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雰囲気そのまま、ご両親のためのあったか~い家

雰囲気そのまま、ご両親のためのあったか~い家

I様邸 ハウスデータ

築年数21年
構造木造2階建て住宅
広さ建坪12.5坪(約42平米)、延床26坪(約86平米)
内容1階のスケルトンリフォーム、外部リフォーム
地域東京都北区

高齢になっても安心して暮らせる家に。ご両親のための思いやりリフォームです。

I様は、これから年を重ねていくご両親のために、安心で暮らしやすい家にリフォームしたいとお考えでした。 耐震補強で家の強度を大幅に上げ、シロアリ被害を受けた箇所もしっかりと補強。 日当たりを改善し、トイレを増設するなど、快適に暮らす工夫をたっぷり盛り込みます。

こうして住宅の性能を上げながら、慣れ親しんだ雰囲気は大切に残すリフォームで、ご両親が本当に暮らしやすい家が完成しました。

リフォームプラン

I様との出会い

ご両親と暮らすI様から、最初にこんなメールをいただきました。

両親のためにリフォームを計画しています。

最初のきっかけは、2階にトイレを増設し、お風呂をリフォームする必要を感じたことです。 耐震補強や断熱もしたいし、もっと明るい部屋にもしたい...と、たくさんの要望が湧いてきます。

I様邸は築21年と比較的新しい建物で、お店を経営されているご両親もまだまだ現役です。 I様のお父様は、リフォームの必要性をあまり感じていなかったそうです。 しかしI様は、これから先もずっとこの家で暮らしていくことを考えると、今リフォームをした方が良いとお考えでした。

エコリフォームの資料をお送りして、I様と何度かメールでやり取りをするうちに、ご家族のみなさんが徐々にリフォームに対して前向きになられたようです。

Before

I様より

私は両親に、「リフォームをしたい」といつもアピールしていました。 でも、いきなりリフォームをしようと言っても、両親も反発しますから、徐々に徐々に、諦めずに説得したような感じです。

父母が自分たちで建てた家で、愛着もあるので、「全部壊しちゃうわけじゃないんだよ。残せるところは残してもらおう」と説明しました。 そうやって家族でよく話し合ってから、リフォームをしようと決めました。

I様のご要望は...

I様邸は、お父様が21年前に建てられた木造一戸建てのお住まいです。 建坪は12坪ほどの2階建て住宅で、2階には6畳ほどの大きなロフトもついています。

I様は今回のリフォームで、ご両親のことを第一に考えてリフォームをしたいとお考えです。 I様のご要望をまとめると、下記のようになりました。

【要望1】両親が暮らしやすい家にしたい

・日当たりと風通しの改善
1階は日当たりが悪く、昼間でも電気を点けている。風通しも悪いので改善したい。

・トイレの新設とお風呂の交換
寝室のある2階にトイレを新設したい。お風呂も入りやすく安全なものに交換したい。

・家事がしやすい工夫
キッチンを交換し、収納を増やして、お母様の負担を軽減。段差もなくして安全にしたい。

【要望2】安心で快適な家にしたい

・耐震補強
大型車が通ると揺れるのが気になっている。見えない部分も点検し、耐震性を上げたい。

・断熱施工
年を取っても快適に過ごせるよう、しっかり断熱して、夏の暑さ、冬の寒さを軽減したい。

【要望3】家の雰囲気はそのままにしたい

・愛着のある雰囲気を残す
両親が戸惑わないよう、家の雰囲気はできるだけ残し、再利用できるものは活用したい。

建築士の見解は...

最初のお問い合わせから8ヶ月ほど経った頃、改めてご連絡をいただき、一級建築士の塩谷敏雄が現地調査に赴きました。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

まだご契約に至らない段階のため、壁などを壊して確認するわけにはいきません。 床下は点検口から確認し、壁面は外側から目視しました。

I様のご要望を満たし、これからずっと安心して暮らしていけるようにするためには、まず構造部分を確認する必要があります。 I様邸はまだ築21年と新しいものの、大きな車が通ると揺れを感じるということだったので、耐震性に問題がないかも含めて、しっかり現地調査を行いました。

