TOP > リフォーム事例 > スケルトンリフォーム > 築48年・9坪の住宅を耐震+収納倍増リフォーム
■築年数 | 48年 |
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■住宅仕様 | 2階建て木造住宅 |
■広さ | 1階+2階 約18坪(約60㎡) |
■リフォーム内容 |
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■地域 | 東京都江東区 |
この事例のダイジェスト版フォトムービーも公開中!ぜひご覧ください。
50年近いということで、「最近は地震のたびにもうドキドキでした!」とE様。
今回の大きなリフォーム工事で、もう一度構造からしっかり見直して、
耐震性能への不安を取り除きたいとお考えです。
キッチンは建築当時のもの、お風呂も設置されてから既に30年が経過しています。お手入れのしやすい、使いやすいものにしたい!
また、下水の状態もあまりよくないとのことで、上水下水など点検の上、必要な箇所はやり直して改善したい。
新しい間取りは、暮らしやすいということは勿論ですが、耐震性も上がっています。
リフォーム前は、後から行った増築の影響で少しバランスが悪くなっていましたが、今回、改善を行い、バランス良く配された耐力壁が地震の揺れに耐えてくれるように改善されます。
キッチンやお風呂、洗面台といった水周りの設備や、玄関引き戸や室内建具を、メーカーさんのショールームで見ていただきながら決定しました。
建築時の大工さんの仕事も活かしながら、もっと暮らしやすい安心の家に!
E様邸工事の様子をお伝えします。
E様邸は、ご縁でしょうか、私の父親で、建築の師匠でもある先代が、とてもお世話になった大工さんが建築した建物でした。
昭和30年代当時の大工さんが建てた建築物は、図面が残っていないものも多くあります。(当時は「板図」と言って、図面を板に書き込みながら家を建てていました。)
こちらのE様邸も建築当時の図面はありませんでしたが、建物の素性が良い事は、実際にお住まいになっていたE様のお話からもよくわかりました。
建築から50年近くが経過し、増築も行っていた建物でしたが、ゆがみ、狂いはありません。
長く住んでいると、押入れのや仕切りの戸の開け閉めがしづらくなったり、雨戸や窓の開け閉めがしづらくなったりすることがあるのですが、E様邸ではそういった不具合は全く無かった、とE様も仰っていました。
建物も建てた人、メンテナンスに経緯によりけりで、E様邸よりもずっと新しくても、ずっと悪い状態になってしまっている建物も多くありますが、E様邸のように、腕の良い大工さんが、きちんとした材料を使い、正確な継ぎ手が刻まれ、しっかり建築されていれば、50年経っても、狂いは出ないのです。
とはいえ、建築基準法という観点から見ますと、昭和30年代建築の建物ですから、やはり不安はあります。建築基準法は、大きな震災がある度に改正され、進化しているものなのです。
E様がご不安だったのも、やはり、随分前の建物であるから、という点でした。また、増築も行っており、そこに不具合が出ているのではないか?と、お母様は大変心配されていました。
今回のリフォームは、内装や外壁を解体し、構造体だけにする「スケルトンリフォーム」です。
スケルトンリフォームなら、建物の内部も全て確認することができ、その上で、最善の方法で、補強を行い、間取りも変えますので、その新しい間取りに適した構造を改めて造ることができるのです。
こちらでは、その工事の様子をお伝えいたします。
それでは工事の様子をご覧ください!
解体が始まりました!内部の構造を総チェック!
E様邸、解体が始まりました。
床や壁、天井が撤去され、普段は見えない構造部分が出てきました。
E様ご自身が「狂いが無い」とおっしゃっていた通り、建築された大工さんの丁寧な仕事が伝わってきました。
昭和30年代の頃、日本は今ほど豊かではありませんでから、家を建てる際に使用する材木も、すごく良い物が使えたわけではありませんでした。
そうなると、物を言うのが「大工さんの腕」です。
建築当時は、今のような性能の高い「耐震金物」はまだありませんでしたが、正確な継手や仕口を刻み、柱や梁、桁が簡単には外れないように、しっかりと結合されていました。
筋交いのバランスがおかしいというところも、全くありません。
ですから、全く歪み無く、50年を経ても、建具の狂いなどが起こず、雨漏りも無かったのでしょう。
立派な梁が入っていました。
地震などの要因で建物に揺れが生じた際に、支えになってくれるのがこの斜めに施工された「筋交い」です。入るべき箇所にしっかり入っていました。
高さがを充分に取って造られている基礎と土台。50年近く経過していても、傷みはありません。
小舞壁は、竹竿と土壁で造られている日本建築の伝統工法の壁です。昭和30年代前半建築であるE様邸では、まだこの小舞壁が残っていたのですね。(この後、壁の下地はラスボードと呼ばれるものに転換していき、小舞壁は徐々に姿を消す事になります。)
小舞壁はとても丈夫なものなのですが、今回のような大掛かりなリフォームになりますと撤去せざるを得ませんでした。
土が使われているので、撤去の際にはものすごく粉塵が飛び、現場はモウモウになります。マスクが必須です。
良い建物でしたが、増築した箇所にやはり問題が見つかりました
建築された際の状態は良かったのですが、お母様ご自身も「大丈夫かな?」と心配されていた増築部分には、ちょっと問題が発生していました。
昭和30年代の頃は、お風呂は銭湯で、という習慣が一般的でした。 その当時は江東区にも多くの銭湯があったそうで、E様邸もお家にはお風呂を設けず、銭湯を利用されていたそうです。
その後、日本人の生活スタイルは変わって行き、銭湯ではなく、お風呂が各家にあるのが当たり前になり、E様も、昭和40年代の頃、お風呂を後付けという形で増築されたのです。
写真の赤い部分が増築で、1階にお風呂と洗濯機置き場、2階は居室のスペースが拡張されていました。
増築ということで、細長いユニークな形状のお風呂でしたが、便利にお使いであったそうです。しかし、元の家にくっつける形での増築、お母様としては、別の建物同士を無理やりくっつけているみたいだわ、と心配がおありだったそうです。
●増築部分には基礎がありませんでした
解体してみますと、ご心配の通り、ちょっと心配な状態であったようです。
もとの建築の部分には、しっかりと基礎と土台がありましたが、増築部分には基礎・土台が無く、足元が弱い状態でした。
※写真、手前にある土台と基礎が元の建築部分との境です。奥の増築部分は基礎が造作されなかったようです。
●排水管に水漏れが発生していました
リフォーム前のお客様の大きな希望の一つが「水道をちゃんとしたい」ということでした。特にお風呂のお水が流れにくくなってしまっており、お母様の悩みでした。
解体して確認してみましたところ、排水管が詰まってきてしまっていました。
原因は管の接合部のズレでした。その為、水が流れづらくなっていただけでなく、水漏れも起こってしまっていたのです。
水漏れを起こしていた接続部分。
錆びてしまい、傷んでいるのがわかります。
E様邸が増築を行ったのは昭和40年頃。当時は、昔ながらの土管の管が使用されていました。
