TOP > リフォーム事例 > スケルトンリフォーム > 築90年の長屋。設計の妙が光る7坪リフォーム
■築年数 | 90年 |
---|---|
■住宅仕様 | 3階建て木造住宅(3階部分は後年の増築) |
■広さ | 1階(7坪)+2階(7坪)+3階(5坪) (合計19坪・約63平米) |
■リフォーム内容 |
|
■地域 | 東京都台東区 |
I様邸は、大正2年築、お隣と壁を共有する「長屋建築」です。
こちらの建物が建築された当時は、4棟続きの長屋であったそうで、I様邸は現在もその名残で、向かって左隣のお家と壁を接しています。
関東大震災や戦争も潜り抜けてきたこの建物を、 戦後、I様のお父様が借地権でご購入され、移り住まれました。
当時は二階建てだったそうですが、35年ほど前に、2階の上に3階を増築され、現在では、1階~3階合わせて、19坪(約63平米)の総面積です。
今までに何度もメンテナンスやリフォームをされて暮らされていたので、さすがに建築当時の姿のままではありませんでした。
しかし、やはりそろそろ限界、そして、90年という築年数を考えると、内部の構造も非常に心配されていました。
しかし、都心で道幅の狭い箇所に建っている長屋の為、建て替えはままならない・・・・ということで、長屋の工事の経験がある業者をお探しになり、私どもへご相談くださいました。ありがとうございます。
■ 長屋でもできる限りの耐震補強を行いたい
最初にお会いした時にI様がおっしゃっていたことは「長屋なので、耐震補強には限界があるのはわかっているが、出来る限り構造を点検し 耐震工事を行いたい」、ということでした。
実際に、2011年の地震の際には、屋内の壁に大きなヒビが入ってしまった(←左写真)とのことで、大変心配されていました。
■ 冬はしんしんと寒い、夏は暑いのが悩み
「冬は1階がものすごく寒く、夏は上階がとても暑い」というI様。
特に昔の家は、断熱ができるものが全く入っていませんので、そのような悩みを抱える方が多いのです。
■ 家具の無いシンプルな暮らしをしたい
こちらI様邸は、もともと大正時代の頃の長屋住宅なので、造り付けの収納というものがほとんどありませんでした。
しかし、21世紀になった現代では、90年前よりも、電化製品、洋服、本やCDといった小物、等々、個人が沢山の物を持つようになりました。
そうなると、収納が無いお宅だとどうしてもごちゃごちゃしてきてしまいます。
I様も、市販の棚などお使いでしたが、空間を有効活用するには役不足で、沢山のお持ちのものがなかなか片付かずお困りでした。
そこで、新しいお住まいでは、市販の家具を置かずともスッキリとシンプルに暮らせるように、収納を増やしたい、とお考えでした。
■ 限られたスペース内にギュウギュウだった水周り
水周りは、何度か改修を行ってらっしゃったそうですが、限られたスペース内に各設備がギュウギュウに収められていました。
キッチンは、ガスコンロが角の部分に配置されており、とても使い難く、 I様はお母様がご高齢ということもあり、ちょっと心配です。
また、洗濯機置き場はキッチン後ろに設置されていて、せっかくお勝手口があるのに、それを塞ぐような形になってしまっていました。
お風呂はトイレ、洗面と同じスペース内にありました。このスペースはもともとトイレと手洗いのみだったと思われます。そこへお風呂を設置する為に、3つの設備を一緒にしたスペースとなったようです。
もう長年お使いで、慣れてはいらっしゃいましたが、やはり使いづらく、特にキッチンはご高齢のお母様の為にも小さくても使いやすいものを、とご希望です。
■ 愛犬のためのスペースを確保したい
I様は、こちらのお写真の可愛らしい柴犬「ポンちゃん」とお暮らしです。
ご高齢の親御さんがいらっしゃるため、人とワンちゃんのスペースをきちんと分けたいとお考えでしたが、I様邸は都心のお家の為、玄関を出るとすぐに公道であり、郊外のお家のように、外に犬舎を置くことができません。
屋内で、上手くワンちゃんのためのスペースができれば、I様もポンちゃんも安心です。
I様邸は、お隣とくっついているという長屋であることで、自由にできないところもあり、そこを考慮しながらの計画となりました。
まず、長屋ならではの大きな制限としては、左右に窓が設けられないという事が上げられます。
そのため、明り取りや風通しをするのは、建物の前と後ろの開口部からのみとなります。
また、お隣と共有している梁があります。こちらは当然、位置を変更する事はできませんので、そこを踏まえた計画が必要です。
面積は、1階7坪、2階7坪、3階5坪というという限られたスペースなので、各所にゆったりとした余裕を持たせる事が出来ません。
間取り・収納の配置は、よくよく考えてサイズを決定する必要があります。スペースが足りないと、エアコンや必要な家具が設置できなくなってしまうからです。
【アドバイザーのこぼれ話】
1階&2階の間取りは、初期案ではご高齢のお母様の寝室を1階とする案もありましたが...