その結果、建物の構造上、いくつか気になる点が見つかりました。

1階の居間が大空間

1階の大部分がキッチンとリビングで、間仕切りや柱のない大空間となっています。 2階部分の重量を支えるために、補強を加えた方が良いと思われます。

1階の外壁が斜めになっている

敷地を有効利用するためか、1階の外壁の1面が斜めに造られています。 敷地の有効利用はできますが、直角に交わらない壁は強度の点ではマイナスです。

2階の浴室を支える構造が不十分

I様邸の浴室は2階にありますが、外壁にクラック(ひび)が入っていました。 浴室は500kg~1tの重量があり、この荷重を支えるためには強度が不十分と思われます。

I様のご要望を満たしながら、同時に建物の問題点を解消するリフォームプランを練り上げました。

リフォームプラン完成

ご家族の思い出がいっぱいの家を、安全で暮らしやすく、くつろげる家に

1階 Before

1階は大空間で壁が少ないため、耐震性に不安がありました。南側にある外開きの窓は、外がすぐ道路のため活用できず、暗いお部屋でした。

1階 After

  • リビングの一角を区切って収納部屋に
  • 斜めの壁を重点的に補強して耐震性UP
  • 窓をリフォームして明るいお部屋に
  • キッチンの向きを替えてリビングを広く

2階 Before

2階は浴室と寝室になっています。トイレが1階にしかないため、夜間はトイレに行くのに階段を上り下りする必要があります。

2階 After

  • 2階にもトイレを新設
  • 浴室の位置を替え、家のバランスを調整
  • 家具を置く位置を考慮し、お部屋を2つに
  • 洗濯物干しに便利なバルコニーを新設

間取りを大きく変えない

1階部分をスケルトンリフォームにするため、間取りの変更も自由ですが、I様ご家族と何度もお打ち合わせした結果、今回は間取りを大きく変えないことになりました。

LDKを暗い1階から明るい2階に移動するアイデアもありましたが、お店を経営されているご両親は家の出入りも多く、階段の上り下りが負担になります。窓をリフォームして採光を改善するプランをご提案し、ご家族でご検討いただきました。

最終的な決定をされるのはI様ご家族ですが、リフォームのプロから見たメリット・デメリットをきちんとお伝えした上でご判断いただきたいと考えました。

設備を使いやすく、安全に

お風呂やトイレ、キッチンの設備を選ぶ際も、ご両親が使いやすいこと、操作しやすいことを一番に考えてご提案しました。 キッチンには食器洗浄機も設置するプランです。

また、階段や玄関にはヒヤッとしない木製の手すりを設置し、床の段差を無くして、安全に暮らせるバリアフリー仕様にします。 収納を増やして室内の物を少なくスッキリさせることも、家庭内事故の防止につながる工夫です。

住み心地が良くなる自然素材をご提案

1階リビングと2階のI様のお部屋には、無垢フローリングをご提案しました。 リビングは木目がきれいなナラ、I様のお部屋はスタイリッシュで個性的なピンカドーです。

無垢材には、湿度の高い夏は吸湿し、乾燥している冬は湿気を放出する効果があるため、夏は涼しく、冬は暖かく感じられます。 温かみのある印象の無垢の床は、今までの雰囲気を残すリフォームにぴったりです。

リフォーム完成間近のお住まいを見学されました

I様邸のリフォーム計画が進んでいた頃、ちょうどU様邸のスケルトンリフォームが完成間近でした。 そこで、U様にお願いして見学をさせていただくことになりました。

おすすめしたものと同じ設備をご覧になり、自然素材を使ったお住まいを肌で感じられたI様は、リフォーム完成のイメージが明確になったそうです。 見学に快くご協力くださったU様のおかげです。ありがとうございました。

U様邸のリフォーム事例「長屋(テラスハウス)を耐震スケルトンリフォーム」も合わせてご覧ください。

初期の耐震計画

今回のリフォームでできる限りの耐震補強を行い、大きな地震が起こった際に、家の倒壊を防いで避難する時間を確保します。

1階には、地震に耐える力を持つ耐力壁を配置して、2階部分の重さを支えられるようにします。 特に重量がある2階浴室の下は、よりしっかりと補強する計画です。

※解体後にシロアリ被害や施工不良などの問題が見つかったため、実際の工事ではさらに強固な耐震補強を行うことになりました。詳しくは工事の様子でご紹介します。

最初のお問い合わせから1年の準備期間を経て、正式にご契約をいただきました。
I様ご一家の足並みも揃い、いよいよリフォーム工事のスタートとなります!