土管も、長く排水設備として使用されてきた優れた設備ではありますが、地震のような動きで負荷がかかった際、管と管の継ぎ目に隙間が出来てしまいやすいのが難点です。
E様邸も、土管に隙間が出来てしまっており、そこから水漏れと詰まりが発生してしまっていたという訳です。
今回のリフォームで管も全て引き直し、水漏れの問題も解消します。
●水漏れ+基礎の不足によるシロアリ被害が見られました
こちらの増築部分は、基礎や土台が設置されていなかったこともあり、建物が地中に流れ出した水分の影響をもろに受けてしまう状態でした。
その為、シロアリの被害が既に発生してしまっていました。
シロアリ被害のあったこちらの壁面は、今回、一旦全て撤去を行い、新しく造り直しをします。
しっかり補強していきます
解体が終わったところで、いよいよ補強が始まりました。
E様邸は、かなり良い状態ではありましたが、既存の壁を取り払ってしまうので、やはり強度は落ちてしまいます。
補強がしっかり終わるまでは、要所要所に仮補強をしながらの慎重な作業となります。
工事の折々には、E様にも進捗状況をご確認いただき、実際にお住まいになるE様にとって不透明な事が無いように進めます。
補強を行いつつ、まずはユニットバスの設置
今まで増築部分に在来のお風呂があったE様邸。リフォームでユニットバスに変わり、お風呂の位置も変更になります。
このユニットバス、住宅の中でもかなり大きなエレメントになります。
工事が進んでからでは中に入れられなくなってしまうため、かなり早い段階で設置します。
ユニットバスの浴槽を裏から見たところ。黄色い断熱材が付いています。
まずはユニットバスの周辺の補強、土間打ちを行います。
そして断熱材の施工を行い・・・
まずは浴槽が入りました。
四角いユニットを組み立てます。
上手く入りました。
構造の柱や筋交いが立つ中、ユニットだけ出来上がっているというちょっとユニークな光景です。
基礎&土台の工事
建物を支える足元になる土台と基礎。今回のリフォームで、現代の建物の基準に合わせたものにします。
また、増築されていた部分、こちらには基礎土台がありませんでしたので、今回しっかりしたものを造り、母屋と繋げます。
増築部分の基礎&土台工事
増築された部分は基礎土台がありませんでしたし、シロアリの被害も見られましたので、まずは写真のように、上にあったものを全て撤去しました。
ガレキも撤去され、綺麗になりました。
下が全部無くなってしまっているので、このままだと上が崩れてきてしまいます。
写真のようなパイプサポートで仮補強しています。すごく丈夫なつっかえ棒のようなものですね。
そして新しい基礎を造ります。まずは立ち上がりの基礎から。型枠が組まれました。もちろん鉄筋もしっかり入っています。
コンクリートが流し込まれ、上には、基礎と繋がる土台も設置されました。
この新しい土台と繋がる、新しい柱が早速立てられます。
土台と柱は、耐震金物でガッチリと結合。強い力がかかっても抜けたりはしません。
母屋の基礎&土台の補強工事
こちらは母屋の部分。
基礎がしっかりと造作されていますが、こちらのお宅が建築された当時の工法による基礎であり、地面には、いわゆる今の様な「ベタ基礎」は無く、床を取ると、地面が見えます。
今の住宅は、下に耐圧盤と呼ばれるスラブ面を造り、足元を強固に支えることが望ましいとされています。
そこで、もとからある立ち上がりの基礎(かなり高さのある立派なものでした)を活かしつつ、耐圧盤で補強するという形を取ることにしました。
こちらの母屋は、既存の基礎、そして土台の状態も大変良かった為、間取りの変更や補強で、交換をする箇所以外は、再利用することになりました。
防蟻処理をして、柱や筋交いとの接合部分に金物を設置、より強固なものにしました。
地面の湿気がコンクリートに影響を及ぼさないように、防湿シートを敷きます。
ミキサー車(左)ポンプ車(右)がやってきました!基礎を打つ際は、公道を使用するために道路使用許可を取り、ご近隣様へも挨拶します。
コンクリートが流し込まれます。
表面が丁寧に均され、出来上がりました。
土台と繋がり、床を支える「大引き」。 こちらの本数も、リフォーム前に比べると増やしています。
大引きを支えるための「床束」です。 少し前は、四角い石などを使用していたのですが、今はこのようなコンパクトで丈夫な金具が使用されております。
シロアリがやって来ないように、防蟻剤を塗ります。
土台や大引きの外側に、細い板のようなものが添えられているのがおわかりでしょうか?これは、床のレベル(水平)を整える為のもので「根太掛け」と呼ばれます。
柱や筋交いと土台がしっかりと固定されました。
柱・筋交い・梁の補強
E様邸が最初に建築された時代、昭和30年代は、耐震診断や耐震強度を数値化するなどということはありませんでした。
だからといって、当時の工務店が行った建築が必ずしも耐震性が低いということではありません。数値化できないとしても、優れた棟梁が手掛けた建物の中には、優れた耐震性能を持った建物もあります。
ただし、エコリフォームで耐震補強を含めたリフォームをする場合は、計算ソフトを使って耐震性能をきちんと構造評点として数値化します。
構造評点は、高いに越したことはありませんが、目標とする数値は、1.0以上です。1.0の数値は、震度5の地震で倒壊しない、震度6の地震で人命が奪われないということです。
今回のリフォームでも、構造評点1.0をクリアする計画をご提案しました。 そのために柱や梁の補強、筋交い、耐力壁を増やすといった工事をしっかり行います。
柱の補強・交換・新設
今回のリフォームで、間取りが大きく変わるのに合わせ、柱を入れ替えたり、既存の柱に新しい柱を噛ませて強度を上げる、といった補強を行いました。
こちらは、柱交換の様子です。新しい柱を入れる為に、前の柱をスコンと抜いてしまうのは、非常に危険です。 柱によっては、抜いてしまう事で建物のバランスが一気に崩れる事もありえます。
その場合、どのように交換をするのか?と言いますと、 上図のように仮柱を使い、支えが取れないようにしながらの慎重な作業になるのです。
1階から2階まで1本で繋がった柱なのが、写真でおわかりいただけるでしょうか。
1階の土台から2階の軒までを通るこの長い柱は、木造軸組み構造の建物では特に重要な構造材の一つです。
基本的に抜いてはいけない柱なのですが、家の状態によっては、この通し柱に深刻なシロアリ被害が発見され、交換を余儀なくされる場合もあり、それは非常に危険が伴う慎重な作業になります。
E様邸の通し柱は傷みが全く無く、立派な状態でしたので、そのまま残し、筋交いで補強したり、横に新しい柱を抱き合わせるといった形を取って、補強いたしました。
色が濃いものが残す柱、白いものが新しい柱です。実際に解体して、建築士が状態を厳しい目で確認し、交換したり残したりといった判断を行い、正確に施工されます。
こちらは2階です。新しい間取りに合わせて柱が立てられていますね。
1階の、土台に近い下方部分には、シロアリ防止のための防蟻剤が塗られました。
木は、質の良いものが使用され、きちんとした施工をされていて不具合が無く、かつ、(この条件が結構厳しいのですが)シロアリ等の被害が無ければ、 とても長持ちする素材です。
実際、木造の寺社仏閣など、大変古い建築が沢山残っています。世界遺産の法隆寺などは修繕を行いつつも、何と1000年です!
