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長屋(テラスハウス)を耐震スケルトンリフォーム
U様邸 ハウスデータ
築年数 | 33年 |
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構造 | 木造2階建て住宅(長屋) |
広さ | 建坪17.2坪、延床34坪 |
内容 | 1・2階のスケルトンリフォーム、外部リフォーム |
地域 | 東京都練馬区 |
長屋(テラスハウス)タイプのお住まいが生まれ変わるまでのドキュメントです。
U様は、3軒長屋の2軒をつなげてお暮らしです。まず第一に耐震性を上げ、安心して暮らせる家にしたいとご相談に見えました。
2軒をつなげた特殊な形態の建物を、しっかり耐震補強。1階部分には店舗スペースを設け、2階でゆったり暮らせるように間取りも変更します。 断熱施工で快適性もアップして、歳を重ねてもずっと安心なお住まいに生まれ変わります。
「長屋のリフォームができるところを探していました。」
U様邸は築33年になる長屋タイプの木造2階建て住宅です。 30年ほど前にご購入され、1階の一部を店舗に、残りを住居にして、ご家族でお住まいになってきました。
U様はリフォームを思い立って業者を探していましたが、長屋(テラスハウス)タイプの建物ということもあり、なかなかしっくりくる業者が見つからなかったそうです。
そんな中、エコリフォームのホームページで、リフォーム事例「築60年・7坪の長屋住宅 再生ものがたり」をご覧になり、お問い合わせくださいました。
Before
お問い合わせをいただき、早速、現地調査に伺いました。 U様邸は何度か手を入れられて、丁寧にお暮らしの様子でしたが、建物の成り立ちがちょっと変わっていました。
U様邸があるのは、屋根が一緒になっていて、3軒がくっついている長屋です。 それぞれの家の間は4cmほどの隙間がありました。
U様は、3軒のうちの2軒をご購入になり、2軒をつなげるリフォームをした上でお住まいになっていました。 2軒をつなげる際に、間の壁を抜いているため、耐震性には不安があったそうです。
一級建築士の塩谷敏雄の見解をお伝えしてU様にご検討いただいた結果、リフォーム計画を進めていくことが決まりました。
普段はほとんどインターネットを見ないので、エコリフォームさんをインターネットで見つけた時、実はちょっと不安でした。
でも、テラスハウスをリフォームしている事例を見たのがポイントでした。 「それってうちとピッタリ!ここならやってもらえるかも」って思って、それでお電話したんです。
確か最初は、コーディネーターの薄井さんがお電話に出てくれたと思います。 実際にお話してみて、親切に対応してくださって、安心しました。 現地調査にいらした塩谷さんご夫妻の温かなお人柄にも触れて、この方たちならお任せできると思いました。
U様には大きく3つのご要望がありました。
一番のご要望は、しっかり耐震補強して、地震に強い家にすることです。
前の道路を大型車が通ると揺れることがあるそうで、既に区の簡易耐震診断も受けていらっしゃいました。
次に、家の断熱性能を上げて、一年中快適な家にすることをご要望でした。
夏は2階にいられないほど暑く、冬は土間から上がってくる寒さがつらかったそうです。
3つ目のご要望は、歳を重ねてからも安心して暮らせる家にすることです。
将来もずっとこの家で暮らせるよう、バリアフリーをはじめとした工夫をしたいとご希望でした。
さらに、リフォーム後の間取りについてはこんなご要望がありました。
リフォーム前は日の当たらない1階奥がメインの生活スペースでした。
リフォーム後は明るい2階で生活できるようにしたいとご希望でした。
リフォーム前は1階の一部を店舗としてお使いでした。
リフォーム後も店舗スペースを設けて、賃貸にしたいとご希望でした。
U様に初めてお会いした日から、お打ち合わせを重ねて2ヶ月あまり。 U様だけのオリジナルなリフォームプランができあがりました!
