TOP > リフォーム事例 > 部分リフォーム > LDK増築で、ワンちゃんとゆったり寛げる空間へ



住居に住みながらの工事ということで気を遣っていただきありがとうございました。

また台風のために工事が遅れた分を工期に間に合うようにと手配していただいたり、遅くまで作業をしていただき感謝です。またこちらの希望を叶えてもらえるだけでなく、プロフェッショナルの立場からの提案もいただいたおかげで期待していた以上の出来映えに驚嘆しました。

住む人の立場に立った造作は仕事に対する誠実さも感じました。この縁を大切にして行きたいと思います。



M様邸では、リビングと、隣接する廊下のリフォームと増築を行いました。 ご夫妻の一番のご希望は、「リビングを心地よいスペースにしたい!」ということで、少しスペースを広げることになりました。

増築は構造に手を入れるリフォームになりますので、それで建物の強度を損なってしまうことがあってはいけません。 そのことを踏まえたうえで、ご要望に沿った間取りやインテリア、素材のご提案をさせていただきました。

ご夫妻とは何度もお打ち合わせをいただき、最終的にこのような計画となりましたが、こちらのページでは、ここに辿り着くまでの流れを詳しくご紹介します。

ハウスデータ

築年数 14年
住宅仕様 2階建て木造住宅
リフォーム内容 ・1階の増築
・外壁
リフォーム面積 約30㎡
地域 東京都足立区

M様とエコリフォームのご縁
M様邸は、14年前に建てられたお住まいで、現在、お子さんは独立され、M様ご夫妻とワンちゃんでお暮らしです。

この度、お二人が最も長い時間を過ごすリビングのリフォームをお考えになったそうですが、建てた時の大工さんは既に、引退してしまっていたそうです。

そこで、どこか別の業者を探さなければならなくなってしまい、インターネットでエコリフォームを見つけてくださって、まずはお電話でご相談をいただきました。

そして数日後、実際にお住まいを拝見させていただくことになりました。

こちらのお宅は、適切な時期にきちんとメンテナンスがされており、傷みも無く、綺麗にお住まいでした。

ただ、お二人が最も長い時間を過ごすリビングと、隣接する廊下部分が使いづらい・・・というのが、建築当初からのお悩みであったそうです。

左図がリフォーム前のM様邸です。
リフォームをお考えだったのは、赤い部分。
希望を取り入れながら少し増築してスペースを広げたいというご希望です。

※増築は現在、法律的に難しい場合が多いのですが、M様邸は、余裕のあるご所有の敷地内での増築なので、ご希望をかなえることが可能でした
【リビング】
外にはお庭が見え、日たりの良いM様邸のリビング。それだけに、「もっと広く、便利に過ごせたらいいな」とお考えでした。

例えば、ご夫妻お気に入りの大きなダイニングテーブルは、スペースの都合上、上の図面のように壁付けにせざるを得ませんでした。

その為、水周りのある廊下側に抜けるのにテーブルをぐるりと回って行かなければならず、面倒だなぁと思われていたそうです。
 
 
【キッチン】
建築当時からお使いだった、壁付けのL型キッチン。
とても綺麗にお使いなのですが、それでもやはり、いつもキッチン周りが丸見えになってしまうのが気になっていらっしゃいました。

また、真西を向いているキッチンなので、作業する際の暑さにもお悩みでした。

更に、M様の場合、ご主人様もキッチンをお使いになる機会が多いそうなのですが、 そうなると今のキッチンはご主人にとっては高さが低すぎて、もうちょっと高ければいいな、とお考えでした。
【廊下とお勝手口】
こちら、リビングと、奥の水周りスペースの間をつなぐ廊下です。

突き当たりにお勝手口がありますが、現在はほとんど使っていないとのことで、 出入り口周辺に物が置かれてしまっている状態でした。

また、廊下の真ん中に、洗濯機がポツンとありました。リビングとの出入り口に近い場所で、出入りの際に洗濯機が丸見えになってしまうのを気にされていました。洗剤などを収納するスペースもありませんでした。
【洗面台】
シンプルな洗面台は可愛らしいのですが、奥様がこちらでお化粧をされる際は ちょっと使い難いとお考えでした。

横にご主人様がDIY(見事な出来栄えです!)で棚を取り付けてお使いでしたが、洗面台周りは結構いろいろなモノを置くスペースなので、少し手狭でした。

そこで「すごく大きな洗面は必要無いけれど、使いやすい工夫が欲しい」とお考えでした。
 

そして出来上がった計画がこちらです!