あまりに傷みが進んでいる場合はほとんど交換、なんていうこともありますが、状態が良い場合は、無理に交換を行う事は却って危険を伴うので、出来るだけそのまま使用させていただくことも多々ございます。
筋交いの補強・新設
筋交いの補強も非常に重要です。この筋交いがバランス良く入る事で、地震の揺れに対して粘りを持って耐える建物になります。木造軸組工法の建物にとって、この筋交いのバランスというのは、とても大事なポイントになります。
リフォーム後の間取りにあわせ、新しい筋交いを入れるのは勿論、既存の筋交いの補強も行います。
昭和30年当時は、今の住宅では基準となった耐震金物は無く、クギを打ち付けて固定がされていました。接合の為の耐震金物が義務化されたのは、平成12年の建築基準法改正の時です。
今回はせっかくスケルトンですから、建築当時のもの筋交いも、専用の金物で改めてしっかり固定いたしました。
梁の補強
2階や屋根の重さを支える為に必要なものが、梁です。 梁があることで、2階からかかる力を、1階の柱へと分散してくれます。
梁は、下階の空間の広さや、上からかかる荷重によって、太さが変わります。梁が細いと、上階の重さが支えきれず、床がたわんでしまうこともありえるのです。
E様邸ではそんな事はありませんでしたが、リフォーム後は2階にロフトが出来るため 、今までよりも強固に、2階の重量を支えるようにしなければなりません。
建築当時の梁も活かしつつ、場所によっては新規の梁も入れて補強を行いました。
太い梁が2階と屋根の重みを支えます。
こちらでは、既存の梁が補強されています。
こちらは2階ロフトを支える梁です。
耐震金物の設置
筋交いの項にも書きましたが、建築基準法で、接合の為の耐震金物が義務化されたのは平成12年のこと。 当然、昭和30年代の建築のE様邸では、耐震金物は使用されていませんでした。
耐震金物は無くとも、当時の腕の良い大工さんがノミで刻んだ正確な継ぎ手、仕口は、そう簡単にスポッと外れてしまうものでは無く、当時あった最良の金物で結合されてはいました。
が、やはり、設置した方が強度は上がりますし、耐震診断をする際に出る「構造評点」も、はっきりと出す事ができます。
この耐震金物も、年々研究が進められ、様々な種類が登場しており、それぞれ適した箇所があります。梁と柱、筋交い、土台、桁の結合部に、それぞれ、その箇所に適した金物を取り付けしました。
梁と柱、筋交いを繋ぐ耐震金物を、大工が設置中です。
こちらは筋交いと柱を繋ぐ専用の金物です。
場所によって適した金物が違うため、使い分けながら施工します。
木材と木材の接合部分のこと。 木材と木材の接合部分のこと。
現在は「プレカット」と呼ばれる機械による加工が主流になってきましたが、昔は大工さんがノミやノコギリで丁寧に刻んでいたのです。
昔の大工さんの刻んでいた継ぎ手、仕口は、現在の住宅に比べると、長さがあり、より強固に結合するようになっていました。 今でもそういった技術は伝承されていますが、一般の住宅ではあまり見なくなってしまいました。
耐震金物は、耐震性を上げるという面で意味があるものであるだけでなく、簡易化するためのものでもあるという訳です。
※写真は、機械のプレカットによる継ぎ手です
火打ちの補強
建物の角になる部分に設置することで、揺れを抑えてくれる効果のある「火打ち」です。もともと施工されていた火打ちに加え、鋼製の火打ちの追加を行いました。
屋根の葺き替え
今回のリフォームでは、軽い素材で大屋根に葺き替える計画をご提案しました。
E様邸のリフォーム前の瓦の屋根は、割れや、ズレなどはなく、雨漏りをしたこともなく、決して悪い状態ではありませんでしたが、増築部分の屋根の傷みがありましたし、現代の個人の住宅において、より耐震性を高めるといった目的として有効な手段なのは、やはり屋根の軽量化です。
例えば、収納棚であっても、一番上の棚にだけ重い物を入れてしまった場合、グラグラしてしまいます。家も同じ事が言えるのです。
今回のE様邸のリフォームでは、屋根裏にロフトを造作しますので、 屋根の軽量化は必須でした。
長年活躍してくれた瓦の屋根の撤去中です。今までありがとうございました。
新しく葺く屋根の為の下地が造られます。
屋根は雨漏りが起こりやすい箇所なので、しっかりと防水シートを。
そして軽量で丈夫なアスファルトシングルの屋根が葺かれました。上のスキマは、わざと開けている通気の為のものです。
通風穴はそのままにはしません。屋根のてっぺんに取り付ける「棟包み」を設置して完成です。
拡大するとこのような仕上がりです。薄い屋根材なのですが、丈夫さに優れたアスファルトシングルは、北米から入ってきた屋根材で、近年は日本でも普及が広がっています。
外壁を新しく
外壁に貼るパネルも、耐震性のあるものになり、強度が上がります!
中央の写真で、壁に貼られているグレーのパネルは「ラスカットパネル」という外壁材です。 外壁の下地として使用される構造用合版に、防水膜+特殊セメント凹凸層を重ね、これを貼るだけで外壁の下地と、モルタルの下塗りまでの工程を行ったのと同じ状態になります。
耐震性、防火性に優れ、安全性もUPです。
水道も全て引き直しを行い、環境改善!