耐震性を改善し、間取りも大きく変わるリフォームプランをご紹介します。
1階 Before
1階の半分は店舗、残りがU様の生活スペースでした。 広い通りに面して店舗があり、生活スペースへは裏側の玄関から入るようになっていました。
1階 After
1階の半分が店舗なのは変わりませんが、区切り方を変えて、U様邸の玄関を表側に移動します。 将来エレベーターを設置できるように、玄関は広く取りました。
奥には大きなものをしまえる納戸を設けて、メインの生活スペースは2階へ移します。
2階 Before
横に通っている厚い壁は、2軒の家の境目だった部分です。 2軒の家を1軒につなげる際に、壁の一部を撤去したため、耐震性が低下していました。
2階 After
生活の中心となる2階には、LDKと居室、水まわりを設けます。 LDKは、奥の居室までを一体にして広々と使えるようにします。
2軒の家を隔てていた壁は、家の強度が低下しないよう、できる限り残す計画です。
ご提案したリフォームプランには、U様の3つのご要望がすべて盛り込まれています。 さらにコーディネーターからは自然素材の採用をご提案しました。
U様邸の耐震性能が低かったのは、2軒の長屋を1軒につなげた際に壁を抜いてしまったことと、店舗の前面がウィンドウになっていて、壁が少なかったことが主な原因でした。
U様邸の特殊な条件を考慮して、オーダーメイドの耐震計画を立てました。 ほとんどの壁を耐力壁にして鋼製火打金物を設置、2階には耐震補強システム金物「コボット」を設置します。 店舗スペースのウィンドウ部分も減らして、耐力壁を増やします。
耐震図面 1階
耐震図面 2階
古い家では断熱施工をしない場合や、断熱材がヘタって役に立たなくなっている場合があります。 夏は暑く、冬は寒いというのは、築年数の長い木造住宅に共通のお悩みです。
今回のリフォームで、壁と床、天井に、断熱材をたっぷり施工して、断熱性能を高めます。 これで冷暖房効率も良くなり、省エネで快適な環境になります。
使用する断熱材は、主に新聞紙をリサイクルして作られる「セルローズファイバー」です。 ホースで隙間なく吹き込むので、断熱効果が高く、劣化しにくいのが特徴です。 防音効果もあるため、外を通る車の音などもだいぶ軽減されます。
まず、室内に段差を作らずバリアフリーにして、廊下も広めに確保します。 また、扉は軽く開け閉めできる引き戸にして、要所に手すりを設置することも大切です。 介助の可能性を考え、トイレも奥行きを持たせました。
U様とご相談して、将来エレベーターを設置できるスペースも設けました。 安全に暮らせる工夫を盛り込んだ、安心なお住まいになります。
実はリフォーム前からコルクタイルをお使いだったU様邸。30年前に家を購入した際に、ご主人様がお選びになったそうです。 U様はコルクタイルの良さをよくご存知で、キッチンなどの水まわりの床にコルクタイルを採用することになりました。
コーディネーターもU様のライフスタイルには自然素材がぴったりだと感じ、コルクタイル以外にも、無垢フローリングや無垢の建具をご提案しました。
Before
U様邸はリフォーム前からコルクタイルを使われていました。
インテリアコーディネーター
薄井 歩
U様のご要望を一番良い形で実現するために練り上げたリフォームプランです。 まず一番大切な耐震補強をクリアした上で、どのような間取りが最も快適家を考えました。
賃貸スペースを1階にするか、それともU様の生活スペースを1階にするか、いくつかの案を出しました。 年齢を重ねてから暮らしやすいのは1階ですが、2階は日当たりと風通しが良く、春になると窓から満開の桜が見えます。 U様と検討した結果、防犯面も考慮して、2階をU様の生活スペースに決め、ホームエレベーターを設置できる空間を設けることに決まりました。
木造住宅のリフォームでは、新築とは違い、自由に間取りを決められるわけではありません。 建物の強度と暮らしやすさ、さらに費用とのバランスを考えたリフォームプランになっています。
U様より
最初に「こういうのができますよ」という図面ができてきた時には、ワクワクしました!