▼ M様のご希望を反映しつつ、私どもの提案も取り入れた、リフォームの計画が出来上がりました!
  横に少しだけ増築し、リビングとキッチンが今までより広く使えるようになります。

キッチンは、スペースが広がったので、対面スタイルにすることができて、 奥様の悩みであった「キッチンが丸見えになってしまう」という問題は解消されますよ。
背面には、収納を備え、どうしても物をあれこれ置かれてしまいがちのキッチン周りがスッキリと使えるようになります。

リビング・ダイニング側のスペースは、以前に比べてすごく広くなった訳ではないのですが、 冷蔵庫や食器棚などが増築したスペースに収まったことと、生活観のあるキッチンや道具が見えないことで、すっきりと広がりのある空間になりました。

▼ 導線が良くなります

家の中の動線を考える上で、一日、何度も行かなければならないトイレへの動線は非常に重要なポイントです。

しかし、その重要な生活動線が、リビングにあるダイニングセットで、右図のように複雑になってしまっていました。キッチンの作業スペースを確保しなければならない為、右図のようにテーブルを置かざるを得なかったのです。

でもリフォーム後は、その複雑だったな導線は、とてもスムーズになりますよ。

また、キッチンから廊下への新たな動線も確保します。
お料理やお洗濯といった毎日の家事を行う際、グルグルと遠回りしなくても良くなり、毎日の家事動線としても、とてもスムーズに使いやすくなります。

▼ 廊下も大幅アレンジ!!

廊下のつきあたりにあった「お勝手口」をなくしたことで、スペースが広がります。

今後、この廊下は、ただの通路ではなく、実にたくさんの役割を持つスペースに変わりますよ。
まず、移動のための通路、洗面化粧室、洗濯機と収納があるユーティリティー、書籍や焼き物などが仕舞われた収納庫、そして中央のカーテンを閉めれば浴室に隣接した脱衣所にもなります。

こんな風に廊下を廊下だけではなく、多目的なスペースに出来ると空間を有効に使うことが出来ます。

洗面台は、おしゃれなオリジナル造作洗面台になります。 収納も作りつけしますので、タオルなどもこちらに置くことができて、スッキリ使えるようになります。

▼ 構造に手を入れることで、強度を損ねたりすることの無いような計画を

今回のリフォーム工事で、建物の強度が損なわれるようなことがあってはいけません。
こちらのお宅でも、強度を保つために撤去したくない壁がありました。 対面のキッチンもフルオープンにできればよかったのですが、ガスの前の壁と シンクの横の壁は、必要という判断で耐力壁としました。

また、もともと外壁だった壁の一部は残すことが必要でした。

ご希望の間取りを実現させていただくことも大切な私たちの役目ですが、 構造上の条件を十分に考慮の上で、出来ること出来ないことをきちんと お伝えすることが、何より大切だと思っております。

今回もM様が、そのことを十分にご理解くださっていたので、計画が順調に進みました。

▼ 断熱材と遮熱材で暑さ対策

こちらのお宅は、14年前に建てられた建物ですので、古いお宅と違い、壁には断熱材が施工されていました。

それでも、特に夏の暑さ、西日にお悩みで、数年前には、暑さ対策として外壁と屋根に遮熱塗料を塗装されたり、リビングの大きな掃き出し窓は、従来の窓の内側にインナーサッシ(内窓)を取り付けられていました。
今回の増築は、夏に悩まされる西日が入ってくる西側の壁面ですから、新しくする壁と天井には、外気の影響を受け難くするために、断熱材と遮熱材をダブルで施工して万全にさせていただきました。また、増築に伴い、二箇所に新しい窓を取り付けますが、それらも断熱性の高いペアガラスのサッシにいたします。

真夏の暑い時期でも、ワンちゃんが気持ちよくお昼寝できて、M様ご夫妻ものんびりと自分の時間が過ごせる、そんな空間になるようにいたします。


使用する素材は「本物」にこだわる
M様の大きなご希望のひとつ、それは「本物を使いたい」ということでした。
では、ニセモノではない、本物というのはどういうことでしょうか?

