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築60年・レトロ長屋のロハスな暮らし
I様邸 ハウスデータ
築年数 | 60年以上 |
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構造 | 木造2階建て住宅(長屋) |
広さ | 建坪9坪、延床18坪 |
内容 | 内装・断熱リフォーム、外部リフォーム |
地域 | 東京都杉並区 |
レトロな長屋の良さを活かしたリフォームで、ロハスな暮らしを実現しました!
長屋はお隣と壁を共有しているタイプの住宅で、最近ではテラスハウスとも呼ばれます。 特に古い長屋は、独特の味わいが感じられますね。
I様は杉並区の長屋を購入され、レトロな雰囲気を活かした内装リフォームをご依頼くださいました。 DIYで仕上げを行い、ロハスな暮らしを楽しめるお住まいとなりました。
I様はホームページをご覧になって、お電話でお問い合わせくださいました。
最近の住宅には無いような、暖かい雰囲気が気に入って、長屋を購入予定です。
良いところをばるべく残してリフォームしたいと思っています。
長屋タイプのお住まいのリフォームをご希望で、その日のうちに図面を持って来社されたI様。 話はトントン拍子に進み、ご希望やご予算のヒアリング後、数日後に建物を拝見することが決まりました。
初めは近所のリフォーム会社に相談に行ったんですが、「うちは無理です」と断られてしまって。 長屋のリフォームはやりたくないのかな...と感じました。
エコリフォームさんのホームページには、長屋のリフォーム事例や、家の雰囲気を残した事例があって、私の希望も聞いてもらえそうだなと思いました。 女性のスタッフが対応してくださるので、私もお話がしやすかったです。
I様邸は、第二次世界大戦前に国の政策で建てられた歴史のある建物です。 現地調査に赴いた時点で築60年以上ということになりますが、新築の時にかなりしっかりと建てられたようです。 古い家によくあるように、ゆがんだり傾いたりしているところはありませんでした。
また、住宅関係のお仕事をされている方の持ち物だったそうで、丁寧に手を入れてお住まいになっていた様子です。 築年数は経っているものの、非常に状態が良い建物でした。
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
建物の状態は、建築時の施工や使われている材料、メンテナンスの有無など、様々な条件によって変わってきます。 状態が悪い建物では、ご希望通りのリフォームが難しかったり、予算をオーバーするほどの費用がかかったりします。
I様が購入された建物は状態が良いので、ご予算内でI様のご希望通りのリフォームが実現できそうです!
I様は、今回のリフォームでこんなご要望をお持ちでした。
I様はDIYをされたいとのことで、DIY作業を前提にリフォームプランを作成することになりました。
例えば、内装ならお引渡し後にDIYすることもできますが、建物の構造に関わる箇所などは、プロの手で施工しておいた方が安心です。どの部分をDIYで行うか、I様とよく話し合いながら、プランニングを行いました。
1階
リビング
床下には断熱材「フクフォームeco」を施工。畳から無垢フローリングにして、無垢の巾木を取り付けます。壁下地を造り直し、既存の棚を撤去します。
【DIY】壁を塗り壁仕上げにして、本棚を設置。
キッチン
床はコルクタイルにして、コンセントを増設。既存の洗面台を撤去します。
トイレ
設備を交換し、配管をリフォーム。床はコルクタイルにして、壁下地を造り直します。
【DIY】壁を塗り壁仕上げに。
2階
和室
床は下地を造り直して、畳を張替えます。窓にインナーサッシを設置し、雨漏り部分を改修します。隣家と接する壁に防音シートを施工して、壁下地を造り直します。
【DIY】壁を塗り壁仕上げに。
ベランダ
出入口を大きくしてペアガラスに。ベランダのサイズを2倍に拡張して、屋根を透明なものに替えます。
エコリフォームでは、床の下地や壁の下地を造り直し、配管や配線を見直す工事を中心に行います。 長屋のお隣に配慮したいというI様のご希望で、お隣と接する壁には遮音シートを施工することになりました。
お引渡し後、1階と2階の壁は、I様ご夫婦がDIYで漆喰の塗り壁にします。 DIYでもきれいに仕上げられるよう、事前にプロの手でしっかり下地を施工しておきます。
また、1階にはDIYで本棚を造り付ける予定です。 本棚は重量があるので、設置箇所の壁の下地を補強しておくことになりました。
Before
I様邸は長屋のため、左右の壁をお隣と共有しています。 リフォームの計画が東日本大震災のすぐ後だったこともあり、お隣にお住まいの方は、I様邸のリフォーム工事で振動が起こって、建物にダメージが生じるのではないかと心配されていました。
そこで、着工前にリフォーム工事の内容を詳しくご説明することとなりました。 今回のリフォームは主に床や壁の工事で、建物の構造には関わりませんが、工事中にまったく振動が起きないわけではありません。 細心の注意を払って工事を進めることをお約束しました。
皆様は事情をよくご理解くださって、ご協力をいただけることになりました。誠にありがとうございます!
