慣れ親しんだ雰囲気を大事に残した
ご両親のためのあったか~い家
お客様より
高齢者が住む家のリフォームで、これはすごく重要なポイントだと思うんですけど、間取りを大きく変えないこと、元のままの場所をなるべく残すこと。
住み慣れた家の面影を感じられることは、ものすごく大切なポイントだと、リフォームが終わって住んでみて感じます。ありがとうございました。
ハウスデータ |
築年数 | 21年 |
住宅仕様 | 2階建て木造住宅 |
広さ | 建坪12.5坪(約42m2)、述べ床約26坪(約86m2) |
内容 | 1階部分のスケルトンリフォーム(水周り交換、耐震工事・水道工事・電気工事等、全ての工程を含む) ベランダ設置等の外部工事 |
地域 | 北区 |
>スケルトンリフォームについて
ご両親のためのリフォームを計画中のI様より、メールで最初のご連絡をいただきました。
リフォームを思い立った最初のきっかけは、両親が歳を重ねてきたため、2階にトイレの追加&風呂場のリフォームの必要性を感じたからです。
また、耐震補強や断熱をするという希望もあり、1階がもう少し明るくならないものか・・・など、考え始めると膨大な要望がわいてきます。

お家の築年数は21年で、比較的新しい建物です。
しかし、間取りの関係などから、お嬢様のI様は、これから先、暮らしていくために、今、リフォームをすることが、
ご家族にとって良いとお考えでした。
ただ、お店を経営されているご両親様は、まだまだ現役でお仕事をされており、特にお父様は、リフォームの必要性をあまり感じていらっしゃいませんでした。
私たちの会社案内や、資料をお送りして、メールで何度かやり取りをさせて頂いて、「リフォームをする」ということに対して、ご家族皆さんが前向きに考えられるようになってから、またご連絡をいただけるということになりました。
そして、8ヶ月ほど経った頃、改めてご連絡をいただき、実際にお宅を拝見させていただくことになりました。
お客様より
私はリフォームをしたいという気持ちを、両親にいつもアピールしていました。
でも、いきなりやろうとするのは、両親も反発しますので、徐々に徐々に、あきらめず、という感じでしたね。
父母は、自分たちで建てた家に愛着もありますから、「全部壊しちゃうわけじゃないんだよ、残せることころは残してもらおう」ということも話し合いました。
I様邸は、お父様が21年前に建てられた木造一戸建てのお住まい。
建坪は12坪ほどの総2階で、その上には6帖ほどある大きなロフトもあります。
ご両親と、I様3人ご姉妹の思い出の詰まった建物です。
今回のリフォームでは、I様は、あくまでも「ご両親」を第一に考え、計画をお考えでいらっしゃいました。
◎お客様のご要望は・・・
【1】ご両親が暮らしやすい家にしたい
・1階の日当たりと風通しを良くしたい
窓はあるが、形に問題があり開けることができない。雨戸も開けられない。そのため、昼間でも電気をつけないと暮らすことができない。風通しも悪い。今回のリフォームで、採光・痛風を改善したい。
・2階にトイレを新設し、お風呂も新しくしたい
家族みなさんの寝室は2階。でも2階にはトイレがないので、ご両親が夜中に階段を下りてトイレに行くのが不便。お風呂も、入りやすくて安全なものに交換したい。
・キッチンの交換、収納不足の解消、バリアフリー
使いやすいキッチンでお母様の負担を軽減したい。収納を増やして屋内をスッキリさせたい。段差もなくして屋内の危険をなくしたい。
【2】耐震補強と断熱 ~表から見えない箇所の改善~
家の近くをトラックが通ると揺れるのが気になる。
今回のリフォームを機に点検し、危険な箇所は改善したい。
断熱も行い、夏の暑さと冬の寒さを軽減できる家にしたい。
【3】慣れ親しんだ家の雰囲気を壊さないリフォームを
全部が変わってしまったらご両親が戸惑ってしまわれるだろうとのお考えで、ご両親が建てた家の雰囲気はできるだけ残したい、再利用できるものは最大限に利用したい、とご希望でした。
■お客様のご要望をふまつつ、建築士としての見解も加えて、計画を立てることになりました
