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1階が駐車場の3階建て木造住宅を耐震補強

1階が駐車場3階建て木造住宅を耐震補強

H様邸 ハウスデータ

築年数14年
構造木造3階建て住宅
広さ建坪 15坪
内容1階 耐震補強リフォーム・2階 断熱リフォーム
地域東京都大田区

H様邸は、1階が駐車場になっている3階建ての木造住宅です。 1階が駐車場になっているピロティ構造の住宅は、耐震性の低いものが多く見られます。 築年数は14年と新しいものの、ピロティ構造のため、H様も不安を感じていらしたそうです。

ご相談を受けて、1階部分に耐震補強+制震補強を行い、地震への抵抗力を大幅にアップさせることになりました。 ピロティ構造の木造3階建て住宅が、これからもずっと安心できるお住まいに生まれ変わります。

1階が駐車場の3階建て木造住宅イメージ

はじめにメールでお問い合わせをいただきました

我が家は、平成7年で建売で購入しました。

15坪の3F建てで、1F部分が駐車場のピロティ構造です。

築年数で考えれれば耐震の心配は要らないと思いますが、構造上、どうしても気になっています。

Before

リフォームアドバイザー
塩谷 理枝

H様のお住まいは築14年とまだ新しい木造3階建て住宅です。 1階が駐車場になっているピロティ形式の建物なので心配だとお問い合わせくださいました。

H様邸のように、1階に車庫を構えた木造3階建てのお住まいは、建物が密集している都内ではよく見かけます。 土地の事情を考えると仕方がないところもありますが、耐震性はやはり心配です。

施工責任者の塩谷敏雄と現地調査にお伺いしたところ、H様が予想されていた通り、駐車場になっている1階に補強した方が良い箇所がいくつかありました。

H様邸の問題点

現地調査の結果、H様邸には下記のような問題があることがわかりました。

1. 駐車場の壁が上階の壁とズレている

1階駐車場の壁は、2階と3階を支える重要な壁ですが、上階の壁とズレた位置に設置されています。 本来、駐車場の壁は、上階の壁の直下にあるべきですが、少し外側になっているのです。 駐車場を大きくするための苦肉の策だったのでしょうか。

駐車場の壁と上階の壁がまっすぐにつながっていれば、上階の重さを支えることができますが、この形では上階の力が分散されてしまいます。 弱い部分に力が集中してかかるため、地震などで倒壊するおそれがある危険な状態です。

2. 上階を支える柱の強度が不足している

2階のバルコニー部分を支えている2本の柱は、建物を支える重要な役割を果たしています。 特に玄関前の柱は、建物にかかる力が集中する大切な柱です。 しかし、柱が細く、取付方法が不十分で、基礎もないことがわかりました。

上階の重さを受けて建物を支えることができるよう、2本の柱をガッチリ補強して、強固な状態にする必要があります。

3. 駐車場の出入口が大きな開口部になっている

都心では土地が限られていて駐車場の確保が難しく、費用もかなりかかるため、住宅の1階部分を駐車場にするのは仕方のない部分もあります。 しかし、建物を支える上で重要な1階部分が駐車場で空洞になっているのは、やはり心配な状態です。 木造3階建て住宅なら、なおさら補強の必要があります。

大きな開口部は建物の弱点となり、地震で建物が倒壊する時は、開口部に向かって崩れます。 道路に面している駐車場の出入口は、避難経路にもなる重要な箇所なので、しっかり耐震補強を行う必要があります。

4. 駐車場上の居室の断熱性が低い

点検口から確認したところ、駐車場の天井に断熱材が入っていませんでした。 つまり、駐車場の上にある居室の床に断熱材がないということです。 冬場などは足元から冷気が上がってきて、寒く感じることでしょう。

耐震補強工事に合わせて、駐車場の天井に断熱材を入れることで、2階居室の快適性をアップします。

耐震補強計画

問題点を解消するため、下記のような耐震補強計画を立てました。

1.耐力壁を新設

駐車場側面に基礎と柱を新しく造り、筋交いと構造用合板で、上階をしっかり支えられる耐力壁を新設します。

2.柱を補強

玄関前の柱は、左右から新しい柱を結合して1本の太い柱に。もう1本の柱は仕口ダンパーで補強します。

3.梁を補強

駐車場出入口にある梁を補強し、30cmの大きい仕口ダンパーを設置します。

4.天井に断熱材

駐車場の天井部分に、高性能の断熱材「パーフェクトバリア」を施工します。

リフォームアドバイザー
塩谷 理枝

木造3階建ての建物を支えることを考えると、大きな開口部は無い方が良いでしょう。 リフォーム当時、H様は駐車場をお使いではなかったこともあり、開口部を壁にして、駐車場を居住部分にするご提案をしました。

