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バリアフリーで安心な9坪の家

バリアフリーで安心な9坪の家

S様邸は大工だったお父様が建てられたという9坪のコンパクトなお住まいです。雨漏りや大きな段差などの問題を解決し、ご家族3人がこれからも安心して暮らしていけるようにスケルトンリフォームします。

お風呂も新しく設置して、ご高齢のお母様にも優しい、バリアフリーで快適な建物へと生まれ変わる様子をご覧ください。

ハウスデータ

築年数48年
構造木造2階建て住宅
広さ建坪9坪
内容フルスケルトンリフォーム
地域東京都荒川区

このリフォーム事例を動画でまとめてご覧いただけます。

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東京都荒川区は23区で3番目に小さな区です。隅田川に面して緑も多く、子育てしやすい区にも選ばれています。日暮里や南千住などは再開発が進んでいますが、古い木造住宅が密集しているエリアもまだまだ多く、S様邸もその中の一軒です。

荒川区内には東京に唯一残った路面電車、都電荒川線が通っていて、区民の足代わりとなっています。暮らしやすい荒川区に、「ずっと住み続けたい」という声が多いのもうなずけますね。

東京都荒川区のリフォーム事例一覧

リフォームプラン作成

ご家族が使い慣れたこれまでの間取りを活かしながら、限りある空間を最大限に活用するリフォームプランをご提案しました。段差をなくし、階段をゆるやかにしてバリアフリーに。家の性能もアップして、一年中快適な空間にします。

S様は築48年になるこちらの家に、ご高齢のお母様、お兄様と3人でお住まいでした。

この家は亡くなったお父様が建てられ、その後何度か増築を行ったそうです。増築部分は劣化が激しく、雨漏りも見られました。

S様のご要望

今回のリフォームにあたって、S様はこんなご要望をお持ちでした。

  • 雨漏りを解消し、ずっと安心して暮らしたい。
  • 高齢のお母様のため、バリアフリーにしたい。
  • 家にお風呂がないので、新しく造りたい。
  • 家具を処分して、造り付け収納を使いたい。
  • 外に置いている洗濯機を、室内に置きたい。

S様のご要望を受け、インテリアコーディネーター阿部がご提案したリフォームプランがこちらです。

1階

Before

After

プランのポイント
  • 広い玄関はコンパクトに。高さがあった上り框も段差をつけて低くします。
  • 新しくお風呂を造り、トイレと洗面脱衣室を一つにまとめます。
  • 空間を分断していた階段の位置を変え、ゆるやかな階段に架け替えます。
  • 階段下のスペースを活用して、洗濯機置き場を室内に設けます。

2階

Before

After

プランのポイント
  • 3つのお部屋に分かれた間取りはそのまま活かします。
  • 和室をコルクタイルと無垢フローリングの床にリフォームします。
  • しまうものに合わせた使いやすい収納を造作します。

住宅模型

リフォームプランご提案の際、模型屋テコさんに住宅白模型を作っていただきました。

模型でもわかるように、S様邸が建つのは変形の土地のため、建物の形もちょっと変わったものになっています。

直角に交わらない壁もあるため、耐震補強も内部の工事も難しく、職人さんの腕が試される建物でした。

リフォーム素材

無垢材などの自然素材を中心に、建物を安全に保ち、快適性をアップする素材を厳選してご提案しました。

外壁


<台東区・I様の事例>

外壁はアイジー工業の「アイジーサイディング」をご提案。断熱性が高く、軽量で地震にも強い金属系サイディングです。

屋根

<渋谷区・K様の事例>

屋根はニチハ株式会社のアスファルトシングル「アルマ」をご提案しました。防水性・耐久性が高く、軽量な屋根材です。

床1

<荒川区・S様の事例>

1階の大部分と2階の1部屋は、カバザクラの無垢フローリングです。詳しくは「無垢フローリング~カバザクラ」をご覧ください。

床2

<北区・N様の事例>

1階の水まわりと2階の2部屋はコルクタイルをご提案しました。詳しくは「コルクタイルのメリット」をご覧ください。

木製建具

<台東区・I様の事例>

室内ドアは株式会社ナガイの「然シリーズ ツガ」。上吊り引き戸で床がフラットになります。収納扉はツガを使って造作します。

金属建具

<渋谷区・O様の事例>

玄関ドアはスペースを有効利用できる引き戸に。通風しやすい窓や雨戸付きの窓など、設置箇所に合わせたサッシを選びました。

S様邸リフォームプランについて

S様邸は変形の土地に建つ建物であることや、増築をしていたことなどもあり、今のお暮しには不便な部分が多かったようです。 土地なりに建物が建っていたため、壁が直角に交わらない箇所があり、プランは悩みました。