I様より
ご近所の方に振動や騒音でご迷惑をおかけすることを、一番心配していました。 この先、私たちがこの家に移り住むので、できるだけご迷惑をおかけしたくないと思ったのです。
エコリフォームのみなさんが、工事前にご近所の方にご説明して、ご挨拶にも回ってくださったので良かったです。 工事中や工事が終わったときなど、いつも丁寧に対応してくださったのがありがたかったですね。
リフォーム工事の様子をお伝えするI様専用のブログを用意しました。
リフォーム中、少し離れた芭蕉にお住まいだったI様は、毎日リフォーム現場に来ることはできません。 その間に工事はどんどん進んでしまい、解体して作業した箇所も、作業が完了したら閉じて見えなくなってしまいます。
そこで専用ブログを用意して、工事の細かな様子もご確認いただけるように、日々更新しているのです。 やはりご自分のお住まいですから、工事の過程は気になりますよね。
準備を終えて、いよいよI様邸のリフォーム工事がスタートしました!
今回のリフォームは、すべてがガラリと変わるようなリフォームではありません。 I様が快適に暮らせるよう、構造補強や設備交換などは行うものの、内装はなるべく残して、リフォーム前の雰囲気そのままに仕上げます。
施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄
昔ながらの古い家は、現代の家には無い魅力があります。戦前に国が建てたという歴史を持つI様邸の工事は、大変印象深いものとなりました。
また、I様がご自身でDIYされたいというご希望があったので、DIYを思う存分楽しめるよう、下地まで仕上げてからお引渡しさせていただきました。
構造部分の点検を兼ねて、一箇所ずつ丁寧に解体を行います。
1階の床を解体すると広い土間になっていて、お店として使われていた時期があることがわかりました。 建物の歴史が感じられて、I様も興味津々でした。 解体前に予測していた通り、床下の状態は良好で、補強や交換の必要は無さそうです。
もともと国策で造られた住宅だったというI様邸。2階の床の下地には、宮内庁御用達のかなり良い材が使われていました。残念ながら経年で劣化していたため、今回新しい下地に交換します。
木材に「宮内庁御用達」のマークが入っていました。
2階北側にある窓の下を解体したところ、腐っている箇所が見つかりました。 雨漏りが原因と思われますが、被害は2階のみで、1階部分までは広がっていませんでした。 断熱材で隠れて表に現れなかったようで、解体前の様子からは、傷んでいることがまったくわかりませんでした。
Before
ちょうど解体を行う部分だったため、事前に被害が明らかになって、かえって幸いだったかもしれません。 雨漏りを放置するとシロアリ被害を招くことがありますが、シロアリ被害まで進んでいなかったのも幸運でした。
傷んだ部分の木材を新しいものに取り替えて、きれいに補修しました。
雨漏りの原因となっていたのは、窓の外に設置された手すり部分でした。 手すりを後付した際に、接続部の防水処理がきちんとされていなかったため、雨水が入ってしまったようです。
いったん手すりを撤去してしっかり防水処理を行い、もう雨漏りの心配はなくなりました。
防水処理が甘かった手すり部分。
手すりを撤去して防水処理を行いました。
新しくフラワーボックスを設置して完成です。
手すりのあった部分には、ガーデニングがお好きなI様のために、フラワーボックスを設置しました。 「道行く人のために、きれいな花が咲く植物を育てたい」と、I様もお喜びです♪