E様の心配の種の一つであった、排水。お風呂の水が流れにくくなっており、何か問題が生じているのでは・・・とおっしゃっていました。
リフォーム前のE様邸で使用されていた排水管は「土管」でした。 当時の排水管としては一般的なもので、質の悪いものではありませんが、最初の建築からは48年、増築してからも40年近い年月が経過してきておりますと、さすがに寿命です。
土管は60センチの長さで作られ、それを何本も繋いで長い管にしています。これが古くなってくると、その結合部分がどうしても外れやすくなってきます。
E様宅の排水を外の道路まで出す為の土管の排水管は、地面に埋められて設置されておりましたが、地中で接合部にズレが生じており、水漏れと詰まりが生じていたのでした。
水漏れすることで、地中はいつもジメっと水を含んだ状態であったのでしょう。そこからシロアリ被害を招いており、詰まりは、E様も気にしていらしたお風呂の排水問題の原因になっていました。
今回行ったスケルトンリフォームでは、壁や床を全部撤去しますので、排水管だって全部新しくできちゃいます。
古い土管は全て撤去。そして、近年の住宅で標準になっている、外れにくい塩ビ管に変更を行いました。
新しく引き直された水道管。白い管は、ガス管です。
こちらは、新しくなるお風呂(ユニットバス)の下に管を通しているところ。黒い細い管は給湯管です。
2階にもトイレや洗面が着きますので、水道管が上まで通ります。
※銀色の太い管は水道ではなく、換気扇のダクトです。
現代の暮らしに合わせて電気のリニューアル
こちら解体後のE様邸。上を通っている線が、今まで使用していた電気配線です。
昔懐かしい形の可愛らしい「碍子」を使って、宅内の必要な箇所に電線を通していました。
現在では、家庭で使用する電気量がとても増えました。 その為、たまに容量オーバーしてしまうことがあったそうで、以前はよく、ヒューズがバツンと飛んでしまっていたそうです。
今回のリフォームではキッチンをIHにされますし、容量UPは必須です。
それだけではなく、コンセントの位置も、今後の暮らし方を伺いながら大きく変更、必要な場所に必要なだけ設置しますから、電気配線自体が大きく変わります。
いつもお世話になっている電気屋さん、考和電気さんです! お祖父さんの代からのべテランの電気屋さんです。
内装が出来てきてしまってからでは電気配線は出来ませんので、まだ構造がむき出しの状態の時に配線を行ってくれます。 ロフトにも照明が付きますので、確認してくれているところです。
工事が進み、壁がついたところ。コンセントになる位置に電気配線が通ってきていますね。
過ごしやすいお住まいにするための断熱工事
昭和30年代の一般の住宅では、断熱材が一般的ではありませんでした。 E様邸も、やはり断熱材は入っていませんでした。
断熱が入っていないと、夏は外部の熱、冬は外部の寒さが宅内にまで影響し、 快適にすごす為には、暖房、冷房といった空調を強く効かせなければならなかったと思います。
今回のリフォームで、断熱材を壁、床、天井に施工し、暑さ、寒さの影響の少ないお宅に生まれ変わります。
壁と天井の断熱に使用したのはパーフェクトバリア。ペットボトルの再生で作られていて、湿気に強く、長持ちです。
断熱材が湿気てしまうと、その重さで下にへたってしまう事がありますが、その点、パーフェクトバリアは安心です。
床に使用したのは、こちらの床断熱材「フクフォーム」。
床下ってものすごくヒヤッとしているんです。 その為、床に断熱が無いと冬は床からの寒さに悩まされますがもう安心!
リフォーム後は、お母様のお休みスペースが1階になりますが、夏も冬も快適に過ごせる空間になりました。
外気の影響を受けやすい窓も全部交換
窓も、古いものは今回全て撤去し、断熱性の高い複層ガラスに変更。
複層ガラスは二枚のガラス間にほんの少しの隙間を開けて合わせたもので、 この隙間が外部の寒さ暑さの影響を軽減してくれるのです。
昔ながらのシングルガラスより厚みがありますので、サッシごと交換する必要があり、外壁と干渉するため、窓だけ交換する場合でも、壁を壊す必要が出てきますが、今回のようなスケルトンリフォームであれば、一緒に全取替えできてしまいます。
ガス管の引き直しで思わぬ所まで改善できました
ガス管も、古くなっていたので引き直しをすることになりましたが、ここで問題発生です。
宅内のガス管工事を行う際、何と、宅外、公共道路の下を通る公共のガス管に漏れの恐れがあることが、わかったのです。
地面を掘ってみたところ、ガス漏れにより土が変色していました。これは非常に危険な状態で、何かの拍子で引火してしまったら火事が起こってしまっていたでしょう。
緊急を要したので、すぐに東京ガスさんによる改修工事が行われました。
今回のような大掛かりな工事をすることでわかった事なので、本当に良かったです。
内部造作・外壁仕上げ・内装...完成に近づいていきます!
内部の造作が進みます。こちらはキッチンカウンターの骨組みが造り始められたところ。
キッチンが搬入され、組み立てられます。造りかけのカウンターの周りに置かれているのがキッチンのパーツ。搬入時はこのように、まだバラバラなのです。
完成に近い形になったキッチン。ぐるりと取り囲むように収納も出来ました。
こちらでは、窓枠を造作中。床のフローリングに合わせて明るい色合いの天然木の枠になります。
こちらはお母様のスペースになる箇所です。最も腰をかけやすい高さになるように、実際に座っていただき計っているところです。
「そうねぇ、このくらいが、丁度いいわねぇ」
こちらは2階。上のロフトが出来上がってきています。
お客様にもご覧頂きました。「広いですね!」とお喜びです♪
一度撤去し、架け替えをした階段。以前よりかなり緩やかな傾斜になり、安心して上り下りできるようになります。
木部のオイル塗装を行っています。天然の木なので反ったり割れたりするのを防ぐ為に、こういった仕上げが必要なのです。
クロス(壁紙)が張られ始めました。E様邸では自然素材である和紙壁紙「玉紙」を採用しました。和紙の壁紙は、季節によって伸縮するという特性があるため、縮む時期にスキマが出来てしまわないような、丁寧な施工が必要になります。
壁紙が入るとパッと印象が明るくなりますね!
E様邸リビングに合わせたサイズのテーブルが造作されました!
外部の仕上げ工事の様子です。上で紹介したラスカットパネルの上から、モルタルのための下地が塗られたところです。ラスカットだけでも強さとしては充分なのですが、ツルッとした美しい外壁に仕上げる為には、この下地塗りが必要なのです。左官職人さんが丁寧に仕上げた下地が凹凸が無くとっても綺麗です。
モルタルは二度塗りで仕上げます。まず1度目。
2度目が塗り終わったところです。独特の風合いのあるモルタル壁が出来上がりました。
玄関と、エントランスのタイル張り。角のところも丁寧に。このような箇所が丁寧に出来ているかいないかで、印象が随分変わってしまうんです。
そしてついに、外壁を覆っていたシートが取り外されました!もう、お引渡しの日は間近です!