以前は階段でキッチンと居間が分断されていましたが、階段の位置を大幅に変えて1階に水まわりを集約し、リビングの隣にキッチンを設置することにしました。

また、間仕切りはできる限り引戸にして、お母さまが暮らしやすいよう工夫しています。キッチン横に小さなスリット窓を計画し、住宅密集地でも風が抜けるようにしました。素材は使い込むほどに味わいが増す自然素材を使い、明るくナチュラルなインテリアイメージで統一しています。

インテリアコーディネーター 阿部 容子

リフォーム工事の様子

ご提案したプランを調整して無事にご契約をいただきました。幸いご近所に仮住まいも見つかり、S様ご一家がお引越しされて、いよいよリフォームが始まります。

解体

空っぽになった建物を、慎重に手作業で解体していきます。きれいにスケルトン状態になりました。

施工責任者・塩谷の目

変形の敷地に対して目一杯に建てられた建物は、増改築が繰り返され、各所がオーバーハング(せり出した状態)になっています。前面のトタンの部分も増築されているのが見て取れました。 これまであまり手が入れられていないのか、特に隣家と接している外壁の状態は良くありません。外から見ても、限界が近い建物だと感じました。

雨漏りも見られるとのことで、建物内部もいい状態とは言えません。実際に解体してみると、ほとんどすべての構造体に交換の必要がありました。

多くの人はこの建物がリフォームで再生できるか、疑問に感じるかもしれません。しかし私はこれまでの経験を生かして力を尽くそうと思いました。

一級建築士 塩谷 敏雄

補強

まずは重量のあるユニットバスを施工します。配管を引き直し、床を補強してから、周囲の壁に断熱材を入れました。

あわせて構造の補強も進めていきます。

劣化した土台や柱、梁は新しいものに交換し、必要な所に耐震金物を設置しました。

S様へのご説明

工事が進んで工事箇所が見えなくなる前に、建築士塩谷がS様に、構造や耐震金物についてご説明しました。

S様には何度もご足労いただき、ありがとうございました。

室内工事(1)

1階の床に防湿シートを敷いてから、断熱材「フクフォームEco」を施工。2階も補強しながら床を造っていきます。

壁の下地を造り、エコな断熱材「パーフェクトバリア」を入れ、構造用合板で閉じました。

一年中快適で地震にも強い家になりますよ。

壁の断熱に一工夫

戸建て住宅では、通常100mmの厚さの断熱材を使用しています。ところが、S様邸の壁には半分の厚さの断熱材しか入りませんでした。

そこで、100mm厚の断熱材が入るよう、壁を厚くすることに。これでしっかり断熱性を保てます。

屋根工事

同時に屋根の葺き替えも進んでいます。 増築部分との間に段差があって雨漏りしていたため、屋根を一体化しました。野地板の上に防水シートを張り、板金で仕上げます。

屋根の側面に設置されている破風板にも劣化が見られました。こちらも板金できれいに仕上げます。

室内工事(2)

2階天井には遮熱シート「ラミパックSD」を張りました。配管・配線してから断熱材を入れ、ボードで閉じます。

窓の周りにも断熱材を入れ、ボードで閉じていきます。階段も手作業で丁寧に造りました。

壁紙を選ぶために...

壁に壁紙のサンプルを張って、S様に見比べていただきました。光の加減などで印象は変わりますが、こうすれば実際に近い雰囲気で壁紙を選ぶことができます。

S様が選ばれた壁紙を張って、室内の工事は完了しました。

外部工事

下水道には古い土管が使われていましたが、劣化が激しかったため、下水道管を引き直す工事も行いました。

トタンが劣化していた外壁をサイディングで仕上げ、敷地内に土間コンクリートを施工して、外部工事も完了しました。

リフォーム完成!

お父様が建てられた思い出の建物が、9坪ながらも暮らしやすく生まれ変わりました。 無垢フローリングや天然木の建具などの自然素材も心地よく、これからもずっと快適なお住まいの様子をご紹介します。

まずは新築のように生まれ変わった外観から。

リフォーム前はかなり劣化が見られた建物ですが、リフォーム後はスタイリッシュでモダンな雰囲気になりました。

1階

古いガラス戸だった玄関は、防犯性も高い、しっかりとした引き戸に変わりました。

コンパクトになった玄関。上り框もゆるやかになり、上り下りしやすくなりました。

玄関収納には、ご家族3人分の靴や傘をスッキリしまえます。

玄関を開けるとリビングダイニングが広がっています。 カバザクラの無垢フローリングで、明るい印象です。

9坪という限られたスペースですが、勝手口も設けました。 リフォーム前と同じように使えるのがうれしいですね。

以前キッチンだったところには、高さのある収納を造作しました。

リフォーム前、2つの和室に分かれていた1階部分ですが、全体を広々使えるようになりました。

階段下を有効活用!