リフォーム工事の様子

解体後に大きな問題が判明!

いよいよリフォーム工事の始まりです。 解体工事を行ったところ、大空間を支える鉄骨の梁が入っていました。

しかしその一方で、ご家族も気付かない間に雨漏りが進行し、それに伴ってシロアリ被害を受けていることがわかりました。 さらに構造上の問題点も発覚し、初期の耐震計画に大きく変更を加える必要が出てきました。

解体中の現場。

雨漏りとシロアリ被害が進んでいました!

斜めになっている西側の壁で雨漏りが進み、深刻なシロアリ被害が発生していました。

築20年になるI様邸ですが、家の中からはまったく雨漏りしていることがわかりません。 断熱材がしっかり入っていることがかえって災いとなり、被害が表面に現れなかったのです。

Before

断熱材の下には...

深刻なシロアリ被害が!

内部がかなり傷んでいたため、西側の壁は建物を支える強度がほとんどなくなっていました。 また、鉄骨の梁を支える柱も、雨漏りの影響で腐っていました。

リビングでくつろぐご家族の上に、重い鉄骨の梁が落ちてきてもおかしくない、大変危険な状態だったのです。

赤い部分が鉄骨の梁です。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

建物は本来、生命や財産を守ってくれるはずのものですが、I様邸は大切な命を脅かしかねない状態でした。 大きな地震などがあれば、倒壊してもおかしくなかったことを考えるとゾッとします。 早急に何とかしなければと思いました。

シロアリは、家の要となる構造部分の材を食い荒らします。 シロアリ被害を受けた部分はスカスカの状態になり、建物の強度、耐震性は著しく低下していました。

建物の快適性を上げるためには必要な断熱材ですが、I様邸のように、断熱材に阻まれてシロアリ被害に気が付かないという事態もあり得ます。 築年数が長いお住まいでは、一度チェックしてみることをおすすめします。

スカスカになった木材。

建築時の施工が不十分な箇所がありました!

建築時の施工が不十分だったと思われる箇所も複数見つかりました。

まず、柱と筋交いが足りていませんでした。

鉄骨の梁や2階の浴室、ロフトに収納された家財道具などを考慮すると、かなりの重量となります。 この荷重をしっかり支えるために、柱と筋交いを増やさなければなりません。

鉄骨の梁を支える柱が不十分です。

また、筋交いが正しい位置に設置されていない箇所がありました。

筋交いは柱と柱の間に斜めに設置し、土台と横架材(梁や桁)を結ぶ形で設置します。 耐震性を上げるために重要な筋交いですが、正しく施工されていなければ耐震効果を発揮できません。

構造用合板を施工する、新しく壁を立てるなどの方法で補強する必要があります。

筋交いの位置が正しくありません。

さらに、窓の重さを支える柱が入っていない箇所がありました。

窓は意外と重量があるため、通常、窓の左右に、天井から床までの柱を設置します。 しかしI様邸では、一部の窓に柱が設置されていませんでした。

壁だけでは窓の重さを支えられず、クラックが生じる恐れがあります。

窓を支える柱がありません

そして、浴室を支える構造部分の強度に不安がありました。

浴室は住宅設備の中でも特に重く、水を入れると1トン近くになります。 構造部分は1本の太い材が使われているのが望ましいのですが、短い材を繋いで造られていました。

浴室の下に当たる部分の外壁にクラックが入っていたのも、強度が足りていないことの現れと思われます。

短い材を繋いでいます

問題点を踏まえて、耐震計画を大幅に改善しました

初期の耐震計画

解体前に作成した初期の耐震計画では、壁を耐力壁にして新しく梁を架け、耐震金物で壁を補強する予定でした。

改善した耐震計画

補強壁部分は、壁をいったん解体し、耐震金物に加えて、筋交いや構造用合板を用いて補強します。 1階に新しい柱を多数追加し、重量のある鉄骨梁と浴室を支えます。2階西側の出窓部分は、半柱で補強します。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