でも、図面に気をとられて耐震のことを忘れ、「もっとこうしたい」と言うと、エコリフォームさんは「耐震面を考えると、それはできないんですよ」と言ってくださるんです。できないことはできない、とはっきり言ってくださったので、かえって安心できました。
念願だった耐震リフォームがやっと実現すると思うと、嬉しくてたまりません。 良きアドバイスをいただきながら、計画を進めていきたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。
リフォームプランの提示から約1ヶ月。U様とお打ち合わせを重ね、細かい調整を経て、正式にご契約となりました。 リフォーム工事の日程が決まり、準備が進められます。
アドバイザーの塩谷理枝とコーディネーター薄井が同行し、U様をショールームへご案内しました。
一戸建てのスケルトンリフォームですから、選ぶものもたくさんあります。 窓サッシや玄関扉はトステム(現LIXIL)さん、キッチンはタカラスタンダードさん、お風呂はINAX(現LIXIL)さんと、様々なショールームにご一緒いただきました。 最後にウッドワンさんのショールームで室内建具をご覧いただき、2日間に渡るショールーム巡りが終わりました。
U様、お疲れ様でした!
リフォームをプランが決定し、工事が始まるまでの間に、U様はお打ち合わせの一方でお引越しの準備もされていました。 お仕事もされながらのご準備は大変だったことと思います。
スケルトンリフォームの際は、不用品を処分される方が多いですが、地域で収集を依頼するのが最もリーズナブルです。 U様もお住まいの練馬区で不用品処分を依頼されていました。
仮住まいまで持っていけない大きな家具などは、エコリフォームの倉庫でお預かりすることになりました。 施工責任者の塩谷敏雄も荷物の積み込みをお手伝いして、無事にお引越しが完了しました。
いよいよU様邸のリフォーム工事が始まります。 U様邸は長屋(テラスハウス)タイプの建物なので、他の建物とは異なる特徴があり、耐震補強工事の内容も少し違っています。
独立した玄関を持つ複数の住居が並んで建ち、壁を挟んで1棟の建物になっているのが、長屋タイプの住宅です。 現代ではテラスハウスとも呼ばれます。
長屋の多くは、各住戸が屋根と壁を共有していますが、中には壁を共有していない長屋もあります。 U様邸もその一つで、3軒の住戸の間に4cmほどの隙間があり、それぞれ独立した境界壁を持っていました。 壁だけでなく、基礎や土台もそれぞれ独立していましたが、屋根だけは共有でした。
つまり、屋根の問題さえクリアできれば、3軒のうち1軒を取り壊すことが可能な構造でした。
建物の間にある境界壁です。
U様邸は3軒長屋のうち2軒をつなげるリフォームをされていましたが、これが耐震性を低下させる大きな原因となっていました。 2軒の間にあった境界壁を、1階はすべて、2階は一部、抜いてしまっていたからです。
境界壁はただの間仕切り壁のように見えますが、U様邸では外壁と同じ役割を持っていました。 家の構造を支える外壁が欠けているのは、大きな問題となります。 実際、U様も、家の前をトラックが通るときなどは揺れを感じていたそうです。
施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄
U様邸の特徴と問題点を踏まえた上で、耐震計画を立てました。
1階は境界壁をすべて抜いているので、境界壁のあった箇所の2/3ほどに、筋交いの入った耐力壁を配置します。 2階は、境界壁を抜いていない箇所をできるだけ残し、筋交いを入れて壁の強度を上げます。
さらに、ポイントポイントに耐力壁をバランス良く配置し、傷んだ柱や梁を交換することで、境界壁を抜いた際に落ちた強度を補います。
U様邸を丁寧に解体し、スケルトン状態にしました。 他の建物とは違うユニークな部分が境界壁です。2軒の長屋の間にあった空間があらわになりました。 構造上大切な部分なので、できる限りそのまま残すことになります。
現場にいらしたU様も、解体された我が家をご覧になって、「本当にここまで骨組みだけの状態を見る機会は、なかなか無いですよね」と驚いていました。
キッチンを解体したところ、シロアリ被害が見られました。 雨樋を設置した際に開いた釘の穴から、長年に渡って雨水が入っていたため、湿気を好むシロアリが侵入したようです。
土台部分がボロボロになっていたため、傷んでいた箇所はすべて撤去して造り直しました。 また、四隅の柱の1本もシロアリの食害を受けていました。 建物にとって非常に重要な柱のため、新しい柱に替えた上で両隣から補強し、かなり強度が上がりました。
シロアリ被害で土台部分がボロボロになっています。
重要な柱も深刻な食害を受けていました。