着工から3ヶ月!
ついいにE様邸のスケルトンリフォーム完成です。
3ヶ月の工事の間、お近くで仮住まいをいただいていたE様。大変ご不便をおかけいたしましたが、ついにお引き渡しとなりました。
48年前にこちらに建築されてから、ご家族、そして移りゆく街の歴史を見守ってきた大切なお住まいをお任せいただき、感謝いたします。
まずは図面のBEFORE→AFTERからご覧ください
リフォーム前のE様邸はこのような間取りでした。
建築された48年前の頃の家の標準的な形ですが、
スタイルが多様化した現代の住宅のようにしようと考えた場合、
改善できる点が多くありそうです。
階段の奥行きも狭く、勾配急であったことがわかります。
左側のお風呂は後からの増築のため、かなり細長い、少し使いづらい形状となっていました。
48年前のお住まいであることから、オープンな間取りではなく、
キッチンも角に配置されており、暗いスペースになってしまっていました。
それでは、1階から完成の様子をご覧ください!
お母様の生活動線がずっとスムーズになった1階リビングダイニングキッチン!
間取りを全く新しく変え、動線がスムーズになった1階からご覧頂きます!
玄関ホールと繋がるように配置されたリビングと奥のキッチンスペース。 こちら、ご家族の団欒の間、兼、お母様の生活スペースとして計画いたしました。
お母様が将来的に階段を使わない生活ができるように、お休みになる場所をリビングの一角に設け、キッチンやお風呂、トイレへの行き来がとってもラクになりました。
玄関との境の引き戸がいっぱいにオープンになるのも良いところです。来客などが無い場合は、オープンにしておくと行き来が楽ですし、視覚的にも広さを感じることが出来ます。
生活のシーンに応じて、リビングと玄関ホールを繋げたり仕切ったり。自由に使い分けが出来て、限られたスペースを有効活用!
玄関と居間の間を仕切る引き戸は、二枚とも戸袋に引き込むことができる仕様です。
二枚とも開けると、リビングとの繋がりが出て、視覚的に広がりを感じることができますし、冬の寒い時期や、夜の遅い時間などには、仕切りを閉めれば、個々のスペースとしてお使いいただけます。
9坪のスペースを、出来るだけ広々とお使いいただけるように考えた工夫です。
実際にお暮らしいただいた後にお聞きしたお話では、普段は開けて、広々とされていることが多いそうですよ。
● 天井が少し高くなり、視覚的に広さを感じます。
玄関と居間の間を仕切る引き戸は、二枚とも戸袋に引き込むことができる仕様です。
二枚とも開けると、リビングとの繋がりが出て、視覚的に広がりを感じることができますし、冬の寒い時期や、夜の遅い時間などには、仕切りを閉めれば、個々のスペースとしてお使いいただけます。
9坪のスペースを、出来るだけ広々とお使いいただけるように考えた工夫です。
実際にお暮らしいただいた後にお聞きしたお話では、普段は開けて、広々とされていることが多いそうですよ。
● 通風を考えた窓が二箇所。リビングを風が通り、防犯もOK。
リビングの窓は、夏などは出来れば開けておきたいところですが、窓の外がすぐに公道になっているため、窓を開けてしまうと人目が気になりますし、防犯的にも不安があります。
そこで、上にもう一つ、横に細い窓を設置し、こちらで通風を行えるようにしました。
下のメインの窓、上の通風の窓ともに、ペアガラスの窓になり、断熱性も上がりました。エコポイントも申請し、受け取る事ができましたよ。
メインの窓は、スッキリ目隠しが出来るように、ロールスクリーンを設置。 無垢の明るい色合いに合うベージュカラーをお選びになりました。
自然素材に囲まれた、心身ともに快適な空間です
とっても明るくてナチュラルな印象のE様邸。内装には厳選した自然素材を使用しています。
★無垢の樺桜(カバザクラ)フローリング
床には、樺桜の無垢フローリング。明るい色合いが人気で、採用する機会の多い素材です。
樺は広葉樹の中でも比較的柔らかさのある木材なので優しい足触りで、直接床に座ってもOKです。
天然の木材の場合、キズが付きやすいという点がデメリットになります。 そのキズも味わいと捉える方も多くいらっしゃいますが、そこはやはり個人の好みがあります。
お客様には、素材のメリットデメリットをよくご説明してから採用させたいただきました。
仕上げはドイツ・リボス社の天然オイルを塗布し、しっとりとした手触りです。
★和紙壁紙の「玉紙」
壁には和紙壁紙の「玉紙」を使用しました。
一般的な和紙は、水でぬれた際、その水を通してしまうのですが、こちらの玉紙は表面の特殊加工により水を通さず、それでいて、和紙の持つ「調湿性」に優れるという、画期的な自然素材壁紙なのです。
ビニールクロスは水を通しませんが、調湿性がありませんし、空気も通しません。
調湿性があって、空気は通すのに、水は弾いてくれる玉紙は、良いとこ取りの素材なのです!
★天然木「桐」の建具
室内の引き戸や扉には、桐の突き板で造作した建具を採用しました。
暖かみのある天然の木の木目が、無垢のフローリングと相性ピッタリです。
桐は軽い木材なので力を入れず開閉できるのも、嬉しいところですね。
★水周りの床にコルクタイル
洗面室、トイレといった水周りの床には、水に強い自然素材の「コルクタイル」を採用しています。
コルクタイルは、足さわりが大変ソフトであるというのも大きな利点です。お風呂上がりなど、素足のときが多い水周りにぴったりの素材です。
リビングと直結していて、使いやすい!お母様のスペース
いつも笑顔いっぱいのお母様はまだまだお元気でいらっしゃいますが、将来のことを考えると、今回のリフォームで、できるだけ2階へは上がらなくても良いようにしておけば安心です。
そこで、お母様がお休みになる為の専用スペースを、1階のリビングの一角に設けました。
コンパクトですが、 下に大容量の収納を設け、手元照明のためのコンセント、ちょっとした本などを置ける棚も完備。畳は、国産イグサのエコ畳です。
家にいる時間が一番長いお母様、このスペースを基点にしてキッチンやトイレ、お風呂に行くのがとってもラクになりました。
● ロールスクリーンで目隠しできます。
お母様はご近隣に同世代のお友達が多く、こちらのお宅でよくお茶会などもされるそうですが、そういった際には、ロールスクリーンを下ろせば、お布団の目隠しもできちゃいます。
優しいイエローベージュのロールスクリーンは、無垢との相性ぴったりですよ
● 下には奥行きのある引き出し収納!