初期の耐震計画と改善した耐震計画では、大きく変わったことがわかると思います。

現地調査を行った上で初期の耐震計画を立てていますが、建物の構造部分に関わる内容のため、解体してみないとわからないことが多いのが実情です。 I様邸の耐震計画のように、解体が終わってから計画に修正を加えて改善していきます。 I様邸では、構造部分に予測していた以上の問題があったため、初期の計画よりもより強固に補強して、状態を改善する必要がありました。

また、鉄骨の梁が3本入っていましたが、梁を支える構造が不十分なことも、解体後に判明しました。 せっかく頑丈な梁が使われているのに、それがかえって危険を招く原因になっていたと言えます。

このように、耐震性の高い部材でも適切に施工されていなければ意味がありません。 耐震補強工事では、適切な部材を適切な箇所に取り付けることが肝要です。

第三者機関にも診断してもらいました

大切な建物が危険な状態だったと知り、I様もショックを受けているご様子でした。

そこで、今回の耐震工事では、建物診断を専門に行っている一級建築士事務所に依頼して、解体後の建物を診断してもらいました。 エコリフォームの見解だけではなく、第三者機関の目でも判断してもらうことで、I様のご不安を少しでも解消することが目的です。

補強が必要な箇所や施工方法について、エコリフォームの見解と同様の診断結果となり、今回の耐震工事の方向性が間違っていないことを確認できました。

第三者機関による建物診断の様子。

インテリアコーディネーター
薄井 歩

耐震計画が大きく変更となったため、追加の工事が発生することとなりました。 I様にご説明差し上げた結果、信頼してお任せくださるとのことで、追加工事の費用についてもご納得いただきました。ありがとうございます。

我が家を大切に思う気持ちは、誰もがお持ちです。 ご自分たちで建てた家、ずっと暮らしてきた家なら、なおさらでしょう。

今回、I様邸があまり良い状態ではなかったことをお伝えするのは、私たちも心苦しく思いました。 しかし、将来のことを考えると、事実をお伝えした上できちんと補強を行い、良い状態にするべきだと考えました。

I様は「エコリフォームさんを信頼してお任せしていますので、よろしくお願いします」と仰ってくださり、その言葉に救われる思いでした。

西側壁面の補強工事

最初に行ったのは西側壁面の補強工事です。 外壁が斜めになっている箇所のため、もともと補強をかける予定でしたが、解体後にシロアリ被害と施工不良が見つかり、さらに大幅な補強が必要となりました。

既存の壁の補強に加えて、室内側にまっすぐな壁を新設して、2階の外壁とのズレをなくします。 部屋は少し小さくなりますが、家の寿命を伸ばすためには必要な補強となるため、I様にもご納得いただいた上で工事を進めました。

シロアリ被害でひどい状態でした。

柱や土台をすべて新しいものに取り替えました。

地震に強い外壁下地、ラスカットパネルを施工します。

雨漏りの原因だった箇所に防水シートを張ります。

上から鋼板を張って仕上げました。もう安心です!

室内側に壁を新設して、建物の強度を上げます。

鉄骨の梁も新しい柱でしっかり支えました。

耐震金物を取り付けて、地震の際の柱の抜けを防ぎます。

東側壁面の補強工事

東側の壁面にはシロアリ被害は見られませんでしたが、柱の施工状態が悪い箇所がありました。 柱に切り込みの入った箇所や、柱を接続するための穴だけが開いている箇所などが見つかったのです。

鉄骨の梁を支えるには強度が不十分と思われたため、既存の壁の内側に壁を新設することにしました。 新しい壁には筋交いを適切に配置し、しっかりした耐力壁にします。

柱に切り込みの入った箇所。

新しい柱を立て、壁を新設します。

筋交いも正しい位置に配置されています。

新しい柱と桁で鉄骨の梁をしっかり支えます。

適切な箇所に耐震金物を取り付けました。

耐震金物で土台と柱、筋交いをしっかり固定しました。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

I様邸は2階にロフトがあります。 今回ロフトの工事は行わないため、仮住まいの間使わない家財道具がロフトにたくさん入っていました。 屋根には立派な瓦ものっていて、2階部分が非常に重い状態でした。