土台を新しくして、柱も補強しました。
施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄
経年した建物の耐震補強で大切なのは、現状をしっかり把握することです。 どこがどのくらい傷んでいるのか、どの程度の補強が必要なのかを把握して、わかったことを包み隠さずお客様にお伝えします。
補強を行う前に、工事内容について説明し、不明点を明らかにするのは、お医者さんのインフォームドコンセントと同じです。 建築のプロとして、「ここが悪いから、このように直します」ということを、お客様に詳しくご説明するのです。
お客様に解体後の状態をご覧いただき、最善な補強方法をご提案します。やむを得ず追加の工事が発生する場合は、お客様のご理解を得たうえで追加料金をいただいています。
U様にも現場をご覧いただき、詳しく説明しました。
U様より
解体したキッチンの裏側の傷み具合を見たときは、ちょっと不安でしたけど、説明していただいて安心できました。 工事が終わると隠れてしまう前の部分を見せていただけるのは、リフォームをお願いする側としては嬉しいですね。
耐震についても、できることはできる、できないことはできない、とはっきり言っていただけるから信頼できました。
耐震診断の結果を反映した耐震計画に基づいて、梁や柱を新しいものに入れ替え、耐力壁を増やす補強を行います。 特に2軒の間にある境界壁はとても大事な箇所なので、筋交いを入れてしっかり強度を上げます。
耐震補強で大切なのは方法とバランスです。 その家に合う適切な補強方法を選び、耐震金物をバランス良く配置して、地震に強い建物にします。
耐震図面 1階
耐震図面 2階
筋交いに二重に入っている箇所は、境界壁を再形成した部分です。安心感のあるしっかりした壁になります。
地震の縦揺れで筋交いが外れてしまうのを防ぐため、接合部分に耐震金物を設置しました。
一部の柱はそのまま使用します。新たに耐震金物を取り付けて、強度を上げました。
U様より
耐震リフォームの工事の様子が、詳しく見られたのが良かったです! 雑誌や本には、工事の様子までは載っていないので、初めて見ました。
土台がこうなっているとか、腐っていた所とかを説明していただいて、「ああ、こうなっていたのかぁ」とガッカリしました。 でも、塩谷さんが「まだ大丈夫。良くなりますよ」と言ってくれて、「今このときにリフォームしておいて良かった!」と思いました。
今回のリフォームで間取りが大きく変わるため、新しく壁を造る箇所を中心に、新しく基礎を造ります。
また、住居のキッチン部分の床は、ベタ基礎がありませんでしたが、リフォーム後は店舗となるため、耐圧盤としてベタ基礎を施工することになりました。 建物の角にあたる部分のため、ベタ基礎によってさらに強度が上がり、安心のお住まいになります。
基礎の新設部分です。まず丁寧に配筋を行います。
アンカーボルトを鉄筋と結束し、型枠を設置します。
きれいな基礎ができました。後でアンカーボルトを土台と連結します。
キッチンがあった部分の床に、ベタ基礎を造っていきます。
防湿フィルムの上に、異型鉄筋を150mmピッチで配筋しました。
コンクリートを流し込んで完成です。
これからも長く快適に住める家にするために、断熱性能をアップすることも大切です。
断熱材は「セルローズファイバー」を中心に、1階の床には「フクフォームEco」を採用します。フクフォームEcoは古紙とコーンスターチから作られる発泡系断熱材で、発泡材には水蒸気が使われているため、長寿命でエコな素材です。
セルローズファイバーを施工する前に、不織布をタッカーで止めていきます。
不織布の中にホースでセルローズファイバーを吹き込みます。現場はホコリでもうもうです。
2階の床にもセルローズファイバーを吹き込みました。防音効果もあるので、階下の音も気になりません。
セルローズファイバーの施工完了です。不織布の中にセルローズファイバーが詰まってパンパンになっています。
U様も現場を見にいらっしゃいました。「工事中はこんな感じになっているんだ~」と思われたそうです。
1階の床にはフクフォームEcoを施工しました。床下から冷気が上がってくるのを防ぎます。
壁を挟んでお隣と隣接している長屋ならではの遮音工事、水まわりスペースの位置を1階から2階へ移動するための配管工事も行いました。
お隣との間の壁に遮音シートを貼り、生活音が響くのを防ぎます。
架橋ポリエチレン管を使用して、配管はすべて新しくしました。
マンションでよく使われるパイプシャフトを採用しました。排水音を防ぐために防音材を施工します。
リフォーム前はトタン屋根でしたが、経年で劣化が見られたため、ガルバリウム鋼板に葺き替えることになりました。 ガルバリウム鋼板は耐久性に優れ、軽量な屋根材です。
