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7坪でもできた!
広い土間のある暮らし
ご両親が25年ほど前に購入された木造3階建ての住宅をリフォームしたいとお問い合わせくださったF様。築年数は比較的新しいものの、以前シロアリが出てしまったことがあり、体感的にも揺れるので建物の耐震が心配とのこと。スケルトンリフォームで地震に強く安心して暮らせる家にしたいとご依頼いただきました。
建坪7坪という制限のある場所ですが、家族3人でゆったりと暮らしたいというご希望から、広い玄関土間のあるシンプルモダンな空間が出来上がりました。
リフォーム Before-Afterダイジェスト
こちらの事例のBefore Afterを動画でまとめました。リフォーム前とリフォーム後の様子をダイジェストでご覧ください。
東京都大田区は東京の空の玄関口である羽田空港を有する交通の要所。鉄道やバスが充実していて都心部へのアクセスが良いことで人気のエリアです。
F様邸のある湾岸エリアは古くは海苔の養殖が盛んでしたが、高度経済成長期は工業地となり、その後、地方へと移転した工場の跡地には住宅が多く建ち並びました。F様のお宅が建てられたのもこの時期になります。
築25年の家がとても揺れるので心配です
F様のお宅は築25年。エコリフォームが手掛けるお宅の中では比較的新しい建物ですが、10年前にシロアリが発生し、その際はF様が殺虫剤で対処されたそうです。
以前はお父様が1人で住まわれていたこの家にF様ご夫婦とお子様の3人で暮らすことになり、雨漏りしている箇所や、少しの振動でも家が揺れるので耐震が心配とのこと。現在の内装はすべて解体し、構造部分から耐震補強を行うことにしました。
1F広い土間収納とワークスペース
【 Before 】
【 After 】
7坪という限られた敷地ですが、あえて玄関土間を広くとり、ゆとりのあるエントランス空間に。靴やコートなどがかけられるオープンな収納棚を造り付けます。
室内はカウンターと収納棚を造り付けた家族全員の書斎とし、奥の水回りは身支度が一か所で済むように衣類収納スペースも設けます。
2F間仕切りを無くし広々使えるLDK
【 Before 】
【 After 】
1階にあったキッチンは2階に移動します。
耐震性を高めるために窓の数を減らしますが、室内を区切る壁を取り払い、ワンフロアで明るく広々と使えるLDKになります。
3F内装にもこだわった子供部屋と寝室
【 Before 】
【 After 】
3階の寝室と子供部屋は部屋と部屋の間に作る室内窓がポイント。照明や壁紙などのインテリアにこだわったプライベート空間です。
屋根裏には換気扇と遮熱シートを施工して夏場の暑さを防ぎ、一年を通して快適に過ごせるお部屋になります。
プランが決まり、工事に向けてまずは解体を行いました。ここで初めて内部の状態を隅々まで確認することができます。
F様邸の問題点が明らかに!
解体で建物内部が見えてきたことで、F様邸の改善すべき部分が明らかになりました。
基礎工事の不足
解体前は床下収納の下の地面がコンクリートになっていることを確認しましたが、実はそれ以外の部分にはコンクリートが打たれておらず、土のままでした。
また、外周部の一部に基礎と土台が無く、下を支えるものが何もない状態になっているのも発覚しました。
接合部の不良
筋交いの位置が正しい場所になかったり、金物が不足していたりと、柱や梁の接合部に不良部分が見つかりました。
シロアリ被害
10年前にF様が確認した場所以外にも、数か所でシロアリ被害が広がっていました。
基礎の補強
土のままだった地面には新たに鉄筋を追加してコンクリートを流し、耐震性の高いベタ基礎にします。また、浮いた状態になっていた部分にも新たに基礎を追加しました。
柱・梁の補強
強度の足りない柱や梁の交換・追加を行い、接合部にはそれぞれ適切な金物を取り付けました。
食害部分の補強
シロアリの食害が進んだ部分で解体できる場所は新たに作り直します。構造上残さないといけない部分は新しい部材を添わせて補強し、新たな食害を防ぐため防蟻処理を行います。
F様邸では玄関土間を広くとり、ゆとりのあるエントランススペースを作りました。1階は家族全員の共用スペースとして、エントランス、書斎、浴室洗面と普段着用のクローゼット収納を配置しました。
天井に設置したライティングレールには、照明だけでなくフックを取り付けることもできるので、グリーンなどを吊り下げてもオシャレです。
玄関収納にはハンガーパイプを取り付けて、雨の日は濡れた上着をここで乾かすことができます。あえて扉を付けずにオープンな棚にしたことで、より開放感のある空間になりました。
リフォーム前は玄関入ってすぐがLDK、階段下となるキッチン脇にトイレ・浴室の水まわりがありました。
書斎の奥は浴室洗面スペースです。普段の身支度はここで完了できるように、いつも着る衣類を収納するクローゼットエリアを設けました。
和室と洋室の2部屋に分かれていた2階の壁を取り払い、1フロアをゆったり使えるLDKにしました。
壁や天井に加えてサッシやレール、巾木などもすべて白で統一し、床や建具の木目が映える明るい空間です。床はスペリオルアッシュの無垢フローリング、建具には栂(ツガ)を使用し、階段はラバーウッドで製作しました。