まず最初にI様にお話を伺った後、2つの計画をお持ちしました。 1つは上の決定稿に近いもの、そしてもう一つは、ご高齢のお母様が将来的に1階を寝室にできるような間取りのものでした。
2つの案をI様とお母様でご検討され、長年慣れてきた今までと暮らしのスタイルを変えたくないので2階寝室が良い、とのことで、寝室は今まで通り2階で決まりました。(それでも、階段の傾斜が随分ゆるやかになりますので、上り下りはラクになります。)
また、この叩き台を提出したことで、I様ご自身もイメージが広がり、より具体的なご希望を出してくださいました。
このように、プランの決定に至るまではいくつかのステップを踏んでいきます。そうやって、本当にそのお客様が望むお住まいが出来上がるのだと考えています。
I様のもっとも大きなご希望は、「耐震的な安心」でした。
長屋の耐震は、不可能ではありません。お隣と繋がっている、屋根を共有している、等々の制約があり、同時に補強を行わなくてはならないのではないかと思われる方も多いのですが、その中で、できる範囲の補強を行うことで強度は上がります。
長屋の場合、縦方向には開口部が無いので、ある意味強度が出しやすい、という利点もあるのです。
その縦方向(窓が設けられない左右の壁)には、構造用合板を張り、全面を耐力壁に。横方向にも、バランスよく壁や柱を配置し、そう簡単に崩れない建物にいたします。
90年前の建物なので、現代の家のような基礎ではなく、沓石という石が置かれ、土台や柱が地面に触れないようになっていると思われます。今回のリフォームで、現代の住宅と同じような強固な基礎にします。
壁に遮熱材を入れる事で、冷たい空気の侵入を防ぎ、暖かい空気を逃がさないので、冬暖かく、夏は涼しく過ごす事ができます。
1階の床下に断熱材を入れる事で、特に冬場、床下の土間から上がってくる冷気が和らぎ、過ごし易くなります。
屋根裏にも断熱材を入れる事で、お部屋が断熱材で包まれた状態になり、更に断熱効果が高まります。
■ 天井の断熱にするのは...「パーフェクトバリア」
ペットボトルの再生で作られたエコで性能の高い断熱材。経年しても、「へたって」下に落ちてきたりすることがなく、長く性能を保ってくれます。
■ 壁の断熱にするのは...「ラミパック」
こちらは遮熱材なのですが、壁に使用します。両隣に隙間が無い長屋では、通常の断熱材であるパーフェクトバリアを入れる隙間を設けるのが難しい為、こちら、薄くても高い性能を発揮する遮音材、ラミパックを使用します。
■ 屋根には...
「バウビオ」&「イーストルーフ通気メタル」
強力な遮熱効果のあるこの「バウビオ」を屋根の下地の下に施工します。
屋根の下地の上には「イーストルーフ通気メタル」を使用します。こちらはその名のとおり「通気」の性能を持つもので、この上に屋根材を施工することで、真夏、屋根に熱が篭るのを防ぎます。
使用する素材は、快適に暮らしいただくために自然のものを厳選して提案しました。
まず、床。1階の床は、お母様が最も長く過ごされるフロアであり、キッチンやお風呂といった水周り設備がある為、ソフトで直接座って気持ちが良い上に、水濡れに強い自然素材であるコルクタイルをおすすめします。
寝室である2階は、心が癒される天然の木目が印象的な、杉(国産の越後杉)の無垢フローリングです。
杉は、とても柔らかい木であることが特徴で、直接座っても硬さを感じません。反面傷がつきやすいという点がありますが、それも味わいと感じていただける方でしたら、とってもオススメの素材です。
壁紙も、自然の素材のものです。木のチップが漉き込まれた「オガファーザー」が、無垢のフローリングのような調湿性を発揮し、夏の湿気が多い時期は、ジメジメした空気を吸収し、冬の乾燥する時期は湿気を放出してくれるという作用があります。
特に寝室になる2階は、床は無垢、壁はオガファーザーで、どちらも湿度調整に優れた素材なので、快適睡眠を実現してくれます!
■ 木材利用エコポイントも利用します
I様邸は、無垢フローリングで使用する「越後杉」が、林野庁が行っている(2014年3月現在、まだ継続中です)、「木材利用エコポイント」の対象です。
木材利用エコポイントとは、もらったポイントを、地域の特産品や、木で造られた家具に交換できるもので、I様もこのポイントを利用されることになりました。
■ 仮住まいのご手配・お引越し
プランが固まり、正式なご契約をいただきました。ありがとうございます。
ここからお客様も忙しくなってきます!
まずは、仮住まいのご手配をいただかなくてはなりません。I様邸は全体のリフォームになりますので、住みながらの工事ができないのです。
弊社の方でも江東区内に仮住まいのご用意があるのですが、I様は慣れ親しんだ場所でも仮住まいをご希望され、ご自宅の近くに短期の賃貸を手配され、お引越しをなさいました。三ヶ月ほどの仮住まいとなります。
■ 運びきれないお荷物は、弊社の方でお預かりさせていただきます!