1階部分はシロアリ被害や不十分な施工が見られる上、工事中はさらに脆弱な状態となっています。 重量のある2階を、強度の落ちた1階が支えていることになり、万が一大きな地震が来たら、建物が倒壊する恐れもあります。

大きな地震はいつ発生するかわからないので、現場のスタッフが一丸となって、猛スピードで補強工事を進めました。

浴室周辺の補強工事

I様邸の浴室は2階にあるため、浴室の重量を支えられる構造にする必要があります。 しかし、構造部分に問題が見られたので、浴室周辺を1階、2階とも補強することにしました。

短い材を繋いでいた箇所は、1本の太い材で補強しました。アンカーボルトでしっかり固定されています。

ユニットバスが入る位置は、構造用合板で強度を上げています。

1階にも新しい柱と梁を設置して、下から浴室の荷重を支えます。

2階部分の補強工事

2階のお部屋は、柱のない薄いパーテーションで区切られていましたが、パーテーションは強度が低く、建物を支えることができません。 そこで、上部のロフトを支えられる壁を新設します。

その他、1階の補強に準じて適切な箇所に補強を加えます。

壁を新設した箇所です。太い梁を通しました。

窓を支える柱がなかった箇所も補強を行いました。

筋交いも適切な位置に設置しました。

シロアリ被害を防ぐ防蟻処理

シロアリの被害箇所を改善した後、もうこれ以上被害を受けないように、専門業者に依頼して防蟻処理を行いました。 以前は危険なイメージがあった防蟻薬品ですが、現在では人体に害のない安心なものになっています。

シロアリが潜んでいるかもしれないので、しっかり駆除します。

防蟻剤を撒いているところです。

玄関の目地に穴を開け、そこから床下に防蟻剤を散布します。

断熱・内装工事

構造部分の補強が終わり、シロアリの被害箇所も改善して、ようやく頑丈な建物になりました。 I様にもご確認いただき、一安心の様子でした。

ここから、一年中快適なお住まいにするための断熱施工を行い、内装工事をしてリフォーム完成となります。

傷んでいた断熱材を撤去し、新しい断熱材「パーフェクトバリア」に入れ替えます。

床下には断熱材「フクフォームeco」を。水蒸気で発泡するタイプの断熱材です。

壁に石膏ボードを張っていきます。

キッチンカウンターも出来上がってきました。

無垢フローリングは季節によって収縮するため、紙を挟んで隙間を開けて張ります。

クロスを貼る前に、凸凹をパテでならします。これが仕上がりに影響します。

天井に白いクロスが貼られました。

階段に手すりを設置します。柱をポイントにしてしっかり固定しました。

工事開始から2ヶ月半ほどでI様邸のリフォームが完成!
雰囲気はそのまま、暮らしやすく生まれ変わったお住まいをご紹介します。

リフォーム完成の様子

ご家族の思い出がたくさん詰まったお住まいが、今までよりもずっと安全になりました。 リフォームする前のお家の雰囲気はそのまま、ご両親もゆったり寛げる佇まいです。

リフォームが完成したI様邸を詳しくご紹介します。

1階 After

2階 After

リビング

Before

明るく、風通しも良くなった1階のリビングです。 家族団らんのスペースが、リフォーム前の印象も残しつつ、軽快なイメージに変わりました。

一見、あまり変わっていないように見えますが、ご家族が暮らしやすくなるポイントを押さえて改善しています。 リフォーム前よりも機能がアップしたリビングをご紹介します。

窓をリフォームして明るくなりました

Before

リフォーム前の窓は観音開きで、雨戸が外に開くタイプだったため、窓の外を通行する人の邪魔になり、窓を開けられなかったそうです。 窓が開けられないのでは、採光も通風も難しくなります。

今回のリフォームで、一般的な引違いタイプの窓に変わり、縦に大きく広げました。 普通に窓を開けられるようになり、とても明るく、風通しも良いリビングになりました。 雨戸を撤去して面格子を設置したので、防犯面も安心です。

災害時も考慮しています

Before

3つ並んでいる窓のうち、右端の窓だけは、既存の窓のまま残しました。 いざという時は避難口にできるように、他の窓と同じように面格子を設置しなかったのです。 腰高窓なので出入りはしにくいですが、万一の時には大事な避難経路になります。