お客様のご要望をお聞きするだけではなく、建築士が建物をよく拝見いたしました。
しかし、まだ契約の運びとなっていない段階ですから、壁を壊したりする訳にはいきません。
床下は点検穴から確認できましたので入らせていただきましたが、壁面に関しては、外側からの「目視」となりました。
そこで、気になった点が3つありました。
それは建物の構造的なことです。
▼構造的に改善したほうが良いと思われた点
1階の居間が大空間であること
こちらのお宅は、1階の大部分が、キッチン&居間になっています。
その為、10帖ほどの大空間には間仕切りや柱がありません。
建築当初の図面を拝見させて頂いても、重量のある2階や、その上のロフトの荷重を支えられるような補強を考えた方が良いのではないかと感じました。
1階の外壁が斜めになっている
1階の外壁の長手の1面が、斜めに作られていました。
限られた面積を、なるべく有効に使えるようにと、大工さんが工夫をして下さったのだと思いますが、家を支える重要な壁が斜めというのは、残念ながら構造的にはマイナスになってしまいます。
こちらも、今回大掛かりなリフォームをされるのであれば、補強の対策をさせて頂いたほうが良さそうでした。
2階のお風呂を支える構造が不十分
こちらのお宅のお風呂は2階。ちょうど、玄関の真上あたりにあります。
お風呂はとても重さがあり、水を張ったときには500kg~1tくらいの重量になります。
しかし、この荷重を支える構造の強度が不十分だったようで、長年の間に、玄関の上の外壁部分には、クラック(ヒビ)が入ってしまっていました。
今後、長く暮らして頂くためには、お風呂の位置を変える、または構造を補強するなど、何らかの対策が必要であると考えられました。
ご両親のためにリフォームを、というお客様のご要望に、建築士が建物を拝見して改善した方が良いと思う点を加え、I様邸のプランを作り上げます!
お客様の要望を満たすことはもちろんですが、ご両親とI様がこれからもずっと安心して暮らすためには、構造部分もしっかりと見ておく必要があります。
特にI様邸は、築年数は21年と浅めなものの、大きな車が通ると揺れる、ということを心配されていましたので、そういった不安も改善できる、リフォームプランを練っていきます。
そして、I様邸のプランが出来上がりました!
I様邸は築20年のお住まいなので、まだそれほど古くなってはいませんが、1階の窓の形が、外に向かって観音開きになる形状であり、窓を開けると外を歩く方の通行を妨げてしまいます。
その為、窓を開けることができず、常に1階が暗い、ということがお悩みでした。
またご両親のこれからの生活をお考えになると、2階にトイレが無いことや、3階のロフト収納へ上がる階段が壊れていて危険であること、お風呂の段差が大きいこと、なども気になっていました。
部屋をスッキリ使う為の収納スペースも増やしたいとお考えです。
基本的に大きな間取りは変えない

今回のI様邸のリフォームは、スケルトンリフォームですから、やろうと思えば、大きな間取りの変更も可能です。
しかし、I様邸ではあえて大きな間取りの変更は行いませんでした。
お客様からは、1階のLDKを2階にして、寝室を1階にするのはどうだろう、というご相談もいただきました。
I様邸は、1階が暗いというお悩みがあり、では2階ならどうだろうとお考えになったこと、そして寝室が1階ならば、ご両親も楽なのではないか?というI様のお考えから出たお話でした。
しかし、I様のご両親は現役でお店を経営されており、更に家事もこなすI様のお母様は、家の中と外をよく出入りなさっています。
ですからLDKと玄関の往復の度に、階段の昇り降りをなさるのは、ご負担が大きいのでは?と考えられました。
1階に日が入らないという悩みは、現在の形の窓を交換することで、随分明るくお暮らしいただける様になります。もちろん、風も通ります。
そういった私達の考えをお話し、I様とよくご相談させていただきました。
そしてご家族で検討された結果、居間は以前と同じ1階にさせて頂くことになりました。
もちろん、最終的に、決定されるのは、お客様です。