2~3ヶ月ほどの仮住まいになりますので、家の中にある全ての荷物を行ったり来たりさせるのは大変なご負担になってしまいます。
そこで、お客様でご希望であれば、私どもの倉庫の方で、一旦お預かりをさせていただいております。
I様邸も、半分ほどの荷物を弊社の方でお預かりさせていただきました。
■ ショールームの見学など
プランで、サイズなどはある程度は決まっていますが、仕様の最終決定をするためにショールームなどにお越しいただくのもこのタイミングです。
忙しくお仕事をされながらの大型リフォームは、お客様の負担も大きくなります。
私どもでも、出来るだけお客様の負担が軽減するようにサポートいたします。
大掛かりなリフォームはお客様との打ち合わせは必須。
とはいえ、I様もお仕事でご多忙です。その中で確実に打ち合わせをさせていただけるよう、早い段階で今後の予定表を作成し、お渡しいたします。
また、リフォームの進行状況や、お打ち合わせのまとめなどをお知らせするための「パスワード制」のブログも作成。
I様が現場を見にいらっしゃることが出来ない時でも状況がわかるようにいたします。
このページでは、I様邸のリフォーム工事の様子をお伝えいたします。
90年前のお住まいを、現代の家のレベルまで上げるまでの過程や、長屋だからこそ必要だったことなど、織り交ぜながら紹介します。
I様邸と似たようなご事情を抱えたお住まいの方のご参考になれば幸いです。
着工前の様子です。解体が始まってしまう前に、思い出のあるお住まいの姿をしっかりと写真に納めました。
いよいよリフォーム着工です。壁や天井、床がどんどん剥がされてゆきます。
90年前の建物ということで、現代のような基礎はありません。こちら、これからの工事で新しく打設することとなります。
立派な梁が現れました。こちらは建築当時からのものだと思われます。年月を経て、深い色合いに変わってきていますが、立派で、まだまだ使えるものです。これは、再利用することになります。
この部分の梁はお隣と共有しているものです。このような箇所があるのも、長屋ならではですね。 こちらも抜く訳にはいきませんので、そのまま使用します。
こちら三階。増築したので、もともとあった屋根の名残が残っていました。
解体してわかる問題点もあります。例えばこちらの柱は、梁や桁と繋がっておらず、これでは柱の役割を果たしていませんでした。
また、こちら玄関周りはシロアリの被害が見られました。このようなダメージを受けた箇所は、交換することとなります。
こちら外。I様邸は住宅が密集している地域にあり、ご近隣にご迷惑がかかる為、足場にホコリ対策の為のシートを使用しました。
昔の家の足元は、今のような基礎ではなく、沓石と呼ばれるものの上に柱を乗せていました。I様邸では長い年月の間に土がかなり入り込んでしまっていたようで、沓石が埋まってきてしまっていました。この状態から、現代の家のレベルの基礎を施工し、足元の強度を上げます。
まずは基礎を打設するため、防湿シートを敷き、その上に鉄筋を配します。
近年の住宅に見られるコンクリートの基礎の中には、このような鉄筋が骨のように入っており、そう簡単に割れたりはしないようになっているのです。 鉄筋の太さや配する際の間隔は、建築基準法でちゃんと決まっており、その通りに施工しています。
コンクリートを流し込みます。素早く丁寧に、平らにならしてゆきます。
夏の現場でしたので1日ほどで乾いてしまいました。
土台です。黒い材は、もともとのものを活かした箇所、白い部分は新しくした箇所です。しっかりと柱と繋がり、家の足元を支えます。
基礎工事をしながらも、補強も進められます。
こちら、構造と構造の結合部に、今までは無かった金物が取り付けられています。
昔の建物では無かった「耐震金物」です。
こちら、構造と構造の結合部が地震の衝撃などで抜けてしまうことを防ぐものです。
こちらは、柱と土台を固定する金物。
度重なる地震を経て、こういった、有効な補強金具がどんどん開発されてきており、木材の傷みが無い状態であれば、既存のものに設置することで強度が上がります。
こちら「羽子板ボルト」という金物で、「レンコン」のような形になっている金物と結合して取り付けられています。
羽子板ボルトとは、桁と梁を結合する為のもので、そこにレンコン金物を結合することで、外壁に穴をあけることなく取り付ける事ができる、というものです。
長屋のような、外壁工事ができない建物でよく使用されるものです。
こちらは、建物の隅角部にかかる力に対抗するための「火打ち金物」です。床と天井の隅に取り付けられました。
こちらは新しく入れた筋交いです。
筋交いは地震の際の水平力に抵抗し、建物の倒壊や変形を防いでくれる重要な部材です。筋交いと柱が離れてしまうことを防ぐために、耐震補強金物も取り付けています。
こちらは既存の柱に、新規の柱を噛ませて補強を行った箇所です。
可能な箇所は柱の交換を行ったのですが、こちらは、むやみに撤去すると、一気にバランスが崩れる恐れのある柱なので、抜くことができません。
こういった柱で補強が必要な場合は、このように新しい柱を噛ませる場合があります。
こちらは1階天井の今までは梁が無かった箇所なのですが、2階にトイレと洗濯機置き場を新設することになった為、支えになる梁が必要になり、新しく梁が追加されています。
水周り設備は、結構な重さがあります。この太い梁がしっかりと支えます。