これまでは外にあった洗濯機置き場を、階段の下のスペースに移動しました。使っていない時は引き戸を閉めればスッキリです。

寒い日も暑い日も、楽に洗濯できるようになります。

キッチンはトクラスのBbを選ばれました。木目調のライトチェリー色で、明るい雰囲気です。

背面収納カウンターの上には可動棚、床には床下収納庫を設置して、収納力も十分です。

念願のお風呂も設けることができました!トクラスのevery、さわやかなリップルグリーン色です。

トイレと洗面脱衣室は一つにして、省スペースに。洗面台はTOTOのサクアを採用。リフォーム前とは大きく変わりました。

建物の真ん中にあった階段は端に移動。昔ながらの急な階段がゆるやかになって、上り下りしやすく安全になりました。

2階

こちらは一番大きな洋室です。畳敷きだった床は、カバザクラの無垢フローリングになりました。

造作収納が2つに、モダンな神棚も設置されています。

真ん中の洋室の床はコルクタイル。足ざわりが良いので、ご高齢の方にもおすすめの素材です。

こちらのお部屋には大きめの収納を造作。階段上のスペースにも奥行きのある収納を設けました。

3つ目の洋室は、耐震のために窓を小さくしました。入り口の可愛い照明はコーディネーター阿部がお選びしたものです。

収納は1つですが、左右で押入れとクローゼットの2通りに使えるタイプ。便利にお使いいただけます。

上吊り戸でバリアフリー

お部屋の扉はすべて引き戸です。上吊り戸になっているので床にレールはなく、つまづいて転ぶ心配もありません。

2つのコルクタイルのお部屋の間は段差ゼロ。無垢フローリングのお部屋との境も、ほとんど段差はありません。

リフォームを終えて

こうして大規模なスケルトンリフォームを終え、9坪の建物が新築のように生まれ変わりました。

最後に、担当インテリアコーディネーターの阿部容子と、施工責任者・一級建築士の塩谷敏雄からのコメントをご紹介します。

耐震補強を含めたスケルトンリフォームだったので、お荷物の片付けから仮住まいへのお引っ越し、リフォームのお打ち合わせ、そしてリフォーム完成後のお引っ越しと、S様ご家族には大変なご負担をおかけしたと思います。真夏の暑い中での工事でしたが、現場でのお打ち合わせにも何度も足を運んでいただき、ありがとうございました。

壁が垂直に交わらず斜めになっている箇所も、塩谷の経験と大工さんの技術できれいに仕上げることができました。 リフォーム後、S様のお家に伺った際に、快適に暮らされている様子を拝見して、私も嬉しくなりました。

こうしてご縁をいただき、お父様から受け継がれた大事な建物をお任せくださったことに感謝いたします。 お打ち合わせのお時間をたくさん頂戴し、いろいろなお話をしたのもいい思い出です。

これからも何かお困りのことがございましたら、いつでもご連絡くださいね。

インテリアコーディネーター 阿部 容子

かなり状態の良くない建物でしたが、幸いにも基礎と土台はしっかりしていたため、そのまま使用することができました。構造材は一部を除いてすべて交換が必要で、現場でベテラン大工と協議しながら、壊しては組み直して補強を続けました。S様邸は変形した構造のため、内部の耐力壁だけでは耐震性が不足してしまいます。すべての壁に構造用合板を張ることで補いました。

S様もかなり不安に思われていたようですが、補強された構造体や耐力壁などをご覧になって、安心されているのが伝わってきました。

S様のお父様が建てて、これまで維持されてきた住宅を蘇らせることができて、誇りに思います。安全で安心な家をご提供できたことは、私たちにとっても本当に嬉しいことです。

これからもご家族で仲良く安心してお暮らしください。ありがとうございました。

一級建築士 塩谷 敏雄

S様はリフォーム後のお片付けに苦労されたものの、今はご家族3人での生活を楽しまれているそうです。

これからも皆様ずっとお元気に、安心してお暮らしいただけるよう願っています。

リフォームのご依頼、誠にありがとうございました!