モノが大量に量産され、消費されるようになった現代では、家に使う内装材や家具も、 昔のように、木や土を使って丁寧に職人さんが手作りをするものではなく、機械工業製品が大半を占めるようになりました。

床に使うフローリングは、合板と呼ばれる、薄いベニヤ貼り合わせたもの、壁紙はビニルクロス、家具や建具も、ラミネート加工されたもの。
大量に生産できて安価ですが、「本物」とは言えないものです。
M様は、そのような工業製品ではない物の「良さ」をよくご存知で、 職人さん手作りの木の家具をお使いでしたし、DIYで、ご自分で木を購入してウッドデッキを手作りされたりと、こだわっていらっしゃいました。

私達エコリフォームにお問い合わせをいただいたのも、素材にこだわっているという点が良いと思ってくださったのが理由の一つであったそうです。

ご主人は芸術に造詣が深く、様々な作家さんの作品を飾っていらっしゃいます。 そんなアート作品も、やはり「本物」の空間の方が映えます。
新しくなるリビングや廊下には、私どもオススメの良い素材をご提案することにいたしました。
M様邸で使用する「こだわり素材」

▼ 無垢フローリング

天然木100%の板を使った「無垢フローリング」を、リビングで採用されます!

木の優しい風合いもさることながら、実際に触れたときも心地良く、私どもでは必ずと言ってよい程、おすすめしている自然素材の代表です。

ワンちゃんをお暮のM様。ペットと暮らされるご家族の場合、 お掃除がしやすいウレタン仕上げのものを選ぶお客様も多くいらっしゃるのですが M様はあえて「素材感」にこだわり、天然オイル塗装仕上げを選ばれました。

>>無垢フローリングについて詳しくはこちらも合わせてご覧ください

▼ コルクタイル

二箇所の廊下の床は、コルクタイルにします。
コルクの大きな特徴は、水濡れに強いこと、そして足触りがソフトでサラッとしていることです。

リビングの奥の廊下は、洗面台があり、お風呂の脱衣スペースも兼ねますので、水に濡れたり、裸足になる機会の多いスペースです。
こちらは、無垢フローリングよりも、断然コルクをおすすめしました。

また、玄関からリビングに通じる廊下もコルクを貼ります。
ワンちゃんとお暮らしのM様、ワンちゃんとのお散歩から帰って来たときには、足を綺麗にしてあげる必要がありますが、玄関からの廊下が掃除しやすいコルクだと、ちょっと濡れても大丈夫なので、ラクチンです。

>>コルクタイルについて詳しくはこちらも合わせてご覧ください

▼ 天然の紙を使った風合いの良い壁紙

壁と天井には、紙に木のチップを漉き込んだ自然素材壁紙「オガファーザー」を。
こちら、天然の木のように、湿度を調整する効果を持つ壁紙です。
天然の紙と木で出来た風合いは味わいがあり、勿論、ビニルクロスのような化学物質を含みません。
>>オガファーザーについて詳しくはこちらも合わせてご覧ください

アクセントの部分は土佐和紙を採用します。職人さんが手漉きした、工芸品と言っても良い品質を誇る壁紙です。
>>土佐和紙について詳しくはこちらも合わせてご覧ください

▼ 無垢国産材を使った建具

2箇所の間仕切りを交換、1箇所は間仕切りを新設いたします。 新しい建具は、品質の高い、無垢国産材を使った建具に定評のある「イマガワ」製のものを提案いたしました。

>>イマガワ建具さんwebサイト
増築部分もしっかり断熱計画を

こちらのお宅は、14年前に建てられた建物ですので、古いお宅と違い、壁には断熱材が施工されていました。

それでも、特に夏の暑さ、西日にお悩みで、数年前には、暑さ対策として外壁と屋根に遮熱塗料を塗装されたり、リビングの大きな掃き出し窓は、従来の窓の内側にインナーサッシ(内窓)を取り付けられていました。

今回の増築は、夏に悩まされる西日が入ってくる西側の壁面ですから、新しくする壁と天井には、外気の影響を受け難くするために、断熱材と遮熱材をダブルで施工して万全にさせていただきました。

また、増築に伴い、二箇所に新しい窓を取り付けますが、それらも断熱性の高いペアガラスのサッシにいたします。

真夏の暑い時期でも、ワンちゃんが気持ちよくお昼寝できて、M様ご夫妻ものんびりと自分の時間が過ごせる、そんな空間になるようにいたします。

M様もこの計画を気に入ってくだり、あっという間にリフォーム工事着工の運びとなりました。ありがとうございます。

次のページでは、このページで紹介しました計画の通りに出来上がってゆく、工事の過程をご紹介します!