新しい屋根は継ぎ目がないシームレス工法で仕上げるので、雨漏りもしにくくなります。
Before
トタン屋根を撤去し、下地と防水シートを施工します。
ガルバリウム鋼板で屋根を葺いていきます。ライトグレー色なので、暑さが軽減されます。
ドブ板と呼ばれる継ぎ目の部分をしっかり閉めて完成です。
長屋のため、屋根は隣家とつながっています。境の部分もきれいに仕上がりました。
天窓(トップライト)も設置されました。
今回のリフォームで間取りが大きく変わるのに合わせて、窓の位置も変更になります。 合わせて、外壁塗装も行うことにしました。
窓を新しくした際に、注意しないと隙間から水が入ることがあります。 外壁全体を塗装し直すことで、外部から建物の中に水が入るのを防ぐことができます。
Before
下地としてラスカットパネルを施工します。地震にも火災にも強い素材です。
下地の凸凹した箇所を平らに均します。この一手間で仕上がりに違いがでます!
外壁がきれいに仕上がりました。窓の位置も変わりましたね。
大切な構造部分の施工が終わったら、建物内部の仕上げ工事に入ります。 大工さんや職人さん、水道屋さんなど、各専門分野のプロたちが集結して、U様邸の内装を仕上げてくれました。
着工はまだ寒い頃でしたが、完成時は初夏のような陽気に。 約3ヶ月の工期を経て、U様と二人三脚で進めてきたリフォームが完成となりました!
階段は位置を少し変え、ゆるやかに架け替えます。
床には無垢フローリングを施工しました。
キッチンの設置は専門の業者が行います。
あらわしで仕上げる梁を塗装しています。
これはクロスにノリをつけているところです。
玄関ポーチも素敵に仕上がりました。
完成間近の現場にいらしたU様。とってもうれしそうです。
U様より
ここまでになるとは思っていなかったです。うれしいです。
エコリフォームさんは、仕事でリフォームしているというより、家が好きな人が集まっている会社なんだなぁと感じました。 家を造ることが大好きな人たちが集まって、いい家を造っているんですね。
その中の一つに、私の家も加えていただいて、本当に良かったと思います。
長屋タイプのU様邸が、耐震性が高く暮らしやすいお住まいへと生まれ変わりました。
2軒の長屋(テラスハウス)をつなげて造られたユニークな間取りのU様邸。 2軒の間の壁を抜いたために耐震性が低下していましたが、しっかりした耐震補強で改善しました。 間取りも大きく変わったU様邸の、リフォーム完成の様子をご紹介します。
1階 After
2階 After
早速、外観と玄関からご紹介します。
建物に向かって左手は貸店舗の入り口、右手が玄関になっています。 リフォーム前は、建物前面がすべて店舗だったため、U様邸の玄関は家の裏手にあり、スペースも小さなものでした。
今回のリフォームで、玄関は建物の表側へと移動。 広くなった玄関には、明るい日差しがたっぷり降り注ぎます。
Before
U様はガーデニングがお好きなので、玄関には植物を飾れるスペースを用意しました。 日当たりがいい場所なので、ガーデニングの楽しみも広がります。
お暮らしになってからは、たくさんの植物を育てて素敵に飾られているそうです。 お花も気持ち良さそうですね♪
U様邸の1階部分の2/3は賃貸店舗、残りの1/3が住居部分です。 水まわりは2階へ移動して、1階は玄関と廊下、大きな納戸を設けました。
※店舗部分については今回ご紹介しておりません。
玄関の引き戸を開けると、畳2.5畳ほどある、ゆったりした玄関内部です。 普段は自転車を置けるように、将来はエレベーターを設置できるように、玄関スペースを広く取りました。
玄関はできる限りコンパクトに、という方も多いですが、U様邸のように使用目的をはっきりしておくと、広い玄関も無駄ではありません。ゆったりした玄関で、より豊かな気持ちになれますね。
Before
玄関には小物を飾れる可愛いニッチ(飾り棚)を設けました。 実際にお暮らしになってからは、グリーンやカードなどを飾っているそうです。 季節によって飾る小物を変えたりするのも楽しいですね。
また、玄関にはL字型のしっかりした手すりも取り付けました。 手すりがあれば、玄関框を上り下りする際の負担が軽減されます。 ご高齢になってからも安心してお暮らしいただけます。
1階には、階段下とオープンスペース、納戸の3箇所に大きな収納を設けました。
階段下の大きな収納スペースには、U様のアイデアで、フリーオープンタイプのクローゼット扉を設置しました。
階段下スペースは天井が斜めになっていますが、扉を左右に動かせるので奥の方にも手が届きやすく、便利に普段使いできます。
