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築60年・7坪の長屋住宅 再生ものがたり

築60年・7坪の長屋住宅 再生ものがたり

F様邸 ハウスデータ

築年数60年
構造木造3階建て住宅
広さ建坪 約7坪
内容1・2・3階のスケルトンリフォーム
地域東京都文京区

超コンパクトな木造3階建て住宅のリフォーム、完成までのドキュメントです。

F様邸は建坪が約7坪の長屋住宅です。限られた空間に、長屋ならではの細長い形をした3階建てが建てられています。

この建物を最大限に活用するべく、エコリフォーム一同が頭を絞って考えました。 F様のご要望をできる限り詰め込んだ間取りに、アイデア収納をたくさん設けて、狭いながらも便利にお暮らしいただけます。

インテリアコーディネーター
薄井 歩

文京区で60年の間、ご家族の歴史を見守ってきたお住まいのスケルトンリフォームをご紹介します。

F様邸は、散策の人々で賑わう下町に佇む、建坪7坪のコンパクトな3階建て住宅です。 はじめにお問い合わせをいただいた時には、とても住める状態ではなかったF様邸ですが、ドラマのような紆余曲折を経て、しっかり耐震補強も行い、安心で快適なお住まいへと生まれ変わりました。

半年近くという長丁場に渡ったリフォームの様子をドキュメントでお送りします!

お客様との出会い

「住めない状態になってしまった我が家を、何とか蘇らせたい...」

F様からそんなお問い合わせをいただいたのは、リフォーム完成から遡ること、半年以上前のこと。 地方からご家族で東京に戻られるため、文京区にお持ちの住宅をリフォームしたいというご依頼でした。

早速、エコリフォームの施工担当・一級建築士の塩谷敏雄が現地に向かいました。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

現地を拝見しに行くと、解体の途中で工事が中断していて、そのままでは住むことができない状況でした。 建物が老朽化しているため、解体して新築する計画を立てられたものの、事情があって計画が頓挫してしまったそうです。

内部が解体されてスケルトンになった状態で、どうしようもできず、困り果ててご相談くださったとのことでした。

これは大変な状況だと感じ、何とかして差し上げたいと思いました。

設計担当の建築士を伴って、再度現地調査を行い、F様邸の状態をプロの目で念入りに調べた結果、リフォームは十分可能という結論が出ました。 調査の結果を元に、現在の家の状態や、どのようなリフォームができるかを、F様に詳しくご説明しました。

1階から3階までをスケルトンリフォームする大きなリフォーム計画のため、リフォームに対する考え方や方向性をしっかり確認し合うことが大切です。こうしたプロセスを経て、F様も安心されたようでした。

F様より

エコリフォームさんは、我が家の現状をじっくり調査して、事態の深刻さをしっかりと受け止めてくださいましたが、決して安易に回答することはありませんでした。

「難しいですが、引き受ける以上は全力でやらせていただきます」と言っていただいた時には、本当に救われる思いがしました。

こうして、F様ご一家とエコリフォーム、二人三脚のリフォーム計画が始まりました!

リフォームプラン

F様のご要望は...

7坪の狭小住宅を、どう活かすか?

F様の一番のご要望は、「何とか住めるようにして欲しい」というものでした。 しかし、せっかく大規模なリフォームをするなら、とことんご要望を叶えていただきたいと思い、F様のご要望を細かいところまで洗いざらいお聞かせ願いました。

Before 外観

Before キッチン

F様のご要望
  1. 耐震性・防音性を改善したい
    老朽化が進んで耐震性が低く、長屋のため騒音の不安もありました。
  2. 収納を充実させたい
    限られた空間ですが、収納はたくさん欲しいとご要望でした。
  3. 快適に暮らせる間取りにしたい
    ご高齢のお母様や小さいお子様も安らげる間取りをご希望でした。
  4. ハワイアンなインテリアにしたい
    ハワイがお好きとのことで、ハワイ風インテリアをご希望でした。

長屋住宅ならではの細長い形状の空間で、F様のご要望をいかに形にするかが、リフォームプラン作成の大きな課題でした。

オリジナルプランができあがりました!