M様邸・40日程の期間をいただきました、増築+リフォーム工事の様子をお伝えします!
M様邸のリフォームの様子をこちらのページにてご紹介します。

今回の工事では、1階の西側を少し増築し、リビングと廊下を広げます。

増築は、もともとの建物に穴を開けて新しい部分を付けるという工事ですから、きちんとした工事をしておかないと、後から不具合が出てきてしまうケースが多い、という注意点があります。

例えば、増築の繋ぎ目部分が雨漏りをしてしまう、増築部分の施工が甘い為に、そこから傷みが進んでしまう・・・等々。

せっかくお金をかけて増築しても後からそのような事になっては困ってしまいますので、計画の段階から細心の注意を払い、しっかりと工事をさせていただきました。
着工~基礎工事

着工前です。写真の、色が付いている部分を増築することになります。

まずは、増築する箇所の基礎工事から入ります。基礎を形成するための型枠が組まれました。

型枠の中には、建築基準法で定められた鉄筋も組まれています。

コンクリが流し込まれました。等間隔に出っ張った棒が出ていますが、これは、これから施工する土台や柱と接合するための「アンカーボルト」です。

型枠が外されました。綺麗に出来上がった基礎です。

基礎の上に、土台が設置されました。
基礎と土台の間に、何か薄いものが挟まっているのがわかりますでしょうか。こうやって、基礎と土台の間に少しの間を空けることで、床下に空気を循環させ、床下に湿気が溜まってしまうのを防ぎます。

細心の注意を払いながらの木工事

外壁の一部が撤去されはじめ、同時に、増築部分の土台や柱も設置され始めていますね。

どんどん組まれて行きます!

せり出した増築部分の形がわかるようになってきました。

増築部分のせり出した屋根の施工の様子。既存の壁面につける形になります。 こういった、増築した時の接合部は、後々、雨漏りを招く事があるので、施工の際には十分な注意が必要です。

少しの隙間も出来ないように、専用の強力なテープを使って丁寧に埋めます。

下地の上に防水のシートが敷かれた状態です。この上から、屋根材が葺かれます。

こちらは屋根の下の様子。
既存の壁を撤去しながらの増築は、一時的に強度が落ちてしまいます。そのため、 写真真ん中のような専用のパイプで支えながらの作業です。

外部に構造用合板が張られたところです。
構造用合板とはJIS基準で定められた強度のある合板で、こちらを貼ることで、耐力壁のような強度を持たせることが可能です。

床を支える「大引き」が施工されています。大引きや土台と繋がっており、この後、床の下地として設置される根太を支えてくれるものです。

増築をすると、家のバランスが少しおかしくなって若干ゆがむことがあります。そういった事が無いように、構造を考えた補強を行っています。こちらは、新しい梁。既存の柱と今回新しく追加した柱を繋いでいます。

こちらは、「火打ち金物」です。地震などの際の水平力を分散する効果があり、建物の角に設置することで力を発揮します。今回の増築で家の角の部分が変わるので改めて設置しなおしました。

新しい窓が入りました。断熱と遮音性を持つ、複層ガラスの窓サッシになっています。1階ということで、防犯のための格子も付いています。

既存の部分と増築部分の境が判らないくらいになりました!

断熱工事
14年前の建築であるM様邸は、既存の部分にはしっかり断熱材が入っていますが、今回増築する部分に断熱性能が無ければ、冬の冷気や夏の熱気の影響を強く受けるようになってしまいます。

特にこの増築箇所は、西日が当たる方向であり、すぐ上に屋根が付きますから、夏の暑さの影響を受けやすくなる部分になります。

天井・壁・床と、しっかりと遮熱+断熱材で包み込みます。

まずは、遮熱。この銀のシートが遮熱材です。97%の熱反射率をもつラミパックを使用しました。
>>ラミパックについて詳しくはこちら


そして断熱。私達エコリフォームの工事ではいつもお馴染み、ペットボトルの再生で作られてたフワフワの「パーフェクトバリア」です。
>>パーフェクトバリアについて詳しくはこちら

更にその上に!カビの発生などを防いでくれる効果のある、可変透湿シートを貼ります。
>>可変透湿シートについて詳しくはこちら


床は、また専用の断熱ボードがあります。こちらも、高性能で体に害が無い「フクフォームeco」を使用しました。
>>フクフォームecoについて詳しくはこちら


外壁の工事

木造住宅は湿気が大敵なので、防水シートは絶対に必要です。M様邸で張られたのは、遮熱効果のある防水シートです。

剥がれてしまわないように隅がしっかりと留められました。

増築部分の外壁にサイディングが張られました。
14年前に張られたサイディングと全く同じものは、既に廃盤になってしまっていましたので、よく似たものをお選びして採用いたしました。
違和感無く仕上がりました!

キッチン取り付け・造作・内装

この度のリフォームで対面キッチンになりますので、リビングとキッチンスペースの間にカウンターが造作されました。

キッチンが設置されました。M様邸で採用したのは、タカラスタンダードさんのホーローキッチンです。
>>タカラスタンダードのキッチンについて

無垢のフローリングが張られ、オイルの塗装がされているところです。塗装は基本二度塗りしますが、二度目は、完成間近のタイミングで行いますので、しばらくは傷や汚れが付かないように養生で覆ってしまいます。

こちら、M様の敷地内のスペースをお借りして、大工さんが何かを造作していますが、何かと言いますと・・・・

この造作洗面台用の天板でした!