外壁に、エアコン室外機用の吊り下げ台が設置されていましたが、ボルト部分の防水処理がされておらず、あまり良い状態ではありませんでした。 ここからまた雨漏りが発生するといけないので、I様に確認の上、吊り下げ台を撤去して外壁に防水処理を施しました。
エアコンの室外機は振動するため、吊り下げ台に設置すると外壁にダメージを与える可能性があります。 少し邪魔ですが、室外機は地面に置く方が安心です。
床は経年で傷みが見られるため、1階・2階とも床を張り替えることになりました。 昔ながらの家に合う素材を使って、下地からすべて新しくします。
1階の床は下地からやり直して、断熱材を入れ、無垢フローリングを張ります。 I様は節のあるパイン材と迷われていましたが、ナチュラルな印象のカバザクラを選ばれました。
無垢フローリングは、柱や建具にも天然木が使われているI様邸にぴったりです。違和感なくいい雰囲気に仕上がりました。
Before
リフォーム前は畳張りでした。
下地まですべて解体しました。
新しい下地を組んでいきます。
床下に断熱材を入れ、冷気が上がるのを防ぎます。
自然のオイルで仕上げました。
2階の床の下地も、60年前に建築された当時のままで老朽化していたため、新しく造り直しました。 お部屋はそのまま和室としてお使いになりますが、畳は新しいものに交換します。
Before
2階も畳のお部屋でした。
畳をはがすと建築当時の下地が現れました。
しっかりした材で下地を造り直します。
新しく国産イグサの畳を採用しました。
I様は植物を育てるのがお好きだそうで、「ガーデニングに使えるサンルームがほしい」というのがご要望の一つでした。 I様お気に入りの家の雰囲気はそのまま残して、ロハスなベランダへと大幅にリフォームしました。
リフォーム前は小さかったベランダを、大きく拡張して2倍の広さにします。 外付けのデッキ材を、元のベランダに繋げる形で設置しました。
拡張した部分と、元からある部分を馴染ませるように、きれいに塗装して完成です。 これでガーデニングを思い切り楽しめますね。
Before
ベランダのトタン屋根は、建物のトタン屋根と繋がるように設置されていました。 しっかり取り付けられた屋根でしたが、屋根で日光が遮られ、ベランダが陰ってしまっていました。
そこで、ベランダの屋根を透明なものに交換することに。日がサンサンと降り注ぐ、明るいベランダに生まれ変わりました。
Before
施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄
この工事は一見、簡単なように感じるかもしれませんが、そうチャッチャとできる工事ではありません。 屋根の工事は、雨水が入らないようにする「雨仕舞(あまじまい)」に関わるため、注意が必要な作業です。
屋根まわりの工事は、きっちりやらないと雨漏りが起こる可能性があります。 雨漏りは木造住宅にとって大敵です。構造が劣化し、シロアリ被害につながる恐れもでてきます。
I様邸のベランダの屋根は、施工責任者である私の監理の下、べテラン大工が丁寧に仕上げました。
I様邸の2階には、北側と南側の2面に大きな窓があります。 外気の影響を受けやすい窓の断熱性を上げ、暑さ寒さを軽減して暮らしやすくします。
ベランダに出る南側の窓は、当初、内窓を設置する計画でしたが、窓自体をペアガラスに変更して、サイズも大きくできることがわかりました。
通常、窓を拡張する場合は、外壁を含めてかなり大がかりな補修が必要となり、コストも高くなってしまいます。 しかしI様邸の場合、外壁がトタンだったため、あまりコストをかけずに窓の拡張が実現できたのです。
窓を拡張することで、「またぎ」が低くなって、ベランダへの出入りが楽になります。 I様もこれには大喜びでした!