家族が触れ合いながら楽しく暮らせるコンパクトで住心地の良い家

1階

1階はご高齢のお母様のスペースです。 廊下や階段に手すりを取り付け、安全に移動できるようにします。 また、階段下を利用して、アイデア収納を設けます。

2階

2階は自由に楽しめるフリースペースと、家族が集まるLDKです。 作り付けのデスクの下や、ダイニングの椅子の下は、すべて収納として活用します。

3階

3階は子供部屋兼寝室として使います。半分はバルコニーです。 3階にも大きな収納を設け、階段には安全のため柵を取り付けます。

図面だけでは空間のイメージがつかみづらいので、ご提案時にはイメージパースを作成しました。 リフォーム完成の様子や、実際に暮らしてみた時のイメージがわかりやすいと好評でした。

家の性能もアップします

しっかり耐震補強して、安心のお住まいに

F様邸は特殊な建物ですが、できる限りの補強を行う計画を立てました。

1階と2階の主な補強箇所は、図面に示した通りです。柱や梁を新しく追加して、構造用合板や耐震金物を使って補強していきます。

  • 柱+梁:必要な箇所に柱を増設し、集成材の梁を架けます。
  • :構造用合板で壁を補強します。
  • 金物:耐震金物を設置して補強します。

1階

2階

断熱性能を上げて、快適に

室内の窓サッシはすべてペアガラスを使用したサッシに交換します。玄関扉も気密性の高いものに交換し、断熱性を上げます。

また、床と壁、天井に、ペットボトルを再利用して作られたエコな断熱材「パーフェクトバリア」を採用します。

音が気にならないよう、防音対策

長屋住宅はお隣の家と壁を共有しているため、音が気になりがちです。 対策として、隣と接する壁の中に遮音材を施工して、防音性を高めます。

これで、お隣に音でご迷惑をかけることも、お隣の騒音に困ることもなくなります。

自然素材で体にやさしい空間に

コルクタイルや無垢フローリングの床、無垢材で造作する家具など、自然素材をたっぷり使います。 体にやさしいだけではなく、F様お好みのハワイのイメージにもぴったりです。

また、南国の雰囲気を感じるシーリングファンを設置し、カーテンや表札などもハワイ風のものをお選びします。

インテリアコーディネーター
薄井 歩

難しいプランニングでした。

あちらを優先すれば、こちらが上手くいかず、「もう何かを諦めていただくしかないのでは?」と思うこともありました。 それでもひと晩寝かせて、また翌日、新鮮な気持ちで考えてみると、急にいいアイデアが浮かんできたりします。 そんなことを繰り返しながら、なんとかF様のご希望に近いプランを完成させることができました。

7坪の空間を活かすための間取りは、エコリフォームのスタッフ一同で、頭を絞って考えました。 後からしみじみ考えてみても、本当にこれ以上の間取りは無かったと思います。 特に収納スペースは、可能な限り多く確保することができたと思っています。

F様より

エコリフォームさんには、細かいところまで提案していただきました。

例えば、コンセントの位置も考えられているし、手すりも足の不自由な母が必要なところに設置する計画です。 狭小住宅の我が家に合わせた無駄のない設計になっていて、一つ一つは小さなことですが、毎日の生活をしていくうえで重要なポイントだと思いました。

また、打ち合わせの時には、私たちの素人目線の意見を受け流したりしないで、細かく調べてから可能か不可能かを答えてくださったのが嬉しかったです。

リフォーム工事が始まりました

リフォームプランご提案後、何度かのお打ち合わせを経て、無事にご契約をいただきました。 いよいよ、F様邸のリフォーム工事が始まります。

耐震性を高める

はじめにご紹介するのは耐震性を高める工事の様子です。 築60年が経っているF様邸ですが、耐震性をアップして、まだまだ暮らせる安全な家にします。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

現場責任者の塩谷です。

築60年以上のこちらのお宅。新築計画が頓挫して、私たちがリフォームすることとなりましたが、耐震補強工事だけでも1ヶ月余りを要しました。 構造材として使用された木材の石数(量)は、新築とあまり変わらないほどのボリュームのある工事でした。

一級建築士の私と経験豊富な大工が、構造部分から確認を行い、できる限りの補強をかけました。 ご家族の思い出が詰まった大切なお住まいですから、丁寧な工事を心がけました。

基礎の補強工事

まず、建物の基礎を補強します。 リフォームで地盤の改良は出来ませんが、建物を支える基礎なら補強することができます。 しかし、F様邸は両隣の家が近接しているため、外部からの補強はできず、建物内部から補強することとなりました。