屋内、かなりしっかりしてきました!補強の様子は、I様にもしっかりとご確認いただきました。
断熱材施工前の様子です。今までは断熱材が全く入っていなかった為、I様は「冬はしんしんと寒いんです」とおっしゃっていました。
今回のリフォームで、床、壁、天井に断熱施工をします。断熱をすることで、家の中が外気の影響を受けにくくなりますので、空調が非常に効きやすくなり、過ごしやすい家になるのです。
冬の寒さ、そして夏の暑さも軽減です。
こちらの、綿布団のような断熱材は「パーフェクトバリア」。ペットボトルを再生して造られたフワフワの断熱材で、湿気を含みにくい為、年月が経っても長持ちする優秀素材です。こちらを天井と壁に使用します。
>>パーフェクトバリアについて
こちら、銀色のシートは、ラミパックという遮熱材です。
I様邸は長屋で、お隣と共有した壁面に張るのは、パーフェクトバリアのような綿のような断熱材は厚みがありすぎるので、こちらを断熱材の代用として使用することとしました。
これでも、外気の影響を受けない効果をもたせることが出来ますよ。
>>ラミパックについて
パーフェクトバリアとラミパックで、まさに「包み込まれた」ようになった屋内。今後は、1年を通して過ごしやすくなりますよ。
昔ながらの木造の家にお住まいの方は、1階で床下から上がってくる冷気にお悩みの方が非常に多くいらっしゃいますが、その冷気をシャットアウトしてくれる、床専用の断熱材を施工しました。
東側はお隣と壁を隔てて繋がり、西側は壁は共有していないものの、ほとんど隙間無く建っているため、やはり、毎日の生活音が聞こえてしまいやすく、気になってしまうところです。
そこで、使用したのがこちらの遮音シート。こちら、上で紹介しました遮音材の上に施工します。
これ一枚で、普段の生活音をかなりシャットアウトしてくれます。
こちらは、水道管に巻きつける形で施工した遮音材です。
水を流す音が聞こえにくくなり、夜遅い時間も気を遣わなくてすみます。
上項でご紹介した、遮音材の上から、大工さんが何やら厚い板を施工しています。こちらの板は「構造用合板」です。
構造用合板は、基準法で定められた厚さと強度を持つ合板で、これを張ることで耐力壁の強度を持たせることが出来ます。 長屋の場合、左右に窓が無いので、この「構造用合板」を左右の面いっぱいに張ることが可能で、かなりの強さを持たせることが出来ます。こちらは、長屋ならではの利点と言えるかもしれません。
建築基準法で決められた強度を満たしたことを表すJASマークです。
>>構造用合板について
以前一度新しくしたというトタン屋根ですが、傷みが目立っていましたので、この機会に葺き替えです。
写真は既存の屋根を撤去しているところです。
下地に使われていた黒色の断熱・遮音シートは、まだ使用できるものなので、そのまま活かし、その上から断熱性能を高めるため断熱材「バウビオ」を施工しました。
バウビオの上には野地板と呼ばれる下地材を貼っていきます。
そして通気が出来る防水シート「イーストルーフ通気メタル」を施工しました。
このイーストルーフ通気メタルは、通気を確保することで、野地面のカビの発生を抑え腐れにくくしてくれます。
このことは屋根の長寿命化にもつながります。
また、通気することで熱がこもりにくくなるので、小屋裏の温度を低減できます。
軒先には、「イーストルーフ通気メタル」とセットになっている給気のための部材をはめています。
仕上げはガルバリウム鋼板の屋根としました。メタリックなものがお好きなI様のお好みです。ガルバリウムは金属なので、断熱と防音をしっかりやっておかないと後が大変な素材ですが、バウビオ、イーストルーフ通気メタルと強力に断熱していますので、安心です。
こちらは、2階屋根です。I様邸は35年ほど前に3階に小さなお部屋を増築されていますので、2階と3階にそれぞれ屋根があるのです。
こちらも3階屋根と同じように、遮熱の処理を行いますが、3階と違うのは、天窓を設ける点です。
天窓設置は、ご覧のように屋根に穴を開ける工事になりますので、屋根の葺き替えなど、全体に手を入れ工事をする際に併せてやってしまうのがおすすめです。
構造の工事と平行して、電気の配線や、水道設備の工事も進みます。
大工さん、電気屋さん、水道屋さん、ガス屋さん、など様々な職人さんが出入りし、
皆で協力しながら1つの建物を造り上げてゆきます。
I様邸は、スペースに限りがあるお住まいのため、お風呂の形状が変則的なものになります。そのため、既製品のユニットバスが入らず、現場で大工さんが造る在来工法のお風呂にすることになりました。
こちら、水道屋さんが給排水管を整えているところです。
こちらは浴槽になります。タカラスタンダードさんのホーロー浴槽を選ばれました。タカラさんのキッチンではおなじみのホーロー。お風呂に使っても、非常に高い保温力を発揮してくれる優秀素材です。
在来工法ですので、追い炊きのための穴を大工さんが空けているところです。
浴槽の周りの黄色いボコボコしたものは、浴槽の断熱材です。
お風呂周りで一番怖いのは水漏れです。防湿シートを隙間無く張ります。
そしてこちら、「デラクリート」と呼ばれるセメント板を貼ります。
デラクリートは防火性、耐水性、耐久性に優れた下地材で、これがタイルの下地となります。
更にタイルも張られました。大判のおしゃれなタイルですね。さきほどの浴槽も設置されています。
床も、今風の大判タイルが貼られ、完成間近!