しかし、お話いただいたご希望に対する、メリット・デメリットもきちんとお伝えしてその上で選択頂くことが、大切だと考えています。
お客様より
リフォーム後の住まいに引っ越してきて、実際に暮らしてみると、長年この家に住み慣れた両親にとっては、スイッチの位置がひとつ違っても、戸惑ってしまうということがありました。
ですから、両親のためにも、元の住み慣れた家の間取りを大きく変えないでリフォームができた事は、良かったと思います。
使いやすい設備を
お風呂やトイレ、キッチンなどの設備は「使いやすい」「操作しやすい」を一番の優先順位にして選び、ご提案いたしました。
手すりの設置・バリアフリー化
階段や玄関といった、大きな動作を行う箇所には、手すりを設置しました。
木製の手すりは触った時にヒヤッとしません。実際に使う人に優しい造りです。
床は段差の無い、バリアフリー仕様です。
収納のための部屋を作りましたので、室内もスッキリ使えます。
段差が無く、すっきりした室内は、移動が随分スムーズになり、屋内事故を防ぐことにも繋がります。
自然素材のご提案
新しい内装には、以前よりもずっと住み心地の良い住まいになるように、無垢のフローリングをご提案しました。
ご家族皆様がお使いになるリビングには、ご両親が木目を気に入られた「楢(なら)」の木を。2階のI様のお部屋は、スタイリッシュな赤い色の無垢材「ピンカドー」を採用します。
無垢材は、吸湿発散性に優れていて、夏場など湿度の高い時には湿気を吸い、冬場など乾燥しているときには湿気を放出します。
そのお陰で夏は空気がさらっとして涼しく感じ、裸足で歩いてもべたつかないですし、冬は反対に、部屋の湿度が高くなることで暖かく感じます。
量産品のラミネート加工でピカピカになった建材とは違い、風合いがあって暖かい印象の無垢の床は、I様は、今までの雰囲気を残すリフォームをしたい、というご希望にもピッタリです。
リフォーム計画を立てる中、完成間近な他のお客様のお宅で、自然の素材や設備を実際にご覧いただきました

I様邸のプランニングを行っていた時期、丁度、スケルトンリフォーム工事が完成間近のお客様がいらっしゃいました。
I様邸でおすすめした設備と同じものがありましたし、何よりも自然素材を全体に使った住まいの印象を肌で感じていただく為、こちらのお住まいを見学をしていただくことになりました。
実際にご覧になってとてもイメージが明確になったと、I様。
見学に快くご協力くださった、こちらのお施主様であるU様に感謝いたします。
★U様邸のリフォーム事例は、こちらでご紹介しています!
■I様邸の耐震計画

今回のリフォームで、大地震が起こったときに家が倒壊するのを防ぎ、逃げるまでの時間を稼ぐために、できる限りの耐震補強を施します。
耐震的には、1階の間取りがより重要になりますので、収納の計画と絡めて2階の加重を受ける耐力壁を配します。また、浴室も重量がありますので、2階の新しいユニットバスの位置も、下で重さを受ける壁を考えて計画しています。
※実際に解体し、シロアリ被害、施工不良等の問題が見つかりましたので、初期の補強計画を見直し、更に改良したものになりました。(この図面は改良後のものです)
詳しくは「工事の様子」をご覧ください。
お問い合わせをいただいてから1年という準備期間を経て、I様とご両親のリフォームへの足並みが揃われ、正式にご契約の運びとなりました。
ありがとうございます!よろしくお願いいたします。
■いよいよリフォームが始まります! 耐震補強の様子も合わせてご覧ください
安心の家に生まれ変わる!
耐震工事の様子も合わせてご紹介します。
I様邸では、解体後に、お住まいになっていたご家族も気づかない間に進行していた雨漏りと、それに伴うシロアリ被害があることがわかりました。
構造上、大きな不安な箇所があることも明らかになりました。
そこで、もともとの耐震計画に更に大きな改善を加えた、大掛かりな耐震工事が行われ、無事、安心の家に生まれ変わることができました。
シロアリ被害の事などは、実際にどちらのお宅でも起こりうることです。
是非、工事の様子もご覧ください!