炭素繊維を使って基礎を補強し、建物の強度を高めます。 基礎の片側のみの補強となりますが、リフォーム前と比較して、約2倍のコンクリート強度が確保できる計算です。

基礎補強の様子をご紹介します。

下地を調整します。

プライマー(下地剤)を施工します。

専用接着剤を塗ります。

黒い炭素繊維を張ります。

上塗りをして完成です。

構造部分の補強工事

基礎の補強の次は、柱や梁などの構造部分の補強工事を行います。

傷んでいる箇所を点検し、交換できるものは交換します。 F様邸では水まわりなどに傷みが見られたため、下地を交換して補強しました。

柱の補強

既存の柱は強度が低かったため、新しい柱を抱き合わせて補強をかけました。 黒っぽいのが既存の柱です。新しい柱は太くしっかりしています。

梁の増設

1階、2階の天井部分に新しい梁を架けて強度を上げます。 天井の高さを確保するため、2階の天井は梁を見せる仕上げに変更しました。

耐震金物の設置

様々な種類の耐震金物で、柱と梁、筋交いの接合部などを補強します。 補強する箇所にあわせて、適切な形の耐震金物を使い分けています。

傾きの調整

経年した建物は、徐々に柱や壁が傾いてきます。 レーザーを使って傾きを計測し、新しい下地を入れて調整しました。

断熱性を上げる

築年数の経った木造の家では、「冬の寒さが気になる」という声がしばしば聞かれます。 窓サッシや玄関扉を気密性の高いものに替え、床や壁、天井に断熱材を施工することで、より快適にお暮らしいただけます。

窓の断熱工事

リフォーム前の窓サッシは、ガラスが1枚のみのシングルタイプでした。 シングルタイプの窓は気密性が低く、冬場、室内を温めても、温まった空気が外に出ていってしまいます。

今回のリフォームで、室内の窓はすべてペアガラスの窓サッシに交換しました。 ペアガラスは2枚のガラスの間に空気層を作り、断熱性を高めたものです。これで気密性と断熱性の高いお部屋になりました。

※詳しくは、高機能窓ガラスをご覧ください。

断熱材の施工

床と壁、天井に断熱材を施工しました。

壁と天井に使用したのは、ペットボトルを再利用して作られたエコな断熱材「パーフェクトバリア」です。 パーフェクトバリアは有害物質を発生させず、人体にも環境にもやさしい素材です。 また、断熱材は経年でへたることが多いですが、パーフェクトバリアはへたりにくく、長持ちです。

※詳しくは、パーフェクトバリアをご覧ください。

しっかり防音対策

F様邸は長屋で、お隣と壁を共有しているため、音が漏れるのが気になっていたそうです。 断熱材にも防音効果はありますが、さらにプラスして、遮音材を施工することにしました。

断熱材の上から薄いシート状の遮音材を施工します。 ニッチ(飾り棚)を造る部分は、遮音材をくり抜いてニッチの奥に貼り付けるという丁寧な施工をしています。

F様邸のお隣は飲食店ですが、リフォーム後、「全然音が気にならなくなりました!」とうれしいコメントをいただきました。

屋根の葺き替え

幸い、これまで雨漏りはなかったそうですが、家の断熱性を上げるため、屋根を葺き替えることになりました。 3階の天井が吹き抜けになるので、合わせて断熱材も施工して、夏の暑さを軽減します。

リフォーム前はトタン屋根でしたが、リフォーム後はガルバリウム鋼板になり、耐久性も増します。

よく晴れた日を見計らって、大工さんが屋根に上ります。

まず、既存のトタン屋根を撤去します。

屋根の下地を点検し、必要に応じて補修します。

天窓を設置しているところです。

防水シートを施工しました。

屋根の葺き替えが完了しました。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

難工事を「現場力」で乗り切りました。

私の若い頃とは比べようもないほど、現在の建築は進歩しています。 しかし、今回のような難工事では、現場力が重要になります。

リフォームの規模が大きくなればなるほど、様々な問題が発生します。 テクニックも大切ですが、いい家にしたいという想い、そして現場の経験と勘によって、問題を解決することができたと思います。

思わず「うーん...」と唸る場面も多かった中、ベテランの大工さんや職方のみなさんにずいぶんと助けてもらいました。

お打ち合わせの様子をご紹介します

リフォーム中は、ショールームでも、リフォーム工事中の現場でも、メールでも、たくさんのお打ち合わせをしていました。

綿密なお打ち合わせを重ねることは、リフォーム成功への近道です。F様とのお打ち合わせの様子を、少しだけご紹介します。

インテリアコーディネーター
薄井 歩

コーディネーターの薄井です。

F様邸のようなオーダーメイドのリフォームでは、決めていただくことがたくさんあります。 設備や素材、インテリアなど、一つ一つについてご要望をお伺いして、その都度じっくりお打ち合わせをしながら決定していきます。