しかし、H様は将来的にご自宅をどうするか決めかねているようでした。 ご家族でずっと暮らすなら1階を居住部分にする方がいいですが、中古住宅として売りに出すなら駐車場のままの方がいいかもしれません。

そこで今回のリフォームでは、開口部はそのままの状態にして、木造3階建ての建物を支えられる補強を行うことにしました。 強固な梁を設置し、補強した柱としっかりと結合した上で、仕口ダンパーも設置します。 仕口ダンパーは地震の揺れを軽減する制震効果があり、開口部に耐力壁と近い強度を持たせることができます。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

慎重に判断して立てた耐震補強計画です。

H様邸は木造3階建て住宅ですが、購入された際に構造計算書が用意されていなかったそうです。 構造計算書がないと建築時の情報が足りないため、耐震診断を行うことが難しくなります。

H様邸も非破壊の状態では耐震診断ができなかったため、隅々まで詳しくチェックして判断し、耐震補強計画を立てました。

この後、実際の工事が始まってから、壁や天井を一部壊して内部を確認することになります。 その時点でさらに改善点が見つかれば、状況に応じて耐震補強計画を修正していく予定です。 耐震診断ができない状態で立てた耐震補強計画のため、H様がご不安を感じないよう、より詳しい資料を作成してご説明しました。

耐震補強工事の様子

木造3階建て住宅の耐震補強工事がいよいよ着工です。 駐車場の壁や天井部分を解体して、建物内部を点検したところ、いくつか問題点が見つかりました。

解体後に判明した問題点の改善

はじめに、解体後に判明した問題点を改善する工事の様子をご紹介します。

筋交いプレートの問題

筋交いは、柱と梁や裄を斜めに結ぶ構造材です。 H様邸にも筋交いが設置されていましたが、筋交いを固定するための金物、筋交いプレートが不足していることがわかりました。

不足している箇所に筋交いプレートを設置して、筋交いを固定しました。


Before


After

羽子板ボルトの問題

羽子板ボルトは、梁と裄の継ぎ目を固定する耐震金物です。 H様邸にも羽子板ボルトが設置されていましたが、接合が甘く、建物に負荷がかかると外れてしまう状態でした。

羽子板ボルトをしっかり固定して対応しました。


Before


After

アンカーボルトの問題

アンカーボルトは、基礎と建物を固定するための耐震金物です。 H様邸にもアンカーボルトは設置されていましたが、やはり接合が甘い箇所がありました。

アンカーボルトもきちんと固定しました。


Before


After

水漏れの問題

駐車場の上にある2階のベランダから水漏れが発生しているため、構造材の一部に腐りが見られました。 水漏れはシロアリの原因ともなるため、注意が必要です。

構造材の傷んだ箇所をすべて取り去って、新しい材木と交換しました。


Before


After

1.耐力壁を新設

駐車場側面の壁は、上階の壁とズレていて、上階からかかる力がうまく伝わらない状態でした。 上階がより重い木造3階建てのため、大きな地震があった時には、上階の重さを支えることができません。 そこで、上階を十分に支えられるような耐力壁を、基礎から新しく造ることになりました。

駐車スペースが少し狭くなるため、大型の乗用車は入らなくなりますが、3階建ての建物を支えるために必要な補強です。 それでも軽自動車サイズなら駐車可能な広さは確保しています。

Before

まずは基礎の配筋から。13mmの鉄筋を設置し、基礎の形枠を作ります。丈夫な基礎にするために大事なポイントです。

コンクリートを流し込んで、しっかりとした基礎ができあがりました。

新しく柱を立て、筋交いを設置して、耐力壁を造っていきます。

木材をシロアリからガードするため、防蟻剤を塗りました。下部の色が濃い部分が防蟻剤です。

柱と筋交いを覆うように構造用合板を張り、規定のピッチで釘を打ち込みます。ここにも防蟻剤を塗りました。

2.柱を補強

玄関の前にある柱は、3階建ての建物を支える重要な箇所で、上階から非常に大きな力がかかっています。 しかし、柱が細めに造られていて基礎もないため、心配な状態でした。 そこで、図のように、元の柱の左右に新しい柱を立て、周囲に構造用合板を張って、3本の柱を1本の強固な柱に補強することにしました。

また、もう1本の柱は仕口ダンパーで補強を行います。

Before

柱を支える基礎を造ります。新しい柱を固定するため、型枠の中に金物を設置しました。

型枠にコンクリートを流し込み、固まったら外します。基礎ができあがりました。

元の柱を挟み込む形で、左右に新しい柱を立てました。この3本を1本の太い柱にします。

柱と梁の接続部分は、耐震金物でしっかりと固定します。

柱の周囲に構造用合板を張って強度を上げます。3本の柱が結合されました。

もう1本の柱には仕口ダンパーを設置しました。

3.梁を補強

駐車場の出入口に、木造3階建ての建物を支えられるための梁を設置します。 新設した耐力壁と補強した柱で梁を支え、しっかり結合します。

梁の補強後、梁と柱の交点である「仕口」に、仕口ダンパーを設置します。 仕口ダンパーは地震の揺れを軽減する制震機能を持つ耐震金物で、開口部に耐力壁があるのと同等の強度を持たせることができます。

