2方向に設置して、ご両親のお部屋から直接トイレに入れるようになりました。 扉が2つあるとトイレの介助もしやすいので、ご高齢になっても安心ですね。
トイレの中には、左右にL字型の手すりを設置しました。 入口の外側にも手すりを設置して、引き戸を開けやすいように配慮しました。
照明と換気扇はセンサー付き。換気扇を消すのを忘れてしまっても、電気が消えてしばらくすると自動的にオフになります。 使いやすい工夫がいっぱいのトイレです。
Before
コンパクトだった洗面室は少し広くなり、洗面台の位置も変わりました。 洗面台の上には棚を造作して、洗剤などのストックをしまうのに便利に使えます。
S様はいつかドラム式の洗濯機を使いたいと思っていたそうですが、リフォーム前の洗濯機置場は狭すぎたため、今回のリフォームでスペースを広く取りました。 これなら念願のドラム式洗濯機が使えますね。
バリアフリーは「障壁を無くす」という意味ですが、障壁は目に見えるものだけではありません。 空気の障壁、つまり温度差を無くすこともバリアフリーと言えます。
築年数の長い家では、特に1階が寒くて悩んでいるという声をよく聞きます。 こうしたお住まいでは、寒くて暖房をしても、トイレや廊下などは寒いままです。 お部屋の温度差によって身体にダメージを受ける「ヒートショック」も心配になります。
S様邸のようにしっかり断熱施工をすれば、家の中全体が暖かく保たれるようになり、お部屋の温度差が無くなります。 ご両親のためのリフォームをお考えの方は、ぜひご一緒に空気のバリアフリーもご検討ください。
S様、ありがとうございました!
ご家族の皆様が猫ちゃんたちとずっと快適に暮らせるように願っています。
S様より
毎週のように打ち合わせがあって、その度に詳しい説明をしてもらえるので、安心できました。 塩谷さんや千葉さんが、細かいところに気付いてくださったのも良かったです。 私たちが気付かないところも、「この方が使いやすいですよ」って提案してれて、すごく助かりました。
あと、リフォーム前は強い風でも揺れていたのが、揺れなくなりました。リフォーム後は安心して暮らしています。
リフォームで希望が叶いました。ペットもいるしいろいろ悩んでいたけど、思い切ってリフォームして良かったです!
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
住宅密集地にあるS様邸のリフォームです。 リビングが暗くて、寒くて、収納が足りないとお悩みでしたが、この度のリフォームでこうした問題をすべてクリアして、明るく暖かいお住まいになりました。
1階のみのリフォームとは言え、S様には仮住まいをしていただいたり、猫ちゃんを預ける必要があったりと、大変だったことと思います。ご協力いただきありがとうございました。
これからも、ご家族の皆様と猫ちゃんたちが末永く快適に暮らされるよう、お祈り申し上げます。 この度は、誠にありがとうございました。
S様より