細かいことまで決めなければならないのは、お客様にとっては大変なことだと思いますが、私たちコーディネーターがしっかりサポートしますのでご安心ください。

ショールームにて

窓サッシやキッチンなどの設備を選ぶ際は、ショールームで実物をご覧いただくのが一番です。 エコリフォームでは、コーディネーターがショールームに同行して、設備選びのお手伝いをしています。

F様もコーディネーターと一緒にショールームへ足を運ばれ、実際に設備をご覧になり、イメージがわきやすくなったと喜ばれていました。

トステムのショールーム

トステム(現LIXIL)のショールームでは、窓サッシをご覧いただきました。 今回のリフォームですべての窓をペアガラスにするため、断熱性が上がります。 トステムのスタッフさんが、どのくらい断熱性が上がるのかを、実験ルームで説明してくださいました。

図面ではわかりにくい窓サッシの大きさも、実際に見るとイメージしやすくなります。 「リビングはこの大きさの窓。こっちの窓のガラスは透明に...」と、一箇所ずつ確認しながら選ばれました。

サンウェーブとTOTOのショールーム

続いて、キッチンなどの水まわり設備を決めるため、サンウェーブ(現LIXIL)TOTOのショールームへ。

キッチンのサイズ感や使い勝手を確かめたり、豊富なカラーからお気に入りの一色を選んだり、ご家族で楽しく過ごされていました。

F様より

カタログを渡されて見ているだけだと、どうしても「まあいいや」って気持ちになっちゃうんです。 家にいると日常に流されてしまって、面倒になるのかもしれません。

でも、ショールームにお誘いいただいて、実際に自分でいろいろ見てみたら、「あ、こういうのがいいな」って実感できて、楽しかったです! 私はアクティブに連れ出してもらう方が好きなので、ショールームにご一緒できて良かったです。

現場にて

リフォーム工事の現場では、週に一度、定例のミーティングを行っていました。 F様の仮住まいは少し遠方で、現場に来られるのは大変だったと思いますが、毎週のお打ち合わせに欠かさずお越しくださいました。

なお、定例のミーティングでカバーできなかった件については、メールでご報告し、F様にご確認いただきながら作業を進めました。

塩谷敏雄が、耐震補強を行った箇所を詳しくご説明しています。

壁面に造作する収納家具も、メジャーを当ててサイズを確認します。

3階でコンセントの位置や照明などの確認中です。

無垢材のテーブルの形やサイズを、大工さんとチェックしています。

F様より

本当はもっと頻繁に現場へ行きたかったんですが、距離的に難しかったですね...。 でも、現場へ行けない時はメールをたくさん送ってくださったので、安心できました。

打ち合わせと聞くと面倒くさいと思う人もいるかもしれませんが、私はすごく楽しかったです。 「私もリフォームに参加してる!」って感じがしました。

メールにて

現場に来られる回数が限られている分、細かい件については、メールでやり取りすることが多かったです。 F様には「ご希望のことは何でも遠慮なく仰ってください」とお伝えしました。 もちろん、施工上の理由や安全面、耐久性などでご希望に添えないこともありますが、そんな時はきちんとご説明した上で、代替案をご提示させていただきました。

そんなメールでのお打ち合わせの一部を抜粋してご紹介します。リビングの壁面に造作するオーダーメイドの収納家具についてのやり取りです。

リビングの壁面収納についてのご連絡です。

先日の図面に変更を加え、寸法を記入したものを添付にてお送りいたします。

ご不明な点その他ございましたら、ご遠慮なく仰ってください。

電子レンジを置くスペースが、幅72cm×奥行45cm×高さ46cmです。 一般的なオーブンレンジでしたら無理なく納まるサイズです。

炊飯ジャーを置くスペースが、幅72cm×奥行き45cm×高さ25cmです。 こちらには、スライドカウンターが取り付きます。

また、ダストボックス用にワゴンをお作りする計画ですが、奥行きが40cm程度になってしまいます。 ダストボックスの奥行きが40cm以下なら問題ないのですが、いかがですか?

