TOP > リフォーム事例 > ワンフロアのリフォーム > シニア世代のご夫婦が安心・のんびり暮らせる家


| 築年数 | 60年 |
|---|---|
| 住宅仕様 | 2階建て木造 店舗兼住宅 |
| 広さ | 1階60㎡+2階47㎡ |
| リフォーム内容 | ・1階スケルトンリフォーム ・2階内装リフォーム ・外装リフォーム |
| 地域 | 東京都江東区 |

1930年代の木場(写真:wikipedia)
深川、老舗材木屋さんのお住まいです。
エコリフォームから歩いて行ける距離の場所で、何十年も続いている老舗の材木屋さんです。自宅兼店舗として使われている築60年ほどの建物をスケルトンリフォームしました。
江東区の木場は、江戸時代からの木材集積場です。昔から、多くの材木問屋や製材屋さんが軒を連ねていました。
木材集積場が木場から新木場に場所を替え、木材関連のお店も随分と少なくなってしまいました。
そんな中でもK様のお店は長く元気に営業している一軒。エコリフォームも40年以上の長きにわたってお世話になっています。
お仕事柄、長年にわたって多くの住宅工事現場をご覧になっており、目が肥えていらっしゃるK様。
K様に「塩谷さんのとこなら大丈夫」とご判断いた上で、ご依頼をいただきました。まことにありがとうございます。


今回のリフォーム、K様のご希望は!



ご夫妻が一番長い時間を過ごされるのは、ダイニングではないでしょうか。家の中心にダイニングを持ってくることで、快適性と、各お部屋への動線の良さを確保します。
また、お料理やお菓子作りが得意な奥様のため、明るく使いやすいキッチンをご提案します。
リビングは玄関から一番近いお部屋。
店舗件住宅となっているK様邸なので、急な来客があっても対応できるようにしました。
ソファーもゆったり置いていただけます。
お二人のお住まいなので、水まわりは細かく仕切らずオープンにして、ゆったりお使いいただけるようにします。また、必要な箇所に必要な収納を設けて、物を出し入れしやすくします。
将来、高齢になっても安心できる使いやすい水まわりです。
静かにお休みになれるよう、寝室は奥まった場所へ。
窓の位置を高くすることで、明るく広さを感じられるお部屋にします。
耐震補強について



安心・安全に暮らせる住まいに

インテリアもガラリと変えて!



K様は材木屋さんでいらっしゃいますので、ご自身のお住まいにも質の高い本物の材を使い、上品に仕上げます。お店を営業しながらの工事です


K様邸では、既存の建物の一部を削る「減築」を行いました。
まずはその様子からご紹介いたします。
減築箇所の2階部分が解体されたところです。赤で示した1階部分も解体していきます。

大工さんの慣れた手で、素早く撤去されました。

少しせり出した部分に新しい基礎を造って外壁を立てます。まず、鉄筋とアンカーボルトを配し・・・

アンカーボルトと土台としっかり固定させてから基礎を形成します。
新築と違い、リフォームでは建物によって条件が違うため、経験に裏付けられた判断のもと、臨機応変に施工する必要があります。

基礎の型枠に、コンクリを流し込んでいきます。

太い柱が立ち、新しい外壁の骨組みが出来上がりました。

新しい壁に張られているのは、透湿シートです。湿気を通して結露を抑え、外部からの水の浸入を防ぐ効果があります。

その上に「ラスカットパネル」が張られました。地震に対して力を発揮してくれる外壁下地材になります。

減築箇所を内部から見たところです。左側の白っぽいところが、いったん撤去して形成しなおした箇所。天井の勾配も綺麗に合っています。

こちらは減築箇所の2階部分。2階には部屋を造らず、1階部分の屋根が造られます。

下地の上に防水シートが張られました。

仕上げ材のガルバリウムです。

減築と同時に、他のお部屋の解体も進めます。
床下のチェックも入念に行うことができました。
土が入ってしまっていたものの、材木屋さんの建物だけあって非常にしっかりしています。

窓の上でシロアリの被害が見つかりました。雨が入ったためにシロアリの侵入を招いてしまったようです。
このように傷んだ箇所は、今回のリフォームですべて撤去して、新しくします。