また、壁を補強した際に厚みが増し、窓が奥まった形になったため、手前にカウンターを設置しました。 小物やグリーンなどを飾れますね。

住む人にやさしい自然素材を使いました

Before

床はナラの無垢フローリングを採用しました。ダイナミックな木目をご両親が気に入られたそうです。 リフォーム前は濃い茶色の床でしたが、ナラも比較的濃い色味なので、以前の雰囲気を大切にするリフォームにぴったりです。

無垢の床はサラッとした足ざわりで気持ちが良く、見た目にも心を和ませてくれる素材です。 お手入れが簡単なウレタンコートで仕上げてあるので、キッチンまわりの水はねも心配ありません。

元の雰囲気を活かす工夫

Before

収納の扉は、全体の雰囲気に合わせて新しく造作しました。 新しい建具もお部屋の雰囲気に合わせて、落ち着いた感じに仕上げています。

一方、リビング入口にあるガラスの入った木製扉は、クリーニングして再利用しました。 再利用の建具も、元の空間の雰囲気を活かすために一役買っています。

Before

巾木(はばき)にもこだわっています。 巾木は壁の一番下、床に近い部分に設置するもので、壁の隙間を隠して美しく見せ、汚れやすい部分を保護する役目があります。

リフォーム前の巾木の雰囲気に合わせて、無垢材を赤みがかった茶色に塗装して仕上げました。

大きな収納スペースを新設

Before

この部分に新しく収納を設けました。

今回のリフォームで、斜めの壁の内側に新しい壁を造ったため、間に空間ができました。 この空間を収納スペースにすることになりました。

リフォーム前のリビングには収納がなく、物の置き場に困っていたそうです。 大きな物もまとめて収納にしまえるので、お部屋をスッキリ使えるようになりました。

また、2階のお部屋にあった吊り戸棚を再利用し、収納内部に設置しました。 これでこまごました物もたっぷりしまえますね。

お仏壇置き場も造りました

壁を増やしたためにできた空間には、お仏壇置き場も造りました。 I様がお持ちのお仏壇に合わせたサイズで造作したものです。

リフォーム完成後、引き出し式の台の上に、お仏壇の下の部分を置いてみると、ぴったりサイズでした!

I様より

リビングの収納スペースはとても便利に使っています。 最初にご提案いただいた時は、リビングが狭くなってしまうのではないかと心配でしたが、今までリビングに置いていた物がすっかり収納に入りました。かえって広く感じるくらいです。

お仏壇もきちんとお仏壇置き場に収まったおかげで、通路にはみ出て邪魔になることがありません。 すっきり使えるのでとても気に入っています。

座卓もリフォームして再利用!

以前からリビングでお使いだった座卓も、少し手を加えて再利用することになりました。

天板だけが天然木で造られたテーブルでたが、今回、足も天然木に交換しました。 ずいぶん印象が変わり、新しい無垢フローリングとの相性もぴったりです。

天板は、表面を削ってきれいにクリーニングしてから、天然のオイルを塗って仕上げました。 無垢の家具はこうしてメンテナンスできるのがいいところです。

リフォーム前の座卓です。

足を交換して塗装しました。

完成!すっかり見違えました。

使い勝手抜群のI型キッチン

Before

リフォーム前はL型のキッチンでしたが、デッドスペースが多くなっていました。 I様ご家族のキッチンの使い方をお伺いして、今回のリフォームでI型の対面キッチンし、リビングを広々と使うことをご提案しました。

キッチンスペースは少し狭くなりましたが、調理の動線や収納を考慮して、使い勝手の良いキッチンに。 お料理がますます楽しくなりそうです。

キッチン収納は効率性を重視しました

キッチン背面収納は幅1m80cmあり、家電置き場と食器棚としてお使いいただけます。 キッチンの吊り戸は手が届きにくいとのご意見で、取り付けませんでした。 お母様のリクエストで大きめの床下収納を3つ設けています。