もしくは、ワゴンは作らず、コンパクトなキャスター付きのダストボックスを設置してもいいかもしれません。 ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

コーディネーター薄井より

ゴミ箱の件ですが、現在、プラスチックゴミがかさばっていて、45リットルいっぱいになっているので、コンパクトなタイプでは足りないかなと思っています。

家の外にゴミを保管できればいいんですが、3階のバルコニーに置くのでは使いづらいですよね。

今日ネットで検索していて、いいなと思った商品があります。
<商品写真>←これをプラと可燃用のゴミ箱に
<商品写真>←これをビン・カンと不燃用にと考えています。

でも、これだと奥行きがとられてしまいますね。どうでしょうか?

Fより

オーダー収納は、お使いになる物に合わせてサイズを自由に決められるのがうれしいところです。

こうしてメールでのお打ち合わせを重ねて完成した収納は、どんなものになったのでしょうか? 詳しくは完成の様子でご紹介します!

F様より

エコリフォームのみなさんは、いつも親身になって、相談に乗ってくださいました。

はじめは「こんなことまで聞いたらダメかな...」と受け身な気持ちになることもありましたが、疑問はちゃんと聞いて、希望も何でも伝えた方がいいことがだんだんわかってきました。そういうことの積み重ねで、いい家が造れるんだなと思います。

私たちは素人なので、できる・できないを考えずに「こうなったらどうかしら?」「こうできたらいいな」という希望をどんどん言ってしまいましたが、軽く受け流したりしないで、ちゃんと受け止めてくれたのが良かったです。 その上で、いろいろな方向から考えた結果、「こうだったらできますよ」と的確な回答をいただけました。

築60年・7坪の長屋住宅のリフォームが完成しました!

7坪の空間を暮らしやすくするために、細部まで気を配ったリフォームがついに完成となり、築60年の長屋住宅が再生しました。 完成したお住まいの様子を細かいところまでご紹介します。ぜひご覧ください。

では早速、1階からご紹介します

玄関

玄関扉を開けると、畳1畳ほどの広さの玄関になっています。

右側の壁には、技ありの玄関収納を設けました。 上下は扉付きの収納、中段は棚になっていて、お出かけに必要な鍵などを置くのに便利です。 実はこの棚、玄関側からだけでなく、背面の居室側からも使えるように工夫されているのです。

収納の横には、お出かけ前に身支度を整えられるように、天井まである大きなミラーを取り付けました。 限られたスペースですが、ミラーのお陰で広がりが感じられます。

Before

廊下

廊下の壁にはニッチ(飾り棚)が5つ並んでいます。 お引渡し後は早速、絵や写真などを飾って楽まれていました。

廊下全体に、手に馴染む無垢材の手すりを取り付けて、ご高齢のお母様も安心です。 バランスよく配した四角い照明からは、上下に柔らかな光がこぼれます。

ニッチが活躍しています。

廊下から使える収納スペースには、F様がお持ちの低いチェストを置く予定です。

上のスペースも有効利用できるように、可動式のハンガーパイプを設置しました。 ハンガーを引くとパイプが手前に下りてきて、手が届きやすくなります。

収納使用イメージ。

お母様のお部屋

1階の洋室はお母様のお部屋になっています。

昼間は引き戸を開けて、廊下を含めたスペースをゆったり使えます。 夜は引き戸を閉めて、落ち着いた寝室に早変わりです。

また、お部屋の上部にある収納は耐震ラッチ付きなので、地震の時に扉が開いて中の荷物が飛び出す心配はありません。 F様邸の観音開きの扉には、すべて耐震ラッチが付いています。

お部屋の奥には、お持ちのお仏壇のサイズに合わせて、ぴったりサイズのお仏壇置き場を設けました。

床は自然素材のコルクタイルを採用し、冬は暖かく、夏はサラッと快適にお過ごしいただけます。 コルクタイルは水に強いため、水まわりにもおすすめです。

完成写真撮影後、お母様のお部屋にも手すりを取り付けました。 ベッドから立ち上がる時につかまれる上、普段使いのバッグなどをかけておくこともできます。 お母様にもお喜びいただきました。

インテリアコーディネーター
薄井 歩

私たちが「ぜひ!」とおすすめして、1階と2階の床にコルクタイルを採用していただきました。 コルクタイルは冬でも足元がほんのり暖かく感じられ、弾力もあるので、ご高齢のお母様や小さなお子様、ワンちゃんにもおすすめの素材なのです。

お引越し後、F様にコルクタイルのご感想をお聞きすると、たいへん満足とのことでした。 きっと快適にお暮らしいただけると確信していましたが、実際にうれしいご感想をいただいて、ほっと安心しました。

F様より

おすすめのコルクタイルにして、大正解です!