入ってしまっていた土や既存の下地を全て撤去しました。

すべて新しいものに交換されたところです。

床を支える「床束」は、鋼製束を採用しました。
細く見えますが、2トンの重さに耐え、100年の耐久性があります。
床の高さの調整もしやすい優れた建材なんです。

今回のリフォームで水まわりの位置が大きく変わるため、水道やガスの配管設備も新しくなりました。

配管の上から新しい床下地を施工します。

お風呂になる箇所の下は、漏水を防ぐために、分厚いコンクリートを施工します。

各所を的確に補強していきます。こちらは梁が補強されているところ。

ここは「コボット」を設置する箇所なので梁を追加しました。

耐震金物も適材適所に設置されます。これは柱と筋交いを固定する「筋交いプレート」です。

斜めの金物は「火打ち」。地震や台風で建物が歪むのを防ぎます。
羽子板ボルトは、梁と柱の接合部分に使用される耐震金物です。

リフォーム前、ほぼ全面が大きな掃き出し窓になっていた壁面です。
窓には建物を支える力がないため、補強の必要があります。窓を縮小して、左右に耐力壁を立てました。

奥が減築部分です。建物が元からこういう形だったように見えますね。

電気屋さんが電気配線を整えています。
間取りが変わると、照明、コンセントの位置も変更になります。電気の容量も増やす必要があり、リフォームでも電気工事が必須です。

天井を塞ぐように、断熱材が入りました。
エコリフォームの工事ではおなじみの、パーフェクトバリアです。
>>パーフェクトバリアについて

床にも断熱材が入っています。床下からの冷気を遮断する断熱材「フクフォームeco」。人体と環境にやさしい優良素材です。
>>フクフォームecoについて

1階にある7か所の窓は全て、ペアガラスに変更です。
窓サッシを断熱効果の高いものにすると、外気の影響を受けにくくなり、室内の冷暖房効率が良くなります。

ナラ材の無垢フローリングは、早い段階で張られます。
内部の造作をする前に、ベースとなる床を仕上げてしまうのです。

紙を挟んでいるのは、微妙な「隙間」を作るため。
無垢材は季節に合わせて収縮するので、割れや反りが生じないように隙間を作っておくのです。

張り終わった無垢に傷がついてはいけないので、すぐに養生します。完成までしばらくはこのままです。

ラスカットパネルの上に「ラス網」を張ります。ラス網は、モルタルがはがれないよう保護するための下地です。

グレーの下地モルタル、白い仕上げのモルタルの順に塗装します。 職人さんが仕上げモルタルを塗っているところです。

清潔感のあるオフホワイトの外壁ができあがりました!

大工さんが新しい建具の枠を造作しています。

建具が設置され、壁には石膏ボードが張られました。

上は重さに耐えるしっかりした下地、下にはツルツルのパネルが張られている箇所。

ここにはキッチンが取り付けられました。
キッチンはパーツごとに搬入され、現場で組み立てられます。

電気屋さんが再び登場。コンセントプレートや照明器具を設置できるように整えています。

建物の構造上、抜けなかった柱です。上から合板を張って化粧を施し・・・

×字の金物「コボット」を設置しました!コボットは、耐力壁と同じ役割を果たしてくれるものです。

コボットの上下左右4か所は、梁や柱などの構造体と結合され、しっかりと強度を保ちます。
「壁を作らず空間につながりを持たせたい。でも補強はしなければならない・・・」
そんな時に活躍するコボットは、エコリフォームでも出番の多い耐震補強金物です。

ボードの継ぎ目や凹みの部分を丁寧に塗装します。壁紙の表面にボードの凹凸が出て、不格好になってしまうのを防ぎます。

収納部分もすっかり出来上がっていますね。もう完成も間近です!

ご夫妻お二人が安心してのんびり暮らせるお住まいが完成です!

普段の生活は1階だけで出来るようになっており、動線もスムーズです。

水まわりはオープンにすることで、ゆったり使えるようにしました。お掃除もしやすくなります。

ナラの無垢フローリングは上品な仕上がり。白い壁とマッチしてとても明るい印象となりました。

エコリフォームも長年お世話になっている地元の材木屋さん、K様のリフォームが完成しました。安全で毎日の生活に負担が無い設計です




シニア世代にふさわしい落ち着きのある上品な雰囲気

無垢フローリングといっても、木の種類によって様々です。

しかし、こんなところに壁があったら、ダイニングとリビングの開放感が半減してしまいます。
リビングからダイニングの方を眺めた写真でも、1つの空間のようなつながりが見て取れます。
コボット部分が壁だったらこんな感じに...



寝室の図面を見ると、リビングより少し出っ張っています。ここは減築をして、新たに外壁を造り直した部分です。




水まわりの床には足ざわりがよく、お手入れも楽なコルクタイルを採用しました。
K様は、父の代からお世話になっている材木屋さんです。深川の材木業者さんがどんどん減っていく中、今でも頑張っておられる、頼りになる材木屋さんです。
60年前に建てられた建物の特性を十分に把握し、それを活かした設計を心がけました。
店舗があり、住居として使える空間が少し変形のため、間取りの設計には頭を悩ませました。何度も変更を繰り返し、お打ち合わせの時間もたくさんいただき、ありがとうございました。
これからのご夫妻のご生活にあった住空間となるよう願って造り上げた空間です。
馴染みの大工さんや職人さんと共に、良い仕事をさせていただけたことに、心より感謝いたします。
【リフォームアドバイザー 塩谷理枝】