階段を上がる前のオープンスペースの収納は、天井いっぱいの本棚です。 新書や文庫サイズの本を多くお持ちなので、棚板を増やしてたくさん収納できるように計画しました。 棚板の位置は変えられるので、大型本も収納できます。
既製品の本棚を設置される方も多いですが、作り付けの本棚ならぴったりサイズで隙間ができず、地震で倒れる心配もありません。読書家の方におすすめです。
1階の奥には3.5畳の広さがあるオープンな納戸を設けました。 収納棚などは造り付けず、婚礼タンスを置いて使われる予定です。
来客時などはサッと目隠しできるように、入り口にロールスクリーンを設置しました。 また、必要な時には小さな個室として使えるように、テレビやインターネットの配線もしてあります。
階段は勾配をゆるやかに架け替え、手すりも付けて安心になりました。
Before
階段の横は長屋の隣家になるため、窓を造ることができません。 そこで、2階のリビングから光を取り込めるよう、入口にガラス入りの建具を採用しました。
さらに、上部に設けたポリカーボネートの室内窓からも光が差し込み、明るい階段になっています。 半透明の室内窓は光だけを取り込んで、冷たい空気は遮断します。
インテリアの面でも、素敵なアクセントになりました。
水まわり設備も1階から2階へ移動して、リフォーム後は2階がメインの居住スペースとなります。
リフォーム前のお部屋にはたくさんの思い出が詰まっていますが、年月を経て暮らしぶりも変わってきました。 現在、そしてこれから、U様ご家族が快適に過ごせるよう、間取りも大きく変わります。 2階もリフォーム前とは一転、ゆったり広々した空間へと生まれ変わりました。
階段を上がり、引き戸を開けると、梁がアクセントになった吹き抜けのリビングが目に飛び込んできます。 お客様がいらっしゃると、リビングに足を踏み入れた途端に、「わぁ!」と感激されるそうです。
視覚的にも広々と感じられるよう、天井は吹き抜けにしました。
吹き抜け天井は夏の暑さが室内に伝わりやすいものですが、天井にも断熱材をしっかり入れているので、屋根からの熱をシャットアウト。
お引渡し後、U様から「エアコンの設定が31度でも快適でした」とうれしいご感想をいただきました。
天井にはおしゃれなシーリングファンを設置しました。 暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へと分かれますが、シーリングファンで空気を撹拌すれば、室温を一定に保てます。
また、解体時に現れた立派で頑丈な梁は、濃いブラウンの自然塗料で塗装して、そのまま見せる形で仕上げました。 年月を経たからこその味わい深さが感じられますね。
南は長屋の隣家のため、窓が一つもありません。 その分、西側の大きな窓からたっぷり採光できるよう、縦長の窓にリフォームしました。 高い位置からの光の方がお部屋の奥まで届くので、午前も午後も明るい空間となっています。
Before
また、天井には天窓(トップライト)を設置しました。 天窓は、通常の窓に比べて3倍の明るさを確保できると言われています。 夏場など日差しが強すぎる時は、付属の棒でシェードを閉めておくこともできます。
柱の間に設置されているバッテンの金物は、「コボット」という耐震金物です。 ここは家の強度を保つために耐力壁にしたい箇所ですが、壁にすると空間が窮屈に感じられてしまいます。
そこで、耐力壁と同じ強度を持たせることができるコボットを設置しました。 コボットは地震の揺れによる力をしなやかに受け止めるように設計されているので、耐震性は高いまま、オープンな空間を実現できました。
リフォーム前に使われていたコルクタイルも良い自然素材ですが、日当たりが良いお部屋では色が抜けやすいのが難点です。
そこで、床は無垢フローリングに変えました。調湿効果のある無垢材が、お部屋を快適な湿度に保ちます。
床に合わせて、建具も暖かみのある無垢材のものをお選びしました。 U様のご希望もあり、扉は開き戸ではなく引き戸にしています。
省スペースで使いやすい引き戸ですが、戸を引き込むために壁や柱を調整する必要があります。 新築なら事前に計画できますが、リフォームでは難しいため、「アウトセット」を採用しました。 アウトセットの引き戸なら、柱をそのまま残して好きな位置に取り付けることができます。
普段は一つの空間として使うリビングダイニングですが、お客様がいらした時など、リビングとダイニングを分けて使いたいこともありますよね。 そんな時のために、ロールスクリーンを取り付けました。 ロールスクリーンを下げれば、あっという間に間仕切り完了! ご家族それぞれが心地よく過ごすための工夫です。
ロールスクリーンの色は、U様のチョイスです。 落ち着いた感じのイエローは、無垢材ともぴったり合っていて、お部屋を明るく演出します。
開け閉めも簡単です!