リフォーム前の家は、自然素材を一切使っていなかったので、足元が寒かったりしましたが、今は違いを感じています。

お客様が来ると、みなさん「コルクタイル、いいね~」って言っています。 冬場の寒かった頃は、「足元が暖かいね」ってよく言われてました。

洗面・トイレ

1階の奥は水まわりになっています。 洗面とトイレ、脱衣スペースを一つにまとめることで、機能的に使えるようになりました。 狭小住宅ならではのアイデアです。

洗面台はオーダーメイドで造作したオリジナルです。 幅60cm、奥行き40cmのコンパクトサイズですが、洗面ボウルは最大限大きくしました。 輸入物の陶器製の洗面ボウルは可愛らしく、耐久性も高いものです。

水はねが気になる箇所はタイルを貼って仕上げました。 中が収納になっているミラーと、ティッシュを入れるボックスも設置して、便利に使えます。

階段下の天井が低くなっている位置にはトイレを設置しました。 トイレットペーパーを置くための小さな棚と、手すりを設置しました。

Before

脱衣スペースにも手すりを設置し、バスタオルかけとしても活用できるようにしています。

また、ここにはワンちゃんのトイレも置く予定のため、ワンちゃんが出入りしやすいよう、廊下との境はアコーデオンカーテンを設置しました。 ドア枠も造ってあるので、必要に応じてドアを取り付けることもできます。

ワンちゃんも快適ですね!

浴室

浴室は、家の形に合わせた変形タイプのため、在来工法で造られています。

白いタイルの壁のうち、一面だけ水色のタイルを選んで、アクセントにしています。 目地の部分のお手入れが楽なよう、大きめのタイルをお選びしています。

床のタイルは、裸足でも冷たさを感じにくい、INAX(現LIXIL)のサーモタイルです。小さめのタイルの方が滑りにくいので、5cmサイズのモザイクタイプを採用しました。

Before

変形タイプの浴室です。

お母様の動作を助けるため、浴槽のまたぎや浴槽内には手すりを設置しました。

また、シャワーはお子様でも使いやすい、手元でストップできるタイプに。シャワーのスライドバーも手すりとしてお使いいただけます。

階段

リフォーム前は古い家特有の急な階段でしたが、ぐっとゆるやかになりました。 滑りにくいコルクタイルを使い、手すりもしっかり取り付けてあるので、お母様やお子様も安心して上り下りできます。

「ぼくも使ってるよ!」

Before

階段の一番下の段をよく見ると、取っ手が付いています。 実は、引き出し収納になっているのです。 かなり長く引き出せるので、荷物をたっぷり入れることができます。

限られた空間で収納を確保するためのアイデア収納です。

さらに、階段の脇にある幅30cmほどのスペースにも、引き出し収納を設けました。 トイレの後ろにあたる小さな空間ですが、無駄にはしません。

ワゴン式の収納になっているんどえ、ワンちゃんのフードなど、細々したものを収納する予定だそうです。

次は、2階にお邪魔します

フリースペース

階段を上がって左手がフリースペースになっています。 お部屋にするかどうか悩みどころでしたが、畳2畳弱のスペースなので、仕切りは造らず、オープンな空間にしました。

オーダーメイドのデスクの下には、IKEAの赤いワゴンがぴったりです。 お子様たちがお絵かきや宿題をしたり、奥様がパソコンを使われたりと、思い思いに楽しめます。 コンセント類も使いやすい位置を想定して設置しました。

リビングダイニング

お食事の時やくつろぎタイムにご家族が集まるリビングダイニングです。 コンパクトで居心地のいいスペースが完成しました。

テーブルとベンチ型の椅子、壁面の収納は、パインの集成材を使ってオーダーメイドで造作しました。 ベンチの背もたれ部分は、汚れ防止のため腰壁を張っています。

Before

天井はできるだけ高く取り、梁を見せる仕上げにしました。

F様が塗装された白い梁は、天井に設置した白いシーリングファンにぴったり! 大好きなハワイの雰囲気を醸し出しています。

床はコルクタイルにしたので、お子様がコロコロ転がっても快適です。

また、壁面にコンセントが設置できないため、床の2箇所にポップアップコンセントを設置しました。 必要な時だけ開けて使えるので、F様も「とっても便利です」とお喜びでした。

リビング収納

リビングの壁一面に、便利な収納を造り付けました。 どこにどの家具や家電を置くか、何をしまうか、F様と相談して決めたオリジナルの収納です。 物が多かった室内を、スッキリ使えるようになりました。