ベッドくらいの高さのあるこちらのスペース、下は、ご覧の通り、奥行きのある広い収納を用意しました。
お母様が個人的に使用されるものなどをこちらに収められるそうです。
● 風通しも良いスペースです。
お部屋の上部に、横に細長い窓を設けました。
この細長い窓、リビングの大きな窓の上にも付いており、両方を開けると、気持ちの良い風が通ります。
暑い時期でも夜にはあまりエアコンを使われないお母様ですが、お休みになる場所を風が通り過ぎると、とても快適で、爽やかにお休みになることができます。
● 手元照明の為のコンセントも。
お休みの前に本を読んだりされる際には、手元に照明があると便利です。こちらの棚の一番下に、コンセントを設置し、照明や携帯の充電などをしていただけるようになっています。
国産イグサのエコ畳で安心
畳は安心の品質、国産のイグサを使用した「エコ畳」です。
外国産のイグサを使用した畳には農薬が過剰に使用されているいうケースも多いため、エコリフォームで畳を敷く場合には、必ず国産のものを使用しています。
● 大切なお仏壇のスペース。
こちらは、ご家族にとって大切なお仏壇のスペースです。
家紋入りの飾りガラスに注目です!こちら、リフォーム前から大切にされていたものを、 お母様のご希望で再使用しています。
また、こちらの部分のみ、壁紙のお色には紺色の和紙壁紙を採用し、インテリアのアクセントになっております。
さらに下には収納スペースを儲け、お仏壇周りに必要なものを収納できるようになっています。
窓は1階2階すべて、断熱性のあるペアガラス
今回のリフォームで、E様邸の窓は全てペアガラスに交換となりました。
2枚の窓が合わさってサッシにセットされているタイプのもので、シングルガラスとは断熱性が全く違ってきます。
シングルガラス→ペアガラスに交換する場合、サッシの厚さが変わってきますのでガラスのみの交換は出来ず、窓サッシごとの交換となります。
窓サッシは外壁の一部ですから、交換をする場合は外壁との干渉は避けられず、 窓周囲の外壁を一部壊して補修や補強を行う必要がありますが、 E様邸のようなスケルトンリフォームの場合は外壁も行ってしまう事が多いため、一度に工事することができます。
1階だけでなく2階も全てペアガラスですよ。
こちらの窓の改修工事は、工事中に国土交通省が行っていた「住宅エコポイント」の対象工事だったため、申請を行い、ポイントを受け取ることができました。
とっても機能的で収納力抜群のキッチンスペース
リフォーム前は、北側の隅に配置されていたキッチン。
今回、位置を大幅に変更し、E様待望のリビングとの対面スタイルに! さらに、周辺設備もとても使いやすく変わりました。
以前のキッチンスペースは収納にお困りでしたが、 新しいキッチンは、手元、背面、床下、カウンターと、収納がいっぱいです!
● 高いところの物もラクラク!昇降収納の付いたタカラスタンダードキッチン。
新しいキッチンはタカラスタンダード製のものをお選びになりました。
タカラさんといえば、何と言ってもお掃除やお手入れのラクラクなホーローキッチンが特徴!表面にガラスを高温で吹きつけているため、変色もなく、白いキッチンを選んでいただいても、ずっと新品のような白さを保つ事が出来ます。
このお手入れが簡単というポイントは、ご高齢の方がいらっしゃるお宅に設置する設備としては大事なポイントです。
さらに、E様邸では、昇降式の収納機能も付けました。
キッチンとセットで設置することが多い吊戸収納ですが、位置が高すぎて結局使用しない・・なんていうこと、ありませんか?
E様邸のような昇降機能をつければ出し入れラクラクで、負担がありませんので食材のストックなども気軽に収納できますよ。
また吊戸の下に付く形で「アイラック」収納も設置。 おたまや菜箸のような調理器具や、ちょっとした調味料を収納すれば、とっても便利ですよ!
● お料理の作業の助けになる広めのキッチンカウンター。
キッチンのまわりを囲むようにL字型のキッチンカウンターを造作しました。
東京都内では、家の広さに限りがあり、幅の広いキッチンを採用するのが難しいケースも多くあります。
そんな時は、こうしたカウンターを作成するのがおすすめです。
お料理をする際にお皿や、調理の道具をこちらに置けますので、作業がしやすくなりますよ。
● カウンターの下は全てオープン収納。
E様邸ではこのカウンターの下もL字全面にオープンな収納棚を造りつけています。
計画当初は、こちらの事例のように、カウンターテーブルにするという案もありましたが、E様は収納力の方を重視されました。
● 床下にも大きな収納を。
床下収納も完備しました。
床下には、日持ちがするようなものや、洗剤のストックなどをしまっておくと便利ですよ。
このようにとっても便利な床下収納ですが、設置される際は湿気対策をお忘れなく!
● 家電収納スペースも計画的に。
キッチンの背面は、冷蔵庫の収納スペース、 電子レンジや炊飯ジャーを設置する収納棚をぴったり入れられるように計画しています。
お持ちのもの、購入を予定されているもののサイズに合わせていますので、無駄スペースが生じません。
冷蔵庫置き場などは、上がデッドスペースになりがちですが、棚を設けていますので こちらにも物を置く事が出来ます。
キッチンの背後に洗濯機置き場と乾燥機のスペースを配置し、家事動線ラクラクです!