基礎工事や耐震補強や断熱、新しい間取り組みといった、ベースになる工事が終わると、内部の造作がどんどん出来上がってゆきます。
こちらは無垢のフローリングが張られたところ。
無垢は季節によって収縮する素材なので、収縮しても大丈夫なように、ほんの少しだけ隙間を作る為に、紙を挟みながら貼っているんです。
もちろん階段も架け替え。ゆるやかな勾配の、安全性の高い階段になりました。
収納造作の様子です。I様のご希望のひとつが、家具をあまり置かない住まいにしたいというものでした。各所に、仕舞うものをしっかり計画した収納を造作し、今後は市販の家具を購入しなくても良くなります。
大工さんが造作する傍らでは、キッチンの設置も進んでいます。
クロス(オガファーザー)の下地ボードが張られました。ボードとボードの張り合わせ部分にに少しだけ凹凸が出来てしまうのですが、そのまま上にクロスを張ると凹凸がわかってしまい、綺麗ではありません。そのため、写真のようにパテを使い、凹凸を埋める作業を行います。
クロスが貼られました。
I様邸は、下半分と裏の壁面をモルタル仕上げにする予定です。
モルタルは、まず下地、そして仕上げという2工程が必要です。
そして下地は必ず「二度塗り」を行います。仕上げをしてしまうと見えなくなる下地ですが、そこを丁寧に行うか行わないかで、最終的な美しさが違ってくるんです。左写真(←)が下地が終わったところです。
そして最終的に、右写真(→)のような美しい仕上がりになりました。
「セラスキン」と呼ばれる、陶器の骨材が入った吹き付け材です。
お家の顔になる外装。
I様はリフォームの計画中、ワンちゃんの散歩がてらに様々なお宅の外壁をご覧になっていて、外観のイメージを膨らませていらっしゃいました。
そしてお聞かせいただいたご希望をもとに、こんなスタイリッシュな外装が実現!
1階の壁面は、強度と美しさを併せ持つ外装材「ジョリパッド」で、吹きつけのようなパターンをつけた白い壁。
そして上半分は、I様がお選びになった「ガルステージZERO-J」というスタイリッシュなメタル系のサイディングでアクセントを付けました。
玄関枠や雨どいやポストも、メタリックなもので合わせ、とってもモダンな印象に仕上がりました!
二階の大きな窓も、ノーマルな窓よりもおしゃれに・・・と、デザイン性を重視して採用したものです。
すぐ表が公共の道路ということもあり、二階の窓、玄関の明かり取りの窓の双方とも 型ガラスのものを採用しています。
このガラス、光を乱反射させる効果があり、通常の窓よりも、内部を明るく照らしてくれるという利点もあります。
最も長く過ごされる1階は、限られたスペースの中に工夫がいっぱいです!
必要なものが必要な箇所に収まり、左右窓が無いながらも、風と光が良く通る爽やかな空間!
I様邸は、都心のお住まいのため、7坪という限られたスペースではありますが、その中で全てのものがバランスよく収まり、とても使いやすい空間になりました。
長屋のため左右に窓が設けられず、また、壁を隔ててくっつているお隣さんと梁を共有していたため、その梁の位置も変えられないという制限がある中で、非常にバランスよく収まったと言えます。
おしゃれな玄関引き戸を開けると、ゆったりとした広さの玄関。
リフォーム前に比べると、スペース自体の広さもは2倍、収納力も大幅にアップしました!
限られたスペースの中であえて玄関スペースを拡張した理由は、ワンちゃんのスペースを設ける為です。
I様は「ポンちゃん」というお名前の豆柴ちゃんとお暮らしですが、都心では、郊外の家のようにお庭に犬小屋を設けることができません。
以前は、1階のお部屋の隅にワンちゃんのスペースを設けていましたが少し手狭で、ポンちゃんの為のペット用品の置き場所も確保しづらかったそうです。
今回、こちらにスペースを設けることで、少し広くなりますし、上に収納を設けて、ポンちゃんのお散歩用具や玄関周りのこまごましたものを仕舞い、スッキリと使う事ができるようになりました。
リビングとの間の壁には、室内窓が設置され、I様とポンちゃんがいつでもお互いの様子を確認できるようになっています。
玄関とリビングを仕切る引き戸には、半透明建具を採用しました。
半透明建具だと、空間に繋がりを感じることが出来ます。
そして何よりも、長屋であるために左右には窓を設けられない環境の中で、玄関の明るさを内部のリビングでも共有できるのが大きな利点です。
I様邸では、天井まである背の高いものを特注で設置しました。
大きなものにすることで、採光の効果、空間の広がり感がよりアップしますよ。
耐震補強のため、玄関側の窓を一部塞ぎました。
それでも明るさと通風はキープしているのがポイント!