インテリアコーディネーター
薄井 歩
U様邸は2軒を繋げたお家だったので、家の中心にある壁を取り払うことができず、間取りに制限がありました。 そんな中で知恵を絞って出来上がった間取りです。
リビングとダイニングがひと続きにつながっていて、ロールスクリーンを使えば、簡単にスタイルチェンジできる柔軟な空間となりました。
窓からの眺めも良く、春には満開の桜、夏には青々とした木々、秋には紅葉が見えます。
リビングから続く洋室は、U様が寝室として使われるお部屋です。 お休みになる時以外は、2面にある引き戸を開ければ、リビングと一体の空間に。 広々と使えて開放感も抜群です。
Before
また、こちらのお部屋には、壁一面の大きなクローゼットを設けました。
年齢を重ねたらベッドを置く予定ですが、クローゼットは3枚扉になっているので、開け閉めの時にベッドが邪魔になりません。 軽く開け閉めできて、物を出し入れしやすくなっています。
東側にあるもう一つの洋室は、お子様のプライベートルームです。 2面に窓があり、とても日当たりの良いお部屋になっています。
Before
天井には室内物干し「ホスクリーン」を取り付けました。
輪の付いた棒を天井の器具に取り付け、輪にハンガーを引っかけたり、物干し竿を通したりして、室内で洗濯物を干すことができます。
ホスクリーンを実際に使用しているところです。(品川区・T様邸)
リフォーム前は1階にあったキッチンスペースが、2階に移動しました。 和室だったお部屋が、U様のこだわりがたっぷり詰まったキッチンスペースに大変身です!
新しいキッチンは、タカラスタンダードのホーローキッチン「エーデル」。 ホーローキッチンはお手入れが簡単で、ずっときれいに使えるので、私たちもいつもおすすめしています。
身長の高いU様に合わせて、カウンタートップは少し高めの90cmに。 吊り戸棚は高さ70cmのものが一般的ですが、ダイニングとの間の開口部が狭くならないよう、高さ50cmの吊り戸棚を選びました。 戸棚の容量は少なくなりますが、対面キッチンのつながり感はアップです。
また、ガスの場合はコンロの前に壁が必要ですが、IHではなくても大丈夫です。 今回、U様はIHを選ばれたのですが、「お料理をするとやっぱり油がはねるから」ということで、壁を設けることになりました。 壁面にはホーローパネルを張ったので、こちらもお手入れ簡単です。
キッチンの奥の壁に、コンセントが付いています。 ミキサーやフードプロセッサーなど、調理中に使いたい小型の電化製品にぴったりの位置で、ちょっと便利ですよね。 こんなちょっとした便利をたくさん実現できるように、コンセントの位置などもU様とご相談しながら決めています。
キッチン横の収納は、上半分だけに棚が付いています。 下半分は、ゴミ箱を設置するスペースとして空けてあるのです。 ゴミ箱を置くにはけっこうスペースが要るので、あらかじめ用意しておきました。 ダイニングからは見えない位置なのもポイントです。
インテリアコーディネーター
薄井 歩
キッチンをリフォームする時は、実際にショールームで見てみることをおすすめします。 今回のリフォームでも、U様はショールームで実際にキッチンに立たれてから、仕様をお決めになっていました。
高さや幅などのサイズ感は、カタログを見ているだけではなかなか実感しにくいものです。 ショールームに行けば、展示してあるキッチンを参考にして、「高さはこのくらい、奥行きはこのくらいがいいかな...」と、一箇所ずつ確認することができます。