1)階段下の大きな収納。内部を有効活用できるよう、中にL字型の棚を設けます。

2)冷蔵庫の上は、天井までの収納です。

3)電子レンジの上も、天井までの収納です。

4)炊飯器置き場は、引き出し式にして使いやすくします。

5)可動棚付きの大きな収納には、食器などをたっぷりしまえます。

6)キャスター付きの収納ボックス。引き出すと椅子として使えます。

ご提案時のイメージパースです。完成時とは少し違っていますね。

椅子がベンチ型になっているのも理由があります。 座面を外すと、中が収納になっているのです! スペースを少しでも有効にお使いいただけるよう工夫しました。

F様はお引渡し後に、ハワイアンながらのベンチクッションを作られたそうです。 とっても素敵ですね。

8人で楽しく団らんできました!

普段は固定のベンチに5~6人で座る想定ですが、お客様がいらした時は、キャスター付きベンチやフリースペースの椅子を使って、みんなでテーブルを囲めます。

リフォーム完成後、F様にお招きいただいて、エコリフォームのスタッフも一緒にお食事しました!

総勢8名で、窮屈さを感じることもなく、楽しく団らんできましたよ。

エコリフォーム代表の塩谷理枝と、F様のお子様たちです。

F様より

「限られたスペースの中を、どれだけ有効に使えるか」を一番に考えて、エコリフォームさんに相談に乗ってもらいました。 必要なところに必要な収納があるのが、本当にいいな~と思います。

リフォーム前は必要なところに収納がなく、「あれを取りに、あそこまで行かないと...」という不便さがあって、「ここに収納があればなぁ」とよく思っていました。 今は面積こそ狭くなったけれど、快適さは全然違いますね。

細かく打ち合わせしたことが反映されていて、思った通りになっているのもうれしいです。快適で使いやすい収納です。

キッチン

キッチンは、収納力を重視して、サンウェーブ(現LIXIL)の「ピット」を選ばれました。数あるキッチンの中でも収納力がピカイチのシリーズです。

ピットの目玉が「パタパタくん」と呼ばれるドアポケット。 引き出し収納の前板に浅いポケットが付いているので、包丁などをしまってサッと取り出せます。

水切り棚は、使いたい時だけ引き下げて使えるタイプのもの。 普段は畳んでおけるので、見た目もスッキリ、邪魔になりません。

吊り戸棚も、スライドして目線の高さに下ろせるタイプを採用。 使いやすい位置で物を出し入れできるので、デッドスペースになりがちな吊り戸棚も有効利用できます。

F様より

キッチン、使いやすいですよ。パタパタくんも素晴らしいです! 狭小住宅で収納が少ない分、キッチンの収納が充実してるのはすごくいいですね。

収納の使い勝手とか、細かいところは、ショールームに行かないとわからなかったです。 やっぱりショールームに連れて行ってもらって良かったですね。ショールームに行くのは大事です!

洗濯機置場

1階に下りる階段上のスペースを利用して洗濯機置場を設け、ドラム式の洗濯機が収まりました。 洗剤などを置ける可動式の棚も付いています。

洗濯機置場の前には、室内干しに便利なホスクリーンを取り付けました。 ここでピンチハンガーに洗濯物を干してからバルコニーへ持っていく、という使い方もできます。

※写真はクロス施工前のものです。

階段

2階から3階へ上がる階段にも、収納スペースを設けました。 2段分が収納になっているので、さらに収納力アップ。いろいろな物が入ります。

こちらの階段にも手すりを設置したので、3階の子供部屋に上がる時も安全に上り下りできます。

階段を照らすトップライトは、可愛らしいデザインのものを選びました。 ガラスのセードからオレンジ色のやさしい明かりがこぼれます。

引き出しを開けて見ているお子様です。何を入れるか迷っちゃいますね。

3階のお部屋も素敵ですよ

階段・天窓

3階の階段の天井には、天窓を設けました。 両隣からの採光が難しい中で、明るさを確保するための工夫です。天窓からの光が、階段を通って2階にも届きます。

※詳しくは、天窓とシーリングファンで採光・採風をご覧ください。

天窓はF様のお母様もお気に入りで、F様とも「天窓をつけてよかったね」といつも話されているんだそうです。

また、お子様が階段から転落するのを防ぐため、下り口には格子の引き戸を設置しました。 不要になった際は取り外せる設計になっています。

※クロス施工前の写真です。

子供部屋・寝室

昼間は子供部屋として、夜はご家族の寝室としてお使いになる3階のお部屋です。 パイン材の無垢フローリングがとても気持ちいい、ナチュラルな空間になりました。 無垢フローリングは吸放湿性があるので、夏も冬もお部屋を快適に保ってくれます。