長屋は左右に窓が設けられないので、もともと採光できていた箇所はできるだけ塞ぎたくなかったのですが、実を言うと、リフォーム前にあった窓の一部を、減らさざるを得ませんでした。
これは建物自体の耐震性を上げるためのことでした。
建物の前面が全部、開口部(窓や出入り口)である場合、光は沢山入ってきますが、地震のような力が建物にかかった際、支えきれなくなる恐れがあるからです。
そこで、半分は、耐力壁を新たに立てて、開口部を塞ぐことになったのですが、その中でも明るさや、風の通りが遮られることが無いように、考えられているのがI様邸の大きなポイントの一つなんです。
窓は少なくなったけれど、引き戸玄関のスライド部分に半透明ガラス(もちろん防犯仕様です)になったタイプのものを採用したり、細い窓を設置したりと、限られた中で、最大限採光できるようにしています。
そして、この明るさを、窓の無いリビングでも共有するために、玄関とリビングを仕切る引き戸は、半透明建具を採用しました。全体的に新しく白くなった壁も、白は光が反射しやすいためより明るさを感じさせてくれます。
実際に暮らされてからのご感想ですが、昼間は玄関の明かりだけで居間まで明るく、 お母様は昼間は照明をつけないでお過ごしだそうです。
外壁に面した細長い窓~玄関とリビングをの間の壁に設置した室内窓~キッチン側のお勝手口と、ご覧の図のように、風が屋内をサラリと抜けてゆくようになってます。
都心の家ということで、窓を開けるとセキュリティが気になるところですが、こちら、表面の細長い窓は突き出し窓になっており、開けていても外からの進入ができないようになっています。
そして裏のお勝手口も、施錠しながらも網戸に出来るタイプのものなので、安心です。
リフォーム前は6畳の和室だったこちらのリビング。
奥の水周りスペースを少し広げた為、こちらの方はリフォーム前より少しスペースが縮小されましたが、玄関に設置された収納、そして、階段下の収納が大きく拡張されたので、以前よりも物を置かずに生活できるようになっています。
ただ縮小するのではなく、置かれる予定のダイニングテーブルや家電が置けるスペースは確保されており、また、コルクの床がキッチンスペース側に繋がっているので、空間の境目が無く、視覚的に広さを感じるようになっています。
キッチン収納を、リビング側から程よく目隠ししてくれる、こちら、風情のある木の格子。
右側の太い柱は、構造的に抜いてはいけないものなので、それを上手く利用して造作しました。
キッチン周りはいろいろなものを置きがちな箇所ですが、この格子があるとリビング側からの目が気にならないだけではなく、空間の繋がり感を保ってくれます。
階段の下になる収納スペースを大きく拡張しました!
奥行きがかなり広くなったので、奥まった箇所まで見えやすいように、照明も設置しております。
こちらのリビングでは、空間をやわらかく照らす間接照明と、それを補助してくれるスポット照明、この二種類の照明が使われており、メインの大きな照明器具があえて設置されていません。
このようなスタイルを取り入れた理由としては
★ご高齢のお母様にとってはより明るい照明が暮らしやすいけれど、I様は少し落ち着いた明かりを好まれる
★家にいらっしゃる時間が長いのお母様と、お仕事をされているI様では、生活時間帯が違う。I様の方が夜が遅いので、夜中にあまり煌々とした部屋だと目が覚める・・・・
ということがありました。
明るい空間にしたいときは、間接照明+補助のスポットを使い、ゆったりと落ち着いた明かりを楽しみたい時は間接照明のみにすると、空間の雰囲気が変わります。
リフォーム前は写真のキッチンが設置されていました。
35年ほど前に改築された際からお使いのものだったそうです。
ただ、ガス管の位置の関係があったのかと思われますが、ガスコンロが角に位置しており、お母様は使いづらさを感じていらっしゃったそうです。
新しいキッチンスペースは、毎日の使い勝手を考え、収納も備えたとても使いやすいスペースとなりました♪
メーカーは、タカラスタンダード製。タカラさんと言えばホーローキッチンですね。
鍋や食器にもよく使われるホーローは、とても丈夫で、お掃除もラクラクな素材としてお馴染みですね。これからは毎日のキッチン周りのお掃除がとてもラクになりますよ。
>>ホーローキッチンについて詳しくはこちら
また、安全性を考えて、火を使わないIHクッキングヒーターのタイプにしました。
スペースの都合上、サイズは最小サイズである1800にせざるを得ませんでした。
でも、キッチン自体のオプションであるこの「アイラック」収納が助けてくれます。
こちらに洗った食器を仮置きしたり、調味料を入れておけば、キッチンの作業台の上に物を置く必要が無く、限られたスペースでもすっきり使えるという訳なんです。
キッチン周りは物が多くなりがちです。
食器や調理器具はもちろん、家電、食材の買い置き、ゴミ箱、などなど・・・・
キッチン自体の収納だけではとてもまかなえませんが、新しくなったI様邸ではキッチンの斜め後ろになる箇所に、天井まで使える収納を造りつけました。
キッチンスペースから直結するお勝手口。
リフォーム前もお勝手口自体は同じ位置にありましたが、その手前に洗濯機を置いておられたので、お勝手口としての機能があまり発揮できていませんでした。
でも今回、洗濯機置き場を2階に移動したので、便利に使えるようになりましたよ。
新しくなったお勝手口は、写真のように、扉を閉めて施錠したままでも、窓を上げ下げすることで空気の入れ替えが出来るようになっているのがポイント!
お勝手口の出入り口には、床下収納も用意しました。こちら、水周り配管の点検穴も兼ねております。
リフォーム前は、お風呂+洗面+トイレが1つになったスペースになっていました。
90年前の建築当初には当然、お風呂は無く、おそらく、もともとはトイレだったのでしょう。
そこへ、後からお風呂を足して、トイレもそれに合わせた形にリフォームしたのだと思われます。
せっかくのスケルトンリフォームですから、ここは勿論それぞれを独立させて、ゆったりと使えるようにするのが、今回の大きな目的の一つでした。
● 規格外の形のため、在来工法のお風呂に。
図面で見るとわかりやすいのですが、I様邸のお風呂はかなりイレギュラーな形状となっています。
狭小住宅の場合、限られたスペース内でお風呂を上手く配置しなければならないので、イレギュラーな形状になることは、多々あります。
そうなりますと、最近の主流である「ユニットバス」を入れる事はできず、在来のお風呂を造作することになります。
ユニットバスは、工場で造られた部品を組み立てるものなので、施工が簡略で水漏れしやすいという利点がありますが、その反面、サイズの規格が決まってしまっているので、ちょっと変わった形状になると、上手く組み込めないのです。
そこで、I様邸では、各職人さんが現場で造作する在来工法のお風呂となりました。
せっかく、既製品ではない「在来工法のお風呂」なのですから、オリジナリティのあるお風呂にすることになりました!