キッチンの斜め後ろに洗濯機置き場、そして乾燥機のスペースを配置しました。
家事をする際、キッチンで作業をしながら洗濯機を回す事って結構多いので、 キッチンの近くに洗濯機置き場があるのは、家事動線を考えるととっても便利なんです。
洗濯機の上には、現在お使いのガス乾燥機「乾太くん」を設置する為のスペースも完備。ガス乾燥機なので、ガス栓も用意しましたよ。
※E様邸では、洗濯物をこの乾燥機で乾かしてしまうとのことで、ベランダは設けませんでした。
● 人目に触れないように建具で目隠しできます。
キッチンの後ろで使いやすい洗濯機置き場ですが、リビングから見えてしまっては、来客の際などに気になってしまいます。
そこで、こちらの洗濯機置き場は、引き戸建具で目隠しできるようにしました。
天然木である桐を使った建具です。 桐はたいへん軽いため、こちらの建具も力を入れずに軽く開閉することができるのが嬉しいところです。
桐は湿気にも強い素材なので、水周りの目隠しとしても適しています。
● 洗面台もこちらです。
洗濯機置き場のお隣には洗面台を設けました。 洗面脱衣室としてお風呂の隣に設置するパターンが多いのですが、 スペースの都合上、こちらに設置いたしました。
物を出し入れしやすい、スライド式の収納の洗面台を採用。
開き戸の収納は奥のものが出し入れしづらく、手前にしか物を置かない・・なんてことになる場合もありますが、スライド式収納なら、奥までしっかり収納することができます。
● 網戸入のお勝手口でいつでも通風。
キッチンの横からすぐ外に出られるような形でお勝手口を設けました。
ゴミ捨てに出たりするのがとってもラクです。
こちらのお勝手口の扉は、カギをかけたまま、格子付きの網戸に出来るものを選びました。
キッチンはニオイなどがこもりやすいですが、こちらのお勝手口でいつでも空気の入れ替えができますし、防犯面でも安心なのが嬉しいですね。
いろいろな「便利」を集めた水周りスペース
● ゆったりしたお風呂。
以前はお風呂が増築されていました。
こちらのお宅が建築された当初は、銭湯がまだ一般的でしたが、 その後、お風呂が各家にあることが主流になってきた頃に、増築で設置されていたのです。
その為、ちょっと変わった細長い形状のお風呂でした。
全く新しくなった間取りにあわせて、新しく設置したお風呂は、リフォーム前より随分広くなり、ゆったりしたユニットバスです。
優しいライトブルーの色合いも爽やかで、毎日の疲れをゆったり癒せる空間です。手摺も完備し、安全です。
● 空間がすっきり!タンクレストイレ。
トイレは、省スペースで、お掃除のしやすいタンクレストイレ。
タンクが下に来る形状の為、凸凹があまり無く、お手入れがしやすいんです。
スペースの都合上、脱衣場に洗面台を設置するのが難しかった為、 トイレの中に小さな手洗いを設置しております。
● 省スペース建具。
脱衣室から繋がるトイレの建具です。
最も省スペースになるのは、引き戸なのですが、 引き戸に必要な戸袋を設けるスペースは足りませんでした。 かと言って、開き戸にしてしまうと、お風呂のドアと干渉し合ってしまいます。
そこで、こちらのスライディングタイプのドアを採用!
開け閉めをする際、通常の扉の半分のスペースしか使いません。 軽くて開閉がしやすいのもポイントです。
● 天井までの収納。
お風呂やトイレ周りは、いろいろ備品が必要です。
こまごましたものを収納できるように、脱衣室に天井までの収納を設けました。
● 便利なホスクリンを設置。
天井に設置されている輪っかの付いた器具は「ホスクリン」。洗濯物などをかけるのに大変便利なアイテムです。
ホスクリンは重いものをかけることが多いので、しっかり固定していないと抜けてしまう恐れがあります。 設置の際は、上に梁が通っている箇所に設置すると安心です。
こちらのお宅でも、天井の上は梁のある箇所になっているんですよ。
ホスクリンはいつでも取り外し可能なので、使用しない際には外してしまっておけます。
明るくフレキシブルに使えるようになった玄関スペース
● 廊下を無くして居住空間を広く取りました。
リフォーム前は、玄関の先に廊下がありました。
廊下は、ご家族の人数が多いご家庭であれば合った方が良い場合も多いですが、 現在のE様のお暮らし向きを考えますと、あえて削って、その分、収納や居住のスペースを広げた方が、使い勝手が良いようでした。
そこで、玄関ホールとしてのスペースを残し、廊下を無くすことになりました。
階段への上り口はホール内なので、お嬢さんが夜間にご帰宅されたときなどは、 お母様がお休みになっている居間を通ることなく、2階へ上がって頂けるようになっています。
● 天井までの下足入れ。
おしゃれなE様。ブーツからパンプスまで、沢山の靴をお持ちなので、下足入れは天井いっぱいまでのものを造作しました。
中棚も多く用意しました。靴の高さに合わせて仕切っていただき、無駄スペースを造ることなくお使いいただけると思います!
傘も収納できるようになっておりますので、玄関をよりスッキリお使いいただくことができますね。
● 玄関正面のクローゼット。
玄関の正面には、クローゼットをご用意しました。
こちらは、主に1階で生活されるお母様がお使いになる収納スペース。
上の段には普段あまり使わないもの、 下の段は、上にお洋服を掛けられるパイプを設け、普段使いの、コートや丈の長い洋服を仕舞っていただけるようになっております。
● 光を通す強化ガラス入の明るい玄関引き戸。
玄関はリフォーム前と同じく引き戸スタイルです。
こちらは都心のお宅なので、玄関と公道の間にスペースの余裕がありません。
その為、扉にすると、道路側に干渉してしまいますし、かといって内開きにすると、玄関スペースの扉が開く範囲内に物を置く事が出来ず、ちょっと使いにくくなってしまいます。
という訳で、スペースが限られる都心のお宅には、引き戸が絶対のオススメなんです!
傾斜のゆるくなった階段
2階に上がる階段は、架け替えを行いました。
段の数はリフォーム前も後も13段と変わりませんが、 スペースを広げ、緩やかな傾斜と広い踏み面になりずっと上りやすくなりました。
手摺も設置し、上り下りの負担を減らします。 木製のものを取り付けしますので、触った感じがヒヤッとせず、 見た目もナチュラルです。
リフォーム後はお母様が1階のみでお過ごしいただけるように計画したE様邸ですが、 お母様、まだまだお元気ですから、しばらくは2階にも用事をしに上がったりされます。 でも、この緩やかな傾斜であれば安心です。
2階もご覧ください!