※詳しくは、無垢フローリング~パインをご覧ください。

無垢材は調湿性があり、子供部屋・寝室にぴったりの素材です。

Before

天井は、屋根の形に合わせて三角形の吹き抜けになっています。 白いクロスと階段の天窓の効果もあり、実際以上に広がり感がある空間です。

また、2階と同様、3階の天井にもシーリングファンを取り付けました。これで冷暖房効率がアップします。

下記はクロス施工前の写真ですが、それでも十分にお部屋の広がりが感じられます。

バルコニーの手前には、天井までのオープン棚を設けました。 奥行きが45cmあるので、ご家族のお洋服やお子様のおもちゃ、絵本など、けっこうな量の荷物を収納できます。

※クロス施工前の写真です。

ご提案時のイメージパースです。

バルコニー

ウッドデッキ風に仕上げた爽やかなバルコニーです。 とても日当たりが良いバルコニーなので、洗濯物を干すのに役立ちそうですね。

最後に外観を拝見します

今回のリフォームで外壁もきれいに塗り直し、歴史ある街並みによく似合う、落ち着いた佇まいの外観に生まれ変わりました。 外壁はスイス漆喰「カルクウォール」を採用し、漆喰ならではの味わいのある仕上がりになりました。

漆喰の白さが際立つ日中も素敵ですが、夜になって、照明に白い壁が浮かび上がる姿も雰囲気があります。

※詳しくは、ほたて漆喰・スイス漆喰をご覧ください。

Before

壁面の仕上げには、漆喰の風合いが見られます。

こちらはクリスマス時期。イルミネーションがきれいですね!

玄関

玄関は格子デザインの扉を採用しました。 格子の間にガラスが嵌め込まれていて、和モダンな雰囲気です。 家の中から見ると、ガラスを通して光が入ります。

窓にも木の格子を取り付けたので、和食屋さんか料亭のようにも見えます。 完成間近の頃には、通りすがりのみなさんに「何のお店ができるんですか?」とよく聞かれました。

ついに、お引渡しです!

6月にお問い合わせをいただいてから半年余り。夏を越え、秋が過ぎ、冬にまでかかった工事を経て、リフォーム工事が完成いたしました。

最後に施主検査として、F様ご家族に完成したお住まいをしっかりご確認いただき、無事にお引渡しの日を迎えました。

F様、ありがとうございました!

F様より

この家を新しくしようと決断したのはちょうど1年前です。 新築の計画が中断してしまい、数社のリフォーム会社に相談しましたが、「とりあえずきれいにしましょう」という提案しかもらえませんでした。 途方に暮れていた私たちに、エコリフォームさんは「全力でやらせていただきます」と言ってくださり、本当に救われる思いでした。

いい家を造るには、依頼する側と造り手側との信頼関係が必要だと思います。 エコリフォームさんとご縁があり、見違えるように綺麗で、快適で、安心な家にリフォームしていただき、本当に感謝しています。 私たちの選択は間違っていなかったと思います。

エコリフォームの皆様は暖かい雰囲気で、つい気軽にいろいろと相談してしまいましたが、その度に迅速に対応していただき、ありがとうございました。 子供たちも「しおやさん」「りえさん」「うすいさん」と、皆様の名前を覚えてしまい、最近あまり会えなくて寂しそうです(笑)。

またご相談させていただくこともあると思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

お客様インタビューはこちら

※インタビューではお母様にもリフォームのご感想をおうかがいしました。ぜひご覧ください。

リフォームアドバイザー
塩谷 理枝

長丁場のリフォームとなりました。

F様には遠方から何度もお越しいただいて大変だったかと思いますが、多くのご協力をいただいたお陰で、無事に築60年の住宅を再生させることができました。深く感謝申し上げます。

お引渡し後も、追加工事やメンテナンスをご依頼くださり、大変懇意にしていただいております。 私たちは、お引越しをして実際に住んでからが、本当のはじまりだと考えているので、お気軽に声をかけてくださるのがとても嬉しいです。

このリフォーム事例の掲載についてはF様に多大なご協力をいただき、また、インタビューにお答えくださったことにも感謝しております。 この度は誠にありがとうございました。