以前よりも窓の面積を少なくしましたが、十分に光が入り明るいリビングです。
持ち物は極力少なくしているとのことでしたので、収納を無くして居室を広げました。
1階から2階に移動したキッチン。全体を白で統一したため、高さのあるキッチンも圧迫感がありません。
トイレは1階の洗面室と同じ濃いグレーのフロアタイルを使って空間を引き締めています。照明はあえて中央からずらして配置し、シンプルな電球型のペンダントライトを吊るしました。
3階は階段上がってすぐが子供部屋、隣が寝室です。廊下を無くして居室にゆとりをもたせました。
部屋の間に設けた室内窓と、天井に取り付けた黒のアイアンポールがインテリアのアクセントになっています。
最上階で明るく日当たりが良いお部屋ですが、壁と天井の断熱をしっかり施したので、暑い夏も快適に過ごせます。
子供部屋にはかわいい星型のペンダントライトをお選びになりました。
あえて扉無しにしたハンガーパイプ側の壁紙も、光の加減で星が浮かび上がります。
寝室はライティングレールの位置にもこだわりました。少しレトロな雰囲気の照明で、殺風景になりがちなお部屋が温かみのあるテイストに。
クローゼットにはシーズンオフの寝具や衣類を収納される予定です。
お部屋の広さは変わりませんが、壁や天井を白で統一することで、空間の広がりを感じるようになります。
梅田 裕子
インテリアコーディネーター
F様のお宅は構造などの家の補強に関することはご主人様、内装などのインテリアは奥様のご意見が主に反映されています。ご夫婦の見事な連携プレーでとても素敵なお宅になりました。
間取りは、広い土間と少ない間仕切りが特徴です。既存の壁を取ることで耐震性に支障がでないよう、建築士の塩谷と相談しながら計画を進めました。LDKにした2階はリフォーム前よりも窓が減り、窓面積も小さくなりましたが、部屋を区切っていた間仕切りがなくなったことで明るく開放的な空間になりました。
インテリアはシンプルに、モノトーンでまとめましたが、無垢の床材や建具がポイントとなり、ぬくもりある洗練されたお部屋になっています。
リフォーム工事は計画と変更になることが多々ありますが、解体した後に追加工事が必要になったり、現場の状況によって変更が生じたりとその都度急な打合せなどにご対応いただきありがとうございました。
工事中の進捗報告の際には、職人へのお気遣いを頂きましたことも重ねて御礼申し上げます。
完成後にお伺いした際には、素敵な雑貨や小物、シンプルでナチュラルに統一されたインテリアでお暮らしの様子が伺えてとてもうれしく思いました。
奥様のセンスが詰まった素敵なお宅で過ごす時間は何よりの宝物だと思います。また何かお困りのことがございましたら、いつでもお声がけください。今回はご依頼ありがとうございました。
一級建築士
耐震設計士
F様から最初にご相談いただいたときには、お父様と2世帯住宅にされたいというお話でした。お打ち合わせに伺った際にはお父様もにこやかに迎えてくださったのを覚えています。
途中お父様の具合が悪くなり計画を一旦中断されていた時期があり、その後、遺された家を今度はF様世帯だけのお住まいにと再度お声がけいただきました。
F様にとっては愛着のあるご実家ですが、3階の夏の暑さは想像を絶するものだったとのこと。解体して中を見てみると、断熱材はほとんど入っていませんでした。
リフォーム後は壁や天井に断熱材を入れ、屋根裏には専用の換気扇を設置しました。日差しの熱を遮って屋根裏の熱気も逃すことができるため、一年を通じて快適にお暮らしいただけると思います。
リフォーム後は見た目も大きく変わりましたが、実は見えない部分の補強や空気のバリアフリー化もこの家の大きな変化です。現在建てられる新築住宅と相違ない性能になっています。
新しくなったお宅で、ご家族が安心して安全な暮らしをすることを切に願っております。この度は誠にありがとうございました。
構造から見直した耐震リフォームで、地震への不安が解消したF様邸。
これからも家族3人、末永く安心してお暮らしくださいね。
一級建築士
塩谷 敏雄
<施工担当より>
建物の状態は当初の想定を超えるものでした
一級建築士
塩谷 敏雄
ご依頼を受けて建物の調査にお伺いしたときは、F様のお父様が生前大事に手を入れてきた建物も、経年と長年の雨漏りで相当傷んでいることが分かりました。
そして解体をしてからは更にいろいろな問題が発覚。調査時に床下収納から見えた基礎はコンクリートの地面だったためベタ基礎を想定していましたが、実際コンクリートで固められていたのは収納の下のみ。あとは土の地面の布基礎でした。その上、外周部に一部基礎が無い部分もあったため、基礎全体に鉄筋を追加してベタ基礎にしました。
前面のベランダからは躯体に相当なダメージを与える損傷が見られ、シロアリ被害も建物全体に広がっていました。
解体後の建物の状態を見れば、F様が打合せ時に「3階に設置したエアコンの室外機の振動でも家が揺れる」と仰っていたのにも納得しました。
基礎や土台、柱など、建物全体を見直してご家族が安心して暮らせる家になるよう、構造体の補強を行いました。
解体後F様に現場にお越しいただき、構造の状態を実際に見ながらご説明しました。