2階は、お嬢さんと息子さん、それぞれの個室となります。
収納を重視されていたE様。 今回のリフォームで2階は2室とも吹き抜け天井となり、ゆったりしたロフトを設けることになりました。
リフォーム前はどちらも和室でしたが、無垢のフローリングの洋間となり、明るい印象に様変わりです!! 踊り場は、階段の傾斜をゆるやかにするために少しだけスペースを縮小しています。
収納が特にたっぷり!7.5畳のお部屋
こちらの7.5畳のお部屋はお嬢さんのプライベートルームです。
以前は、収納が足りずに悩んでおられましたが、上にゆったりしたロフトを設け、 すっきり片付けられるようになりました。
ロフトを設ける為に吹き抜け天井にした為、本来なら天井裏に隠れている梁が見えるようになります。 あえて、むき出しの丸太のまま、表面を綺麗にやすって塗装を行い、インテリアのアクセントにすることにしました。
明るい無垢の色合い、白い壁(ロフト梯子も白ですね)の空間の中に、この梁があることで空間が引き締まります。
リフォーム前の床は、和室部分とフローリングの部分がありました。 フローリングの部分が増築で後付けをしていたためです。
今回のリフォームで、境目の無い床となり、お部屋が広く感じられるようになりました。
天井の凸部分は、増築をされた際に生じたもので、こちらはもとの外壁である上に梁が入っているため、撤去する事はできませんでした。
しかし、元の部分と増築部分の壁の境はフラットにでき、同じ壁紙を張ることで凸部分が目立たなくなりました。
森林を維持するための「間伐材」を有効利用したロフト天井に
ロフトに使用しているのは、国産材の間伐材を使った集成材である「Jパネル」です。
乾燥による狂いが少なく強度に優れ、「グッドデザイン賞」も受賞している建材です。
間伐材ということで、森林の保護にも貢献するだけでなく、集成材のため1枚板ほどコストがかからないので、エコリフォームでは、このようなロフトの床や、造作棚等で、よく使用させていただいております。
● 押入れ収納はクローゼットに。
以前押入れだった収納は、クローゼットになりました。
おしゃれでお洋服を沢山お持ちのお嬢さん。 これからは、丈の長い服はハンガーにかけ、下には収納ボックスなどを入れて、洋服を効率よく仕舞えるようになりました。
● 階段上のスペースに収納を。
左側は階段の上のデッドスペースを利用した収納スペースです。
リフォーム前は、階段の上にご自身で棚を渡されて物を置かれていましたが、 ちゃんと収納スペースにしたので見た目スッキリです。
天窓を設置し明るくなった北側のお部屋
こちらの5畳のお部屋は息子さんのプライベートルームです。
お部屋の広さは少しコンパクトですが、こちらにもロフトとクローゼット収納を設けておりますので、広くお使いできるようになりました。
● 吹き抜け天井に天窓(トップライト)。
リフォーム前、2階のこちらのお部屋が暗い、というのがお悩みの一つでした。
窓は二面にあるのですが、片側はお隣のお家との隙間が無い為、ほとんど採光ができておらず、もう一面ある窓も小さめなので、あまり日照が無いという状態でした。
それを解決してくれたのが、こちらの天窓。 吹き抜け天井にし、屋根の葺き替えも行った為、実現しました。
※天窓は屋根に穴を開けなければならないので、下手な工事をすると雨漏りの原因になります。屋根を一気に葺き替える際に一緒に行ってしまうのが最も安全なのです。
天窓は、通常の窓の三倍の採光力があります。 インテリアの明るい無垢の色合いと白い壁の効果がプラスされ、 以前よりずっと明るくなりました!
天窓は、光をいっぱいに取り入れてくれるだけでなく、真夏の太陽熱も通しやすくなりますので、断熱効果のあるLow-Eガラスを採用。 光は通しながら暑さと紫外線を遮ってくれます。
● こちらにも大きなクローゼット収納。
こちらのお部屋にも、上にはロフトを設け、下は、以前の押入れ収納から、クローゼット収納に変更されました。
以前は、このお部屋の収納スペースは押入れのみだったので、こまごましたものをあれこれ収納されていたそうですが、ロフトが出来ましたので、今後はお洋服を中心にスッキリと収納いただけます。
丈の長い洋服も余裕で収納できるのがクローゼットの良いところですね。
1階はお母様の寝室も兼ねるため、2階にもトイレ&洗面台を設置
E様邸では1階のリビングの一角にお母様がお休みになるスペースを設けているので、 夜、トイレに行ったり、水道を使ったりするのに1階へ下りると、物音でお母様の睡眠を妨げてしまうかもしれません。
そこで、2階にもトイレ兼洗面台を設置しました。 お帰りが遅くなった際には、玄関から真っ直ぐ階段を上って2階に上がれます。
洗面台で歯磨きをしたり、お嬢さんがお化粧をしたりできるように大きめの鏡やミニ収納も設置しています。
● 大きめの鏡やミニ収納が付いた洗面台です。
トイレ正面に設置した洗面台。ワイドな鏡が設置されています。
洗面台に向かって左側には壁に埋め込みするタイプの収納も。
洗面道具や歯ブラシ、タオルのストックなどをしまえるので、洗面台周辺がゴチャゴチャしません。
外観も明るくリフレッシュ!
明るくすっきりした外観に!
● 増築の境目が解消され、すっきり綺麗な外観に。
外観もリフォーム前とは大きく変わりました。
以前は、左側の増築した部分との境に段差が出来ていましたが 今回、境目が無くなり、すっきりした外観になりました。
外壁は、少しベージュがかった白で爽やかな色合いです。 下地のラスカットパネル→モルタル下地→仕上げのモルタル二度塗り と丁寧な工程で仕上げられているので、強さも充分です。
屋根も境目がなくなり、軽量のアスファルトシングルに葺き替え
瓦葺きだった屋根は、軽量のアスファルトシングルに葺き替えました。
伝統的な瓦の屋根も良いのですが、重さがあるのがデメリット。建物でも何でも、てっぺんに重いものが乗っているとバランスが悪くなってしまうのです。 地震に対抗することを考えると、やはり屋根は軽量にするのがおすすめです。
リフォーム前の増築部分は、簡易な屋根でしたが、今回、元の母屋と増築部分がもともと繋がっていたようになだらかになりました。
ありがとうございました!
こちらのお宅は、義父のお仲間の深川の工務店さんが建てられた建物でしたので、私どもにとっては、特別な思いがございました。
工務店さんの棟梁はすでに亡くなられていますが、奥様の所へうかがって、棟梁が建てた建物を私どもで引き継がせていただくことをご報告させていただきました。 快くお聞きいただき、宜しくねと言って頂いたことが、とても嬉しく、同時に責任の重さを感じました。
こちらのお宅の計画の中で、特にレイアウトの決定には時間を掛けさせていただきました。
お母様やお嬢さんにも沢山のご協力をいただき、お客様とコーディネーターの薄井、建築士の塩谷とともに一緒に造り上げたお宅です。
お母様とお嬢さんには、いつもいつも、明るく、温かいお心遣いを沢山いただきました。
本当に良いご縁をいただいたことに心より感謝いたします。
リフォームアドバイザー・塩谷理枝より
今回のリフォームの大事なところは「安心」でした。 日々、暮らして行く中での安心、地震や災害に対しての「安心」です。
私が生まれ育った深川の地で、地元の大工さんが丁寧に建て大事に管理されてきた建物は、とてもやりがいのある建物でした。又、今回の建物は、エコリフォームで長年、頑張ってきてくれた薄井さんの卒業作品でもありました。
お客様をとても大切にしてきた、彼女のエコリフォームでの最後の仕事にふさわしいお住まいになりました。 東京を発つ際にも、お客様へご挨拶させて頂き、本人もたいそう喜んでおりました。
色々と、お客様にはお気遣いいただき、本当に良いご縁をいただいたと感謝しております。 今後も気が付いたことがあれば、何でもお伝えください。いつでも駆けつけます。
本当にありがとうございました。
一級建築士・塩谷敏雄より