食器洗い乾燥機はシンク下に設置することも多いですが、I様邸では調理スペースの下に設置しました。 シンク下なら、シンクでゆすいだ食器をすぐ食器洗い乾燥機に入れられますが、設置位置が低くなるため腰に負担がかかります。 I様は迷われていましたが、調理スペース下への設置を選ばれました。

I様より

食器洗い乾燥機、すごく便利ですよ。

調理スペースの下に設置すると、シンクから食器を移動させるのに水垂れしやすいと聞きましたが、水垂れはそんなに気にならないです。

腰を屈めなくていいので、とっても使いやすいです。 調理スペースの下にして良かったと思います。

雰囲気そのままの玄関まわり

Before

玄関はきれいに整えながら、使えるものは再利用して、リフォーム前と変わらない印象に仕上げました。 住み慣れた方にとっては心がホッとする空間です。

リビングの入り口にあるガラス入りの木製建具は、きれいにクリーニングして再利用しました。 玄関正面の壁には、大きな飾り棚がありました。 耐震補強のためにいったん壊しましたが、補強後に新しい飾り棚を造り、元の雰囲気を再現しています。

安心して上り下りできる階段

リフォーム前は階段に手すりがありませんでした。 いくら慣れているとは言え、手すりのない階段では家庭内事故の可能性もあります。

今回のリフォームで、階段に木製の手すりを設置しました。 これで荷物を持っている時なども、安心して階段を上り下りできます。 手すりには思い切り体重がかかるので、しっかりした下地の箇所に設置しています。

トイレは大きく変わって機能充実

Before

トイレの設備はウォシュレット付きのものに変わりました。 手すりも設置して、安心して使えます。 トイレットペーパーの収納などに便利な棚も造り付けました。

壁の一面をグレーにして、床はコルクタイルに。 他のお部屋とは違い、イメージがガラッと変わっておしゃれになったトイレです。

I様より

トイレも使いやすくなりました。

以前はレバーで流すトイレで、リフォーム後も同じでいいのでは?と思っていましたが、壁のリモコンで操作するタイプに変えました。 使ってみると、座ったままリモコンでトイレを流せるので、とても楽ですね。

両親も動作が少なくて済むのは本当に楽なようで、使いやすいと喜んでいます。

広くなった2階の階段ホール

Before

階段を上がると2階の階段ホールが広がっています。 2階の居室を3室から2室に減らした分、階段ホールのフリーエリアがゆったり広くなりました。

荷物を運ぶ時など、広いスペースがあると安心です。 新しい手すりも、下り口の箇所を縦向きにして、より安全に上り下りできるようにしています。

床にはコルクタイルを採用しました。 リフォーム前の濃い茶色のフローリングに似た色合いで、お部屋の雰囲気そのままというコンセプトにぴったりです。

廊下に収納棚を設けました

2階の廊下には、天井までの高さがある便利な収納棚を設けました。 浴室や洗面、トイレにも近い場所なので、タオルや洗剤のストックなど、水まわりのこまごました物をしまうのに便利です。