天然の木は、最後に塗装の仕上げが必要です。こちらでは、味わいのあるブラウンカラーに。使用したのは、リボス社の「カルデット」。天然素材の優しい塗料で、撥水効果も持ち合わせています。

職人さんが廊下の床にコルクタイル施工中!コルクはホームセンター等でDIY用のものも多く流通していますが、プロの業者が丁寧に施工するコルクタイルは、見た目も持ちも、全く違います。

こちらではクロス(壁紙)の専門職人さんが施工中。大きな面積をムラ無く張るのは、プロではないと難しいものです。M様邸では、デリケートな和紙の壁紙を使用しているので、通常のものより張り方にコツがいるんです。二人がかりで張ってくれています。

ほぼ出来上がってきた室内。電気屋さんが照明を設置しました。


【M様&ワンちゃんにとってはお住まいになりながらの工事になりました】

M様邸は40日ほどの工期をいただきました。
そのうち、1ヶ月ほどの期間は1階が完全に「工事現場」になってしまう為、M様ご夫妻&ワンちゃんは主に2階で過ごしていただくことになりました。

2階は工事を行わないものの、在宅での工事は。音がかなり響いたり、キッチンが使用できない時期があったりと大変ご不便をおかけすることになり、家にいても、落ち着かなくなってしまう場合が多いので、そのあたり、よくよくご説明させていただき、ご納得いただいた上での工事となりました。

工事中には、時折、可愛らしいワンちゃんを連れて工事の様子をご覧に下りてきてくださって、 現場スタッフの心を和ませてくださいました♪
そして、M様邸のリフォームが完成しました!


図面 Before → After



屋内導線も大きく改善されました。

リフォーム前のリビングでは、キッチンで作業する為のスペースを取るために、リビングダイニングテーブルは壁側いっぱいにに寄せてお使いでした。 そのため、トイレに行かれる際には、キッチン側をぐるりと回って行かなければなりませんでした。

今回、リビングを広げて、テーブルをキッチンカウンター側に付けて設置することができるようになりました。 これで、廊下側へ出やすくなります。

キッチンスペースからも廊下へ出られる出入り口を設け、屋内導線が随分とスムーズになりました。

回り道しなくても、キッチンからリビング、リビングから洗面やトイレ、キッチンから洗濯機置き場やトイレと、スムーズに移動できます。



それでは完成の様子をポイントごとに詳しくご紹介いたします♪


M様こだわり!のおしゃれな赤いアクセントウォール
7畳だったお部屋が10畳ほどに広がり、以前よりもずっとゆったりと、導線もスムーズに使えるようになったリビング。キッチンが対面スタイルになっても、かなり余裕があります。

この空間に入って、まず目に付くのは、こちらの印象的な赤いアクセントウォールです。
芸術に造詣の深いご主人が、「美術館のイメージ」とのことで、お選びになったお色なんです。サンプルをお持ちした際に「この色ですね!」と、即決なさいました。

完成後は早速、お気に入りのアートを飾られ、写真のようなカッコイイスペースになりました!

このポイントが、空間を引き締め、木の暖かみがありながらも、スタイリッシュなイメージを演出してくれています。


この赤いクロス、手漉きの「土佐和紙」なんです。和紙ならではの独特の風合いは、 ただの赤い壁ではない深みを感じさせてくれて、また素敵なんですよ。

ワンちゃんがお気に入りのソファは、このアクセントの場所に置かれます。 ご夫妻も一緒に座られてにっこりです!

ご夫妻の会話が弾む対面キッチン
以前のキッチンのスタイルですと、くつろいでいるところからキッチンが丸見えでした。

はじめは、対面キッチンは、M様がお考えのご要望にはなかったのですが、リビング・ダイニングをすっきりとくつろぎのスペースにするために、作業場であるキッチンとくつろぐスペースを緩やかに間仕切る、この対面スタイルをご提案いたしました。

対面スタイルの良いところは、作業をするキッチンの手元を隠しながら空間としては、一つに感じられ、リビングダイニングの人と自然に会話が出来るところではないでしょうか。

対面キッチンにされたことで、お台所仕事をしながらでも、ご夫婦の会話も弾み、ワンちゃんの様子もいつも見ていられます。

キッチンの上には、収納の吊戸を設けることも出来ましたが、『吊り戸棚は、無いほうが良いね!』とご主人からご意見もいただき、より一層、圧迫感のないすっきりとした空間になりました。
近年ではM様邸のように吊戸を設けず、よりオープンにするスタイルが人気です。


▼ タカラスタンダードのホーローキッチン


キッチンは、私どもの行うリフォームではお馴染みのタカラスタンダード製。
勿論、タカラさんと言えば、ホーローキッチンですよ。

ホーローの鍋などをお使いの場合はよく実感できるかと思いますが、ホーローは汚れがついてもお掃除がしやすく、傷みにくい素材です。

タカラさんは既に、50年以上ホーローのキッチンを製造し続けてきており、それだけに質実剛健なのが素晴らしい!!長く綺麗に使うことができるオススメキッチンです。

M様邸で採用いたしましたのはスッキリしたデザインの「エマージュ」シリーズです。

コンロは前のキッチンのものがまだ新しかったので、再利用されています。

▼ キッチン背面


背中側の収納は、フロアーユニットにたっぷりの収納力を持たせて、 上部には収納を造らず、棚板を一枚だけ取り付けました

この棚板は、リビング側からもよく見える位置なので、遊び心のある飾り棚として、写真のようにお気に入りの陶器を上手に飾って楽しまれています。

出入り口側、レンジが置いてある箇所の下の部分だけは、木で造作した棚になっていますが、こちらはごみ箱を置くためのスペースになりますので、このような形にしました。

下にごみ箱、上に袋のストック等を入れておくことが出来ます。

キッチンのすぐ近くにはゴミ箱が必要ですが、このようにあらかじめ目に付かないスペースを確保しておくと、良いですね。

高い位置に取り付けた窓は、キッチンに十分な風と光を届けてくれます。

素材の良さを楽しむ

広くなったお部屋、これを機に床や壁、建具も新しくしました。

その際、M様がこだわったのは、素材に「本物」を使いたい、といういことでした。
量産のビニルクロスや、ベニヤを張り合わせた合板の床といった、工業製品ではない、質の良いもの、ということです。

そんなご希望を取り入れて出来上がった新しいリビングは、素材そのものの持つ風合いを楽しめる、味わいのある空間となりました。
天然の木目は特に、人の心を癒してくれます。
特に長い時間を過ごす場所であるリビングに相応しい空間です。

▼ 無垢フローリング


床は、天然のカバ桜の木で出来た無垢フローリングを採用しました。
薄いベニヤを張り合わせた合板フローリングに比べると、味のある風合い、そして調湿性に優れ、非常におすすめの床材です。

その際、天然の木材の板である無垢フローリングは、何もしないでそのまま使用すると反ったり割れたりすることがあるため、必ず仕上げの塗装を行う必要があります。

仕上げには、撥水コーティング効果のある「ウレタン塗装」と、天然塗料で仕上げる「オイル塗装」の二種類があり、無垢フローリングならではの「良さ」を100%活かすには、オイル仕上げがおすすめです。

ペットとお暮らしの方の場合、お掃除のしやすい、撥水のウレタンコーティング仕上げにされる場合が多いのですが、M様邸では、あえて素材の良さを楽しめる、天然のオイル仕上げを選ばれました。

天然のオイル仕上げにすると、ウレタンに比べて汚れや傷はつきやすくなるものの、床に触った時の手触りがとっても優しく仕上がりますので、いつも床の上を歩いたり、ゴロリと寝転んだりするワンちゃんにとっても、気持ちが良い床になります。

無垢フローリングの仕上げについては、それぞれにメリットデメリットがありますので、よくご説明させていただいた上で、決定しております。

>>「無垢フローリング」について詳しくはこちら

▼ 国産のヒノキ、スギを使った
  柾目の美しい建具

もちろん、建具もこだわられました。

玄関側の廊下とリビングを仕切る建具、
そしてリビングから、水周りに繋がる廊下を仕切る2つの建具。

この3箇所に採用したのが、岡山県の建具メーカー「イマガワ」さんの国産材スギ&ヒノキを使った建具です。
日本の山で育まれた木を使って、日本の繊細な技術で造られた美しいイマガワさんの建具は、2010年にグッドデザイン賞を受賞しています。

M様がお選びになったのは、ヒノキの柾目(真っ直ぐな木目の部分で狂いが無く丈夫と言われます)を使い、ガラスの入った建具「華音」、そして、シンプルでありながらもスギの柾目が美しい「きざみ」という製品です。

木目のプリントが貼り付けてある安価の建具もありますが、年月が経過すると、プリント面が剥がれてしまっていかにも「古くなって痛んできた」といった印象になってきてしまいます。
しかし、本物の木を使った建具は長い年月の経過で深い飴色に変化し、味わいが増すのです。これから先が楽しみですね。

▼ 天然素材の壁紙


壁と天井には、再生紙に木のチップを漉き込んだ壁紙である「オガファーザー」を使用。

右写真、ワンちゃんのお顔の横の壁の面が少し凸凹しているのがおわかりいただけるでしょうか?これが紙に漉き込まれた木のチップなんです。

オガファーザーは、壁紙でありながらも、木の持つ調湿性を発揮してくれるのが大きな特徴です。

赤いアクセントの部分も和紙です。土佐で作られた工芸品を使っています。伝統工芸品でもある和紙の壁紙の風合いは、お部屋を落ち着いた雰囲気にしてくれます。

自然素材の壁紙は、ツルツルテカテカしてしまうビニルクロスとは、やはり一線を画しています。

>>「オガファーザー」について詳しくはこちら
>>「土佐和紙」について詳しくはこちら

■自然素材壁紙は、もともとあった「エコカラット」との相性もバッチリ

M様邸では、写真の右側の壁面が「エコカラット」になっています。写真ではわかりづらいですが、天然の粘土を原料にした優しい風合いの内装タイルです。しかもこちら!ご主人がDIYで張られたものなんです!せっかくですから、この面はリフォーム後もそのまま残しました。

エコカラットも自然素材なので、オガファーザーの風合いとも違和感が無く、とても良い感じに仕上がっていますよ。

▼ ヒノキの腰羽目板

こちらのリビング壁面の下半分に嵌められた腰羽目板は、M様がご支給くださったヒノキの板から造作しました。

こちらのリビングでは、今回のリフォーム前に既に、ワンちゃんの爪対策として、ご主人がヒノキの腰羽目板を施工されていましたが、今回、赤いアクセントの下部分の壁を新しくするのに、こちらにも腰羽目板を施工!

ご主人が施工された箇所はそのまま残しますので、その雰囲気に合わせました。

無垢のフローリングとは、天然の木同士ですから、インテリアとしての相性もとっても良いですね。
リビングから繋がる廊下&水周りスペースも大幅アレンジ




リビングから繋がる廊下です。
リフォーム前は、お勝手口がありましたが、あまり有効に使われていなかった為、潰すことにしました。
更に増築も行っているので、以前よりもスペースにかなり余裕が出来、洗濯機置き場を奥に移動したり、本棚も造り付けたりと、大きなアレンジをすることが可能になりました。

また、リビングとキッチンの両方からスムーズに出入りが出来るようになり、使い勝手が、とても良くなりました。

床には、水濡れに強い自然素材の床材「コルク」を使っています。

▼ 廊下の床にはコルクタイル


廊下の床には、コルクタイルを採用しました。

こちらは、お風呂に通じるスペースでもあるため、裸足で歩く機会が多く、 また、洗面台、洗濯機置き場があって水に濡れやすい箇所でもあります。

コルクは、程よくソフトで肌触り良く、自然素材のフローリングの中でも特に水濡れに強いのが特徴の素材であることから、こちらには、リビングで使用した無垢フローリングではなく、コルクをおすすめいたしました。

コルクの深い茶色が、洗面台に使った塗料のカラーと相性良く、とても落ち着いた印象に仕上がりました。
スペースぴったりの造作洗面台


リフォーム前にはシンプルな洗面台と、ご主人様が壁付けの棚をDIYされてお使いでした。

こちらはこちらでシンプルで可愛らしかったのですが、洗面台周りは、タオルや普段使いの日用品、お化粧品(奥様はこちらでお化粧をされます)など、置きたいものが結構あるもので、横に市販の収納を置かれていました。

この度、こちらのスペースにピッタリ収まるオリジナル洗面台を造作、中には収納棚も付き、おしゃれにすっきりと使えるようになりました。

ご主人がDIYされた棚もそのまま使用します。 新しく造った洗面台も木を使ったものなので、前からあるこちらの棚も違和感無く、もともとセットだったかのようですね!

▼ 水濡れ対策!


洗面台ということで水濡れが気になるところですが、水がはねる箇所の壁は、キッチンの壁面で使われる「キッチンパネル」にしています。

また、下には木を使っていますが、撥水塗装仕上げを行っておりますので、こちらも、水で濡れてもサッ拭けばOKですよ。

※リボス社のカラーオイル「カルデット」塗装です。カルデットは撥水力・耐候性が強く、屋外のものでも使用できるオイルなので、水濡れが気になる洗面台にはピッタリです。様々なカラーバリエーションがあり、M様邸では、こちらの落ち着いたブラウン色を採用しました。
使いやすく、サッと目隠しもできるようになった洗濯機置き場

以前は、洗濯機置き場がリビングと廊下の出入り口のすぐ近くにあり、トイレへの出入りをする際に目に付いてしまう位置でした。

今回のリフォームで、廊下の一番奥の位置に変更し、横には洗濯に使うものを置けるような小さな棚を造りつけしました。

この位置ですと、人目は気になりません。廊下に設けたカーテンを閉めてしまえば、完全に隠れてしまいます。

また、キッチンからも至近なので、キッチン仕事をしながら洗濯機も見れて、家事もラクになります。
お庭に面した廊下も内装チェンジ
奥の廊下とのインテリアのバランスを考え、水回りがある側とは逆側にある、お庭に面した廊下も、合わせて同時にコルクタイルにしました。

こちら側は、玄関に続く廊下なので、お散歩から帰ってきて、ワンちゃんの足を拭いてあげたりする場所でもありますから、 水濡れに強く、こまめにお掃除しやすいコルクは最適です。

外壁

▼ もともとある外壁と
 違和感無く仕上げるのがポイント!


増築を行う際、外側から見てあまり「いかにも後付け」というのがわかってしまうと、あまり格好良くはありません。 M様邸では、もともとあった部分の外壁と後からつけた部分の外壁が違和感無く、上手く馴染みました。

14年前に建築されたときに使われたサイディング(外壁化粧材)は既に廃盤になっており、同じものはありませんでしたが、似た感じのものを探して採用いたしました。


ありがとうございました


私どものご提案にM様のアイディアをいただき完成したリフォームです。 ご夫妻に相応しい空間を造らせていただきたいという思いが強くありました。

今回のリフォームは、おうち全体ではありませんでしたが、限られた空間の中に たくさんの事柄が詰まった、密度の濃いリフォームをさせていただいたように思います。

私どもがご提供させていただいた空間にご評価をいただけたことはとても嬉しいことでした。 それから、毎日のように、愛犬のまいちゃんに会えるのも私はとっても楽しみでした。

お住まいになりながらのリフォーム工事でしたので、ご負担をお掛けいたしましたが、 たくさんのご協力とお心遣いをいただきましたことに心から感謝いたします。

工事以外のことでも、とっても興味深いお話をたくさんしてくださって 楽しい時間までいただきました、ありがとうございました。これからも遊びにお邪魔させてください、どうぞよろしくお願いいたします。

【リフォームアドバイザー・塩谷理枝より】

M様のお宅と私どもの事務所では、地理的には、街角で見かける、というような距離ではない中、インターネットをご覧になりお声がけくださいました。深く感謝すると共に、不思議なご縁を感じます。 私どもの得意なところを、とてもよく理解してくださって、そこに共感し、信頼してお任せくださいました。本当にありがたいことです。

実はこちらの建物のリフォームを進めながらも、M様ご子息がご購入された住宅のホームインスペクション(住宅診断)までもお任せくださいました。 ある程度M様邸でお仕事をさせていただいた上でのご依頼でしたので、非常に嬉しいことでした。

お引渡しの後も何度か手直し等でお邪魔させていただいておりますが、いつも穏やかな笑顔で対応してくださいます。今後も、ご夫妻が安心して暮らしていただけるように、お役に立ちたいと思います。この度は、ありがとうございました。

【一級建築士・塩谷敏雄より】

M様ご夫妻は、リフォーム前もお洒落にお暮しで、ご夫婦がこだわって集められた素敵な小物やアートがはえる空間をご提供したいと思いました。 ご夫妻がセンスがおありなので、朱色の和紙のアクセントウォールはM様がお選びになり、お持ちのアートとの相性がぴったりです。

M様ご夫妻にふさわしい、本物の素材をふんだんに使った、こだわりのある素敵な空間に仕上がりました。気に入って頂けて私共も嬉しく思います。

お住まいになりながらのリフォームでしたし、キッチンが使えない時期が長く、大変だった事と思います。ご協力を頂きありがとうございます。 お打合せには、いつも快くご対応下さり、リフォーム以外のお話を沢山させて頂きました。とても知識が広いので、仕事ながら、お話をさせていただくのが楽しみでもありました。

リフォーム工事が終わった後の年末には、M様が作ってくださった焼き物の素敵なクリスマスのツリーまでいただき、ありがとうございました!これから、事務所に毎年飾って大切にさせて頂きます。

この度はご縁を頂きました事、心から感謝致します。 今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

【インテリアコーディネーター・千葉容子より】