U様もショールームへ行ったからこそ、お好みにぴったりのキッチンに仕上げることができました。 私たちコーディネーターも、ショールームでのお打ち合わせをとても大切に思っています。
水まわり設備も1階から2階へと移動しました。 どのお部屋からも動線の良い位置に、コンパクトにまとめています。
お風呂は1416サイズのユニットバスです。 残念ながら1坪サイズは入らなかったので、それより一回り小さいサイズにしました。 小柄な方なら足が伸ばせるくらいの大きさです。
洗面室には、タカラスタンダードのホーロー製の洗面台を採用。 U様は淡いピンク色を選ばれました。 洗濯機置場の上には収納棚を造り付け、バスタオルなどをしまうのに便利です。
洗濯機置場の脇にはニッチ(飾り棚)を造りました。 ニッチとは言え、奥行きのあるものなので、洗剤などを置いて実用的にお使いだそうです。
トイレ空間は広々。吊り戸棚やニッチ(飾り棚)付きのおしゃれな空間です。 吊り戸棚は換気扇の位置の関係で、やや下の方に取り付けましたが、U様は「却って使いやすくて良かった」とおっしゃっていました。 あまり高い位置にあると、手が届きにくいですものね。
U様はトイレに窓をご希望でしたら、耐震性を考慮して、耐力壁にさせていただきました。 お客様のご希望であっても、家の安全性が低下するような改修はお断りすることがあります。
ついにU様邸のリフォームが完成となりました!
U様、ありがとうございました。
U様より
念願の耐震リフォームの夢が叶い、去年を思えば、今年は夢のようです。
先週末、友人が泊まりに来て、久しぶりに明け方までお喋りして楽しい時間を過ごしました。 無垢の床をみんなが気に入り、「もっと早く知っていれば無垢にしたのに」とぼやいていました。 そして「何年も耐震を悩んでいたから、最後に福をもらったね」と労ってもらいました。
断熱材のお陰だと思いますが、夏場、エアコン設定が31度でも冷えすぎるくらいです。 友人の一人は、「うちでは26度にしても、こんなに快適ではないよ」と言っていました。
快適な空間で友人たちと過ごす時間は、私の活力になっています。本当にありがとうございました。
インテリアコーディネーター
薄井 歩
設計中や工事中は、U様にご要望を伺ったり、確認をお願いしたりと、たびたびご相談させていただきました。 U様は「建築の専門的なことは、プロにお任せします」と仰ってくださって、私たちをご信頼くださっていることに、身の引き締まる思いでした。
お引越しやお打ち合わせなど慣れないことも多く、長期にわたるリフォームで、U様のご負担も大きかっただろうと思います。 そんな中、U様からはいつも暖かいお気遣いをいただき、ありがとうございました。
U様がこれからも安心して快適に暮らしてくださることが、私たちにとって何よりの喜びです。 「住まいのことは、エコリフォームに相談してみよう」と言っていただけるよう、このご縁を大切にさせていただきます。 これからもどうぞよろしくお願いいたします。
リフォームアドバイザー
塩谷 理枝
U様は、今の生活と、近い将来の生活、もう少し先の生活までを、きちっと見据えていらっしゃいました。 U様がこれからも長く快適にお暮らしいただけるように、スタッフ一同、全力を注いだお住まいの完成です!
U様邸は長屋(テラスハウス)を改築されていて、賃貸部分もあり、通常のお宅とは異なる点があったため、設計には特に時間をかけました。 耐震にも力を入れ、U様のご要望に沿うようにと、U様と二人三脚で練り上げたリフォーム計画です。
私どもをご信頼いただき、ご家族の思い出が詰まった大切なお住まいをお任せくださったU様に、心から感謝いたします。 誠にありがとうございました。
U様より