収納の扉などの建具は、リフォーム前の建具に合わせたイメージで、新しく造作しました。 違和感なく空間に馴染んでいますね。

浴室と水まわりもゆったり

Before

2階のお部屋を減らしたので、浴室と水まわりも広く取ることができました。

浴室は安全性を考慮して、建物の隅から移動させました。 構造も大きく見直して、浴室の重さをしっかり支えられるように補強しています。

新しい浴槽はまたぎが浅く、出入りが楽になりました。 サイズはゆったり広い1616タイプになり、足が伸ばせるので、お父様が大満足だそうです。

脱衣室では室内干しもできます

Before

洗面台を外に出して、脱衣室が広く使えるようになりました。 脱衣室にベンチを置いて、お風呂上がりに涼みたいというお父様のご希望も叶いそうです。

床は自然素材のコルクタイルです。サラッとした肌触りなので、お風呂上がりに裸足で歩くのも気持ちいいですよ。

また、日当たりがとても良いので、天井にホスクリンを取り付けて、洗濯物の室内干しをできるようにしました。

2階にトイレを新設しました

2階でお休みになるI様ご家族のため、夜中でもトイレに行きやすいように、2階に新しくトイレを造りました。

1階のトイレと同じように、リモコン操作できるウォシュレット付きのトイレです。 手すりも付いて安全に使えます。

トイレの床もコルクタイルを採用しました。 蓄熱性があるので、冬場はほんのり暖かさを感じます。冬の夜にトイレに立っても、足元がヒヤッとすることはありません。

I様のお部屋はおしゃれな雰囲気

Before

2階の洋室はI様のお部屋です。 高級感のあるおしゃれな雰囲気のお部屋になりました。

赤い色味が印象的な床は、ピンカドーの無垢フローリングです。 I様が色の美しさを気に入って選ばれました。

耐力壁を利用したクローゼット

Before

こちらの鏡付きの建具を再利用しました。

耐震性を上げるために設けた耐力壁を利用して、クローゼットを造りました。 扉はお部屋の入り口に設置されていたものを再利用です。 赤いピンカドーの床とも相性ピッタリの扉です。

収納の下部は大容量のクローゼットとしてお使いいただけます。 上部の天袋は季節の物などを収容するのに便利です。

壁に可愛いニッチを造作

壁にニッチ(飾り棚)を造作しました。ちょっとした小物を飾ったりできるのがうれしいですね。

リフォーム前、隣室との境はパーテーションのような薄い壁になっていましたが、耐震補強のため、しっかりした耐力壁を造りました。 壁に厚みが出たので、こうしてニッチを造ることができたのです。

ご両親のお部屋はくつろげる和室

Before

2階の和室はご両親のお部屋になります。 元は洋室でしたが、ご両親がゆっくり休めるようにと和室にリフォームしました。 あらかじめ家具を置く位置を想定してリフォームしたので、お部屋をすっきり使えます。

畳は琉球畳、板張り部分は国産のスギ無垢フローリングを採用しました。 自然素材を贅沢に使った上質な空間です。

インナーサッシとベランダを新設

和室の断熱性を高めるため、窓にインナーサッシ「インプラス」を設置しました。 和室に合うように、風情のある障子タイプのものを採用しました。

また、日当たりが良いお部屋なので、洗濯物を干せるようにベランダを設置しました。 以前は手すりのみで危険でしたが、今後は安心してたくさんの洗濯物を干せますね。

I様より

間取りを大きく変えないことと、元のままの場所をなるべく残すこと。これは、高齢者が住む家のリフォームで、すごく重要なポイントだと思うんです。

リフォーム後に実際に暮らしてみると、スイッチの位置がひとつ違っているだけで、両親は戸惑ってしまうことがありました。 長年この家に住み慣れた両親のためにも、元の家の間取りを大きく変えないでリフォームできたことは特に良かったと思います。

実際に住んでみて、あちこちに住み慣れた家の面影を感じられることは、両親にとってものすごく大切なんだなと感じています。この度はどうもありがとうございました。

インテリアコーディネーター
薄井 歩

予想以上に難易度の高いリフォームでお客様にご心配をおかけしましたが、お引越しを済まされてから快適にお暮らしとのこと、何よりうれしく思っています。東日本大震災の時も、時計が一つ落ちただけと聞いて、安心しました。

お嬢様が中心となって進められていたリフォームで、いつもご両親の気持ちに寄り添われていたのが心に残っています。 お嬢様のご両親への想いは、優しく頼もしいもので、お打ち合わせの度に、私も「家族っていいな」と思いました。

住み慣れた家を、これから先のご家族の暮らしに合わせて、より快適で安全にリフォームできたと思います。 素敵なご家族とご縁をいただき、ありがとうございました。 これからも末永くお付き合いください。

施工責任者
一級建築士
塩谷 敏雄

今回のリフォームで、一番に考えたのは「安心、安全」です。 当たり前に安心できる暮らし、いつまでも安全な暮らしを保証できるよう、しっかり耐震補強を行うことが最大の目的でした。

リフォーム計画の当初は、それほど状態が悪いとは思っていませんでしたが、解体したところ、構造部分の様々な問題が明らかになりました。I様と共に原状を確認し、考えうる技術をすべて発揮し、知恵を絞りに絞って、最善の策を講じたつもりです。

たった2ヶ月の工事期間でしたが、ものすごく印象に残る経験をさせていただいたように感じます。 I様ご家族をはじめとして、協力業者や社内スタッフに到るまで、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。