まず目に入るのは、アクセントとして天井に張ったヒノキです。
このヒノキは水に大変強く、浴槽にも使われる素材なので、きちんと換気をしておけば腐ることはありません。
ふと目を上げると木の年輪が見えるお風呂、何だか心がホッとして癒されますよね。
ユニットに比べると寒いと言われる在来のお風呂ですが、周りをしっかりと断熱材で覆っていますので、一昔前の在来のお風呂よりはずっと暖かくなっています。
何よりも浴槽にホーローを使っているので、これは暖かいですよ!
ホーローは熱を逃がしにくい素材で、最もよく普及している樹脂の浴槽に比べると、お湯が冷めづらく、とっても暖かいんです。
大判のタイルも、空間がオシャレに見えます!
お風呂の横には必ず欲しい脱衣場を、I様邸ではアイディアスペースとして設けています。
こちらのロールスクリーン、普段は上に上げておいて、お勝手口への通路として使用しますが、お風呂に入る時だけは下ろして、脱衣場にすることができるのです。
お勝手口への通り道に干渉しない為に、少し凹ませて設置した洗面台です。
通常の洗面台より小さめになりますので、既製品では無くオリジナルで造作しました。
洗面台もこまごましたものを置いてしまいがちですが、
こちら、下は収納棚に、サイドにもちょっとした物が置けるガラスの棚、鏡は開閉して内部が収納になっているものを選んでおり、限られたスペースながらスッキリ使えるようになっています。
トイレも独立しました!
こちらもスペースがせせこましくならないように、トイレは省スペースのタンクレストイレ、出入り口は、通常の開き戸の1/2のスペースで済むスライディングドアを採用しました。
階段の1段目&2段目は、引き出しのように使える収納になっています。
かなり奥行きがあるので、リビング回りの小物やタオルなどなど、いろいろな物が収納できますよ。
こちらもユニークな収納です。
このスペース、お風呂の上の天井裏を利用しているんです。
通常はふさいでしまうスペースなのですが、有効活用することにしました!
こちらは、開け閉めする方法も少し工夫しています。
よくある収納扉のように「取っ手」を付けると、その分出っ張りができてしまいますが、毎日上り下りをする階段ですから、出っ張りがあると少し邪魔ですよね。
そこで、こちらの収納は、丸いポッチを押すとカチッと開くタイプにしているのです。
階段は、段数を増やして傾斜を緩やかにし、動作を手助けしてくれる手摺りも、設置されました。
I様邸は寝室が二階なので、毎日上り下りをされますが、今後はその負担が大きく軽減します。
内装にはもちろん、住む人に優しい自然素材を採用しています。
I様邸1階では、床にはコルクタイルを採用しました。 コルクは水濡れに強く、足触りがソフトでサラリとしており、直接座ってゴロリと横になっても快適な優秀素材です。
1階には水を使う場所であるキッチンやお風呂があり、ご高齢のお母様も、1階でもっとも長い時間を過ごされますから、コルクがもっとも最適と考え、ご提案いたしました。
壁には、木のチップが漉き込まれたオガファーザーを貼っています。 木は、湿度を吸ったり吐いたりして、空気を調整してくれる働きがありますが、こちらのオガファーザーは、壁紙でありながら、木のチップの効果で調湿性能を持つという優れものです。
階段や窓枠といった造作部分には、天然の木を使っています。
二階は、プライベートなフロアです。
ご高齢のお母様の負担を軽減するためのトイレの設置、窓が少なくても明るさを取るための天窓の設置、1階と同じく半透明の建具を使うなど、様々な工夫が施されたスペースとなっています。
床には越後杉の無垢フローリングを採用。
無垢板は高い調湿性を持ち、木の風合いには心が癒されます。
ゆったりお休みになるための寝室には最適の素材です。
奥のお部屋はお母様の寝室。
間仕切りが設けられており、I様がお仕事で夜遅くなっても、
お母様の睡眠を妨げにくくなっています。
こちらは、主にお衣類や、ご家族のお布団を仕舞う為の収納、そして上のスペースも無駄にしない吊り戸収納が設けられました。
クローゼット収納の建具は、通常サイズよりも大きなものを採用しています!