Before
北側は、外壁がモルタルだったため、サッシの交換にはコストがかかります。 そこで、内窓「インプラス」を設置して、サッシはそのままで断熱性を上げることにしました。
インプラスには様々なデザインバリエーションが揃っています。 I様邸には、和室に合う障子タイプのインプラスを設置しました。和の雰囲気がぴったりですね。
Before
インテリアコーディネーター
薄井 歩
I様邸では窓サッシを性能の高いものに交換した工事が、2010年に行われていた「住宅版エコポイント」の対象となりました。 住宅版エコポイントは、断熱改修などを行った場合、様々な商品と交換できるポイントが発行される制度です。
せっかくなので利用しましょうということになり、私たちの方で申請手続きを行い、後日無事にポイントをもらえることになりました。
住宅版エコポイントはすでに終了していますが、エコリフォームではリフォームをご依頼くださった方を対象に、助成金・補助金取得のお手伝いをさせていただいております。
詳しくは東京23区のリフォーム助成金情報をご覧ください。
2階の壁は、長屋ならではの音の問題を解消するため、遮音材を施工します。 また、I様がDIYで壁の仕上げを行えるように、下地を造り直します。
お隣と壁を共有している長屋住宅やテラスハウスでは、「音に気を使っている」という方も多いのではないでしょうか。 そんなお悩みを解決するのが、遮音シートです。
2階の隣家と接する壁に、隙間なくグレーの遮音シートを施工しました。 壁をボードで閉じると見えなくなってしまいますが、遮音シートがあるのと無いのでは、音漏れの程度がまったく違ってきます。
広い面だけでなく、窓の下や鴨居などの細かい部分まで、2階の壁全体の下地を造り直しました。 経年劣化で少し浮いていた部分もきれいに補修しています。
お引渡し後、I様がDIYで漆喰を施工される予定なので、作業しやすいように準備しました。
築年数が長いお住まいでは、配線や配管も古いままになっている場合が多く見られます。 現代の生活に合わなかったり、劣化して危険だったりするため、今回のリフォームで見直して改善します。 配線・配管工事はDIYではできないため、私たちが責任をもって施工しました。
当初はガス管を延長するだけの予定でしたが、現在の主流ではない細いサイズのガス管が使われていることがわかりました。 古いガス管は傷みが見られ、今度不具合が出る恐れもあるため、この機会に新しいものに交換しました。
ガスメーターからガスコックまでのガス管、キッチンのガスコンロへのガス管など、宅内のガス管はすべて新しくなり、安心して使えます。
一部の電線が露出して見えている状態になっていました。 前オーナー様が引き直されたものと思われます。
今回、露出していた電気配線を壁の中に入れて隠蔽し、スッキリした見た目になりました。 あわせて階段のライトを、人感センサーで自動点灯するものに交換しました。
Before
階段の電線が露出していました。
隠蔽配線にしてスッキリさせました。
水まわりのリフォームに伴い、水道管の点検を行いました。 前オーナー様が水道管をリフォームされていたようで、すでに新しい水道管に交換されていました。
問題なく使えることがわかり、I様も安心されていました。
水まわりも現代の暮らしに合わせて整えます。
I様邸はトイレのスペースがあまり広くないため、できるだけ省スペースのトイレ設備に交換しました。 新しいトイレは、タンクを角に付けて設置できる分、スペースが広く取れます。 I様のご希望に合わせて、ウォシュレットなどは付いていないシンプルなタイプです。
トイレの床は一度解体してから、きれいに施工し直しました。 仕上げは、水に強いコルクタイルを採用しています。
Before
リフォーム前は、キッチンのすぐ横に洗面台がありました。 洗面台はキッチンと共用にして、食器棚を置きたいというI様のご希望で、洗面台は撤去することに。 洗面台につながる水道管もきれいに処理して、限られたスペースを有効活用できるようになりました。
また、水はねが多いキッチンまわりの床にもコルクタイルを採用しました。
Before
I様より
ベランダが広くなって、住む前からすでに、植物のレイアウトが頭の中をぐるぐると回ってます! でもやりすぎると、布団が干せなくなったりしてしまうので、そのへんをちゃんと考えないと...(笑)。 ほんとうに、すごく、かなり、うれしいです!!
ベランダに出る窓のまたぎが少なくなったのもうれしい! それだけで、住み心地の良さが倍増する感じがします。素敵な提案をありがとうございます。
お客様ブログも良かったです。家に変えると、いつも「今日は更新されてる?」って言ってました。 床下など、工事中立ち会っていなければ見えないところまで、写真できちんと見せてくださったのも良かったです。
しっかりさせたいところはしっかり、キレイにしたかったところはキレイになって、本当に、私たちが思っていたとおりです。 雰囲気を残すところはきちんと残していただいて、本当に良かったと思います。
インテリアコーディネーター
薄井 歩
昔ながらの雰囲気を気に入って購入されたお住まいですから、「昔ながらの雰囲気が活きるリフォーム」がテーマでした。
築年数が長いこと、それから、お隣と壁を共有している長屋という特殊な形態であることから、ご心配な点もあったと思います。 こうした点を解消しつつ、I様の求める暮らしに添ったお住まいを造るお手伝いができたと感じています。
お客様ブログのコメントやメールで、I様からいつもユーモアあふれるメッセージをいただいて、スタッフ一同、温かく楽しい気持ちになっていました。 工事中もI様はじめ、ご近所の方々にも本当に良くしていただいて、心より感謝申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
I様より