※実際に仕口ダンパーを設置したのはサイディング施工後となります。

Before

新しい梁はレッドウッド(セコイア)の集成材で造りました。水に強く腐りにくい木材です。

左側が新設した耐力壁、右側が補強した柱です。その上に新しい梁を架けました。

新しい梁を新設した耐力壁に接合しました。

補強した柱にも接合しました。梁をしっかり支えることで、開口部の強度を高めます。

接合部が外れないように、接合金物で固定します。

柱と梁の交点に仕口ダンパーを設置できるように、隙間が空いています。

仕口ダンパーを設置しました。

これで壁があるのと同じくらいの強度を持たせることができます。

4.天井に断熱材

駐車場の天井、すなわち2階居室の床に断熱材が入っていませんでした。 上階の床に断熱材が入っていない建物もありますが、下階がお部屋にならそれほど寒くありません。 しかしH様邸は下階が駐車場になので、冬場は床下から冷気が上がってきて寒かったそうです。

補強のために駐車場の天井を解体したのに合わせて、断熱材「パーフェクトバリア」を施工しました。 パーフェクトバリアは、ペットボトルをリサイクルして作られた断熱材で、人体に害がありません。 安価な断熱材は経年で断熱性が低下しますが、パーフェクトバリアは長期間にわたって高い断熱性を保ちます。

Before

白いお布団のようなものがパーフェクトバリアです。

仕上げ工事

新設、補強した箇所に防水シートとサイディングを張って、塗装と左官で仕上げます。

新設した耐力壁に防水シートを張りました。接合部分の金物が見えています。

補強した柱にも防水シートを張り、水の侵入を防ぎます。

水漏れがあるとシロアリが発生する恐れがあるので、注意が必要です。

防水シートの上から化粧材のサイディングを張っていきます。

柱にもサイディングを張ります。元の壁と似た雰囲気のものを選びました。

継ぎ目の部分に違和感がないよう、丁寧に施工しました。

全体に張ったサイディングを、元の壁と似た色で塗装していきます。

プロの塗装屋さんがぴったりの色を特注で作ってくれました。

後付け部分がわからないくらいに自然で綺麗な仕上がりです。

天井は合板を張り、元の天井と同じ色で塗装しました。

左官職人さんが新しく造った基礎をきれいに仕上げてくれました。

耐震補強リフォームが完成です!

10日間の工期でH様邸の耐震補強リフォームが完成となりました。 耐震補強前と比べると、駐車場まわりが補強されて、上階をどっしり支えている印象になっています。

駐車場を有効活用しつつ、今後も安心してお住まいいただける建物となりました。

Before

リフォーム後のご感想

H様より

耐震工事が無事に終了して、改めてホッとしているところです。 不安の無い家に住める安堵感は、何にも勝るものだと思います。

正直、リフォームをお願いするときには、こんな気持ちになるとは想像していませんでした。 無事に耐震補強工事が終わったことだけではなく、信頼のおけるエコリフォームさんに建物をお任せできたからだったと、心から感謝しています。

引き続き、メンテナンスなどでお世話になるかと思います。 今後とも末永くお付き合いいただきたく、よろしくお願い申し上げます。

リフォームアドバイザー
塩谷 理枝

H様邸は木造3階建てで構造計算書がなく、耐震診断ができなかったため、建物の強度を数値で表すことはできませんでした。 耐震補強後にどの程度改善したかも数値では表せませんが、実際にお住まいになって、揺れが軽減されたことを実感いただけると思います。

主に駐車場まわりの耐震補強でしたが、工事中は音やホコリなど、何かとご迷惑をおかけしたかと思います。 それでもH様から「耐震補強をして本当に良かった」という言葉をいただいて、とてもうれしく感じました。

この度は、ありがとうございました。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

耐震診断を行わずに耐震補強することになりましたが、大切なお住まいをお任せいただき、ありがとうございました。 安心で安全な生活のために、現在考えられることを精一杯行ったつもりです。

耐震補強工事では、「工事を行ったことが、後から見てわからない」状態にすることがポイントだと思います。 安全に暮らすために必要な工事であっても、補強の跡が目立ちすぎては見た目にも良くありません。 今回、確実な補強を行うと共に、外装の仕上げにもこだわりました。

これから安心して暮らされることを切に願っています。ありがとうございました。


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