大きな建具は、空間を広く感じさせてくれる効果があるのです。
窓も、リフォーム前よりも大きくなっています。
こちら、表側に面していて目に付く窓であるため、デザイン性のあるものを選ばれてました。
外側から見ても、お部屋の中から見ても、おしゃれですね。
一方、手前のお部屋はI様がお休みになるためのスペースです。
3階にI様がお持ちの本や衣類を置かれる為、このお部屋と3階が行き来しやすくなっています。
2階と3階を合わせてI様の私室といったイメージでしょうか。
I様がご希望だったこのストリップ階段も、2階と3階のつながりを感じさせてくれるのに一役買ってくれています。
窓はこちら側のお部屋も拡張しました。
非常に日当たりの良いお部屋のため、天井に室内干しをする時に便利な「ホスクリン」も設置しています。
普段はバルコニーに洗濯物を干されますが、お出かけをする時やお天気が思わしくない時には、このホスクリンがとっても役に立ちますよ。
階段と、手前のお部屋を仕切る建具には1階と同じく全面に半透明ポリカーボネイトが入っているものを採用しています。
階段には窓が無いのですが、昼間ならこの半透明の建具から二階の明るさが共有でき、階段まで明るくなります。
コルクを使った1階の落ち着いた印象とは大きく変わり、こちらは、杉(国産越後杉)の無垢フローリングの木目に癒される、寝室にふさわしい空間になっております。
無垢フローリングは、自然のオイル塗装で仕上げられており、無垢の大きな特性である「調湿性」を大いに発揮してくれるようになっています。 寝室として使う空間には最適ですね。
壁は1階と同じく、木のチップが漉き込まれたオガファーザーです。
オガファーザーも調湿性があり、無垢との相乗効果を期待できます。
お母様が夜、トイレのために1階に下りなくても良いように、2階にもトイレを設けました。
同じスペース内には洗濯機置き場を設けました。
リフォーム前の洗濯機置き場は、1階にありましたが、この度、2階に移動しました。
洗濯物を2階で干される場合、洗濯機置き場も2階に設置するのは、オススメです。
洗濯機置き場が1階だと、濡れて重くなった洗濯物を抱えて二階に上がる必要がありますが、二階だと乾いたものを持って上れば良いので、ラクなのです。
I様邸は、左右に窓が設けられないので、本来ならばこのトイレ&洗濯機置き場は、窓が無いスペースになってしまうところなのですが、上に「天窓」を設置することで、暗さ解消!
天井からの光は、横の窓からの光よりも3倍の採光力がありますので、とても明るい!
開閉するタイプですから、通気もできるようになっています。
限られたスペース内で、トイレ&洗濯機置き場を新設していますので、市販の収納を設けなくても良いように、洗濯機やトイレの上の間もデッドスペースにはしません。収納を設置し、こまごましたものが便利に置けるようにしました。
トイレの上に設けた吊戸収納は、あえて天井から吊り下げるのではなく、少し上に余裕を持たせた設置をしました。
お母様の身長が小柄なのでこのくらいの方が丁度良く、吊戸の上にもちょっとした飾りなども置けますよ。
床には水周りということでコルクを採用していますが、1階のブラウンカラーとは違ってこちらは黒を採用しました。
I様がお選びになったトイレの色がグレーだったので、インテリア的に同系色で合わせました。
スタイリッシュに出来上がりました!
こちらは後からお神楽で増築をされた3階のため、1階2階より少し小さな空間になっています。
今まではあまり有効活用できておらず、物置のようになってしまっていたスペースだったそうですが、今後は、普段はI様のホビースペース、嫁がれたご姉妹が訪ねて来られた際には、客間としても使うおつもりとのことです。
リフォーム前は最上階であったということもあり、暑い時期は、直射日光を受けてものすごく暑くなってしまい、冬も寒く、結果的にあまり出入りしない、もったいないお部屋になってしまっていたそうです。
今回、四方をしっかりと断熱材で囲い、屋根は遮熱をしてくれる機能を持たせる施工を行いました。
今後は四季を通じて、快適に過ごせるようになるでしょう。
実際、完成のタイミングが夏で、この写真撮影を行った日も気温の高い暑い日でしたが、少しエアコンを利かせれば、とっても過ごしやすくなったのを体感できました。
夜は風が通り、熱帯夜でなければエアコン無しで過ごせそうです。
快適になった3階を今後は大いに有効活用できるように、収納のためのスペースを造りつけ、I様の私物や蔵書をスッキリ収められるようにいたしました。
用途に合わせて、光の向きがお好きな方向に変えられる「スポット照明」です。
初めてご連絡をいただきました時に、2軒長屋である建物の 耐震補強の方法をおたずねいただいたことを覚えています。
長屋という特性をわかった上で耐震補強計画を ご提案させていただかなければと思い、建築士とプランを作成いたしました。
I様は、頭の中にレイアウトやデザインをお持ちでしたので 私たちは、それに近づけるようプランニングをして形にしていきました。 素材にもこだわりをお持ちでしたので、ご提案させていただく物を吟味してお持ちしたことを思い出します。
暑い夏のさなか、毎週のように現場に足をお運びいただきご協力に感謝いたします。 現場が進むうちに当初の予定から変更させていただいた箇所もございましたが、 その都度、柔軟にご対応いただきました。
お母様からもたくさんのお心遣いをいただき本当にありがとうございました。 I様の想いが詰まった空間と感じていただけたなら、本当に私たちは嬉しい限りです。 ご用命を頂戴し、こうしてご縁をいただきましたことに心から感謝いたします。
【リフォームアドバイザー・塩谷理枝より】
I様邸は、エコリフォームが最も得意とする「長屋リフォーム」でした。
その長屋の中でも、今までに私どもが施工させて頂いた中で、最も歴史のある建物です。関東大震災、戦争も潜り抜けてきた建物は、90年前とは思えない程しっかりと造ってあり、昔の大工さんの腕が偲ばれました。
その良さを活かしつつ、最新の設備、最新の耐震技術で見事に再生することが出来ました。
とても良い機会を与えてくださったお客様と、力を合わせてくれた職人さん達に本当に感謝です。ありがとうございました。
【一級建築士